本文へジャンプ | メニューへジャンプ | 共通メニューへジャンプ

「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.3 (2008年7月公開)

幼児期は種を蒔く大切な時期
好きなことを追求できるドルトンスクールの教育環境が
私の知的好奇心を伸ばしてくれました

弁護士
野村 亮輔さん

ドルトンスクール

弁護士 野村 亮輔さん

宇宙博士に相撲博士も! 興味を持った分野にとことん熱中

・・まず、ドルトンスクール(幼稚舎:全日制の幼稚園)時代の思い出から聞かせてください。

野村 ドルトンスクールでは、知的好奇心を大いに満足させる教育が受けられました。先生方は、私のきわめて素朴な疑問に対して、教室に置いてあった図鑑などで一緒に調べてくださいました。それも単純に知識を教えるのではなく、たとえば「先生、地球って本当は丸いんだって」と話しかけると、「えっ、どこが丸いの。平らに見えるけどね」と、逆に質問してきます。それによって子どもなりに一生懸命考える習慣が生まれました。あるいは、怪獣好きだった私が、自分で考案した怪獣の絵を描いて、「お腹の中に火の玉袋があって、火が飛び出すんだ」と得意がると、「亮輔君のお腹の中には火の玉袋はないの」「うーん。たぶんない」「そう。だったら、一体何が入っているの」と自分の「体」を調べるきっかけを作るなど、会話を通して、知的好奇心が刺激され、自然とさまざまな分野に興味が広がるような教育が展開されていましたね。

・・特にどんなことに興味を持たれたのですか

野村 「100 人いれば100 通りの教育方法がある」というドルトンスクールの教育方針通り、それぞれが好きなことをとことん追求できる環境でした。友だちの中には、年中組の段階で、幕内力士の名前を全員漢字で書ける「相撲博士」もいました(笑)。私が熱中したのは宇宙です。当時、惑星探査機が木星に接近し、話題を集めていたことが影響したのでしょう。私は小学校3年生までドルトンスクールの小学生コースに通いましたが、小学校2年生の時に、土星に関する新聞記事をスクラップして、レポートにもまとめて、ドルトンスクールの先生に見てもらったことがあるほどです。もちろん、勉強として取り組んだわけではなく、好きなことだから調べてみようといった感覚でした。

さらに、小学生の頃は「データ魔」になり、毎年9月に発行される『少年朝日年鑑』を買うのを楽しみにしていました。なぜか日本の都市の人口増減に興味がわき、年鑑で2年分の人口変動を比較して、トレーシングペーパーを使って地図をトレースして、人口の増えた都市は赤で、減った都市は青で塗り分けた地図を作っていました。今でも地図は大好きで、先日改訂版が出された河合塾の『地図と地名による地理攻略』も購入したほどです(笑)。

・・「なぜだろう」「何だろう」と感じたことをとことん追求するタイプの子どもだったのですね。

野村 ええ。教育にはいろんな段階があります。そして、幼児期は種を蒔く時期です。その時期に早く芽を出させようとしたり、手入れもしていないのに花が咲くのを過剰に期待してはいけないのではないでしょうか。その意味で、ゆっくりと子どもの興味を引き出し、見守ってくれるドルトンスクールで学べたことは、とても有意義なことでした。ドルトンスクールの本質は、「英才教育」ではなく、幼児とのふれあいの中で、好奇心や探求心を伸ばし、個性を育む「人間教育」にあったのだなと、社会人となった今、実感しています。クラス全員で行う活動のほかに、4人1組で学ぶ時間があり、私の組からは後に3人が東大に進学しました。ただし、勉強のできる子どもの育成を直接目標にしていたわけではありません。ドルトンスクールで蒔かれた「学ぶ喜び」という種が、時宜を得て着実に芽吹いた結果だと思います。

詰め込みではなく、広がりが感じられる教育

・・中学受験の時には、小学グリーンコースに通われたのですね。

野村 小学校6年生の1年間、毎週日曜日に通いました。授業は受験指導一辺倒の雰囲気ではなく、たとえば国語の授業では、文学の教養的な内容が語られることもよくありました。5泊6日の日程で行われた白馬の「勉強合宿」でも、中島敦の『山月記』の講義があり、これらの経験が後の読書習慣に結びついたように思います。単なる詰め込み教育に陥らず、ゆとりのある、広がりが感じられる教育でした。

そのほか、午後からのレギュラー授業に加えて、午前中に大学生のチューターが自主ゼミを開いており、それも楽しみで朝から通っていました。難関中学では、単純な方程式を当てはめるだけでは対応できない問題が数多く出題されます。そうした難問を友人たちと解きあって、質問に行ったのも懐かしい思い出です。時には、チューターからユニークな発想が求められる問題が提示されることもあり、一種のゲーム感覚で楽しく受験勉強を進めることができました。

・・その後、東海中学・高校から東大へ進まれたわけですが、ドルトンスクールで養った力が受験勉強に役立った面はありますか

野村 非常に役立った面と、そうでなかった面があります。ドルトンスクールで学んだ子どもは、個性豊かなさまざまなタイプがいますが、私の場合、好きな科目は深く追求しますが、興味がわかなかったり、やらされ感があると勉強がはかどらないことがあります。また、素早く数多くの問題を処理しなければならないマークシート型が苦手で、逆に難問をじっくり考えて解く論述型の入試には強く、東大の入試問題は私に向いていたと思います。

「君の努力を証言できる」先生の言葉に励まされた

・・浪人時代、河合塾で学ばれた時のエピソードもお聞かせください。

野村 地理の森本英之先生にお世話になり、感謝しています。授業の後、先生と受講生で喫茶店に寄って人生談義に花を咲かせたこともあります。浪人時代って、成績が思うように伸びなかったり、あるいは遠く離れた彼女にふられたりといったことも含めて、みんな人生に悩んでいますから(笑)、先生や友人との会話は救いになりました。友人たちはライバルというより、この仲間たちと一緒に東大に合格したいという連帯感がありました。当時の仲間とは、現在でも年1回「同窓会」を開いています。河合塾は私にとって間違いなく「母校」であり、同じベースを持つ当時の仲間たちとの一時は、私の貴重な時間になっています。

また、高校時代、成績が芳しくなかった私は、東大は難しいので、志望校変更を先生に勧められたこともあったのですが、河合塾ではそんなことはいっさいありませんでした。三者面談の時に、チューターが言ったことは「120 %の力を出しましょう」でした。今になって冷静に考えると、120 %の力でないと合格できないということだったのかもしれませんが(笑)、その時はやる気が起こったものです。センター試験の成績が不調で悩んでいた時も、森本先生が「僕は、君が絶対東大に受かるなんて言わないよ。でも、君がこの1年、少なくとも地理に関しては、東大に受かるだけの努力をしてきたことを、僕は世界中の人間に証言できるよ」と励ましてくださいました。ずっと自分を見ていてくださったんだなあ……。その視線に恥じないように、最後まで全力で駆け抜けようと、思いを新たにしました。「河合塾の講師は入試のプロだ。」と、とても信頼できましたが、ただそれだけでなく、予備校なのに受験至上主義ではなくて、とても人間くさく、愛情が感じられました。私にとって河合塾は「塾」ではなく「学校」だったのです。

子どもが興味を持ったことに親も関心を持ってほしい

・・今後、弁護士として、どのような活動を目標にされていますか。

野村 新聞などで報道されている通り、弁護士は大幅な増員が進行中で、競争が激化しています。それだけに、この分野では負けないと胸を張れるような専門分野を持ちたいと思っています。現在私が所属している宮澤潤法律事務所は、医療訴訟を中心に扱っており、私も尊敬する宮澤所長に一歩でも近づけるように努力していきたいですね。ただし、一方で、専門分野しかわからない弁護士にはなりたくないという思いもあります。医療訴訟の専門弁護士であると同時に、街の弁護士としてのフットワークの軽さも兼ね備えることが理想です。ドルトンスクール時代に身につけた知的好奇心を生かして、多様な分野に視野を広げていきたいと考えています。

・・最後に、幼児期の子どもを抱える保護者の方々へのメッセージをお願いします。

野村 いい塾や学校に行かせさえすれば、後はお任せというわけにはいきません。家庭にも重要な役割があり、両輪として機能することが大切です。私の場合、当時健在だった亡祖父がドルトンスクールへの送り迎えをしてくれ、その日、ドルトンスクールであった出来事を楽しそうに聞いてくれました。私が宇宙に興味があると聞くと、科学館やプラネタリウムに連れていってくれたり……。小学校2年生の夏休みの家族旅行も、両親が私のためにいろいろ調べて、天体望遠鏡で天体観測ができるペンションに行きました。いわゆる観光地に出かけるよりも、子どもの知的好奇心を優先してくれたわけです。自分が幸せな子どもだったと感じるいい思い出です。母は今でも星の名前などをたくさん記憶しています。子どもが興味を持ったことに、親も興味を持って、一緒に学ぼうとする姿勢を見せてくれたこと、そしてドルトンスクールを選んでくれたことにとても感謝しています。

野村 亮輔

Profile

野村 亮輔 (Ryosuke Nomura)

1972年5月、愛知県生まれ。幼少時にドルトンスクール名古屋校で学ぶ。東海中学、東海高校を卒業後、河合塾名古屋校を経て東京大学へ進学。現在、宮澤潤法律事務所で弁護士として活躍中。

ドルトンスクール

“100人いれば100通りの教育方法がある”
ドルトンスクールでは子どもたち自身の興味や探究心を養い、「自ら学ぶ子ども」を育てるため、一人ひとりの個性と才能を伸ばす教育を行っています。
[対象:1才児から小学6年生]

「ドルトンスクール」について詳しく知りたい方はこちら

このページの先頭へ