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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.21 (2010年1月公開)

好きなことをトコトン追求できる環境が魅力
子どもたち一人ひとりが誇れる得意分野を持ち
それをお互いに認め合う関係が構築されていた

フリーアナウンサー
小笠原 聖さん
×
ドルトンスクール東京校長
星合 英二

ドルトンスクール

フリーアナウンサー 小笠原 聖さん × ドルトンスクール東京校長 星合 英二

失敗も貴重な経験だと捉えて「見守る」姿勢が大切

星合 小笠原さんがドルトンスクールに入学されたきっかけは何だったのでしょうか。

小笠原 母がドルトンスクールの説明会に参加した時に、担当の先生が次のような言葉を話されたそうです。「目の前に壁が立ちはだかった際に、乗り越えるにはさまざまな方法がある。上に縄をかける方法もあれば、扉を押したり引いたり、横にずらす方法もあるかもしれない。そんな多様な見方、考え方で物事に取り組むことができる力を引き出したい」と。そうした一律に正解を教え込む教育ではなく、多様な可能性、視野を広げようとする教育方針に母が共感して、ぜひ私を入学させたいと考えたようです。

星合 子どもたちは皆、それぞれに素晴らしい可能性を秘めています。ドルトンスクールでは、適切な環境を整えて、その可能性を萌芽させるきっかけづくりに努めています。そして、子どもの可能性を引き出すためには、保護者の役割も重要になります。キーワードは「見守る姿勢」です。子どもが自発的にやろうとしていることを支えられる保護者であってほしいのです。当然、子どものやることですから失敗もたびたび起こります。それを先回りして間違えないように導くのではなく、失敗も貴重な経験だと考え、安心して失敗できるように見守ってあげてほしいのです。もちろん、成功した場合には一緒になって喜ぶことも大切です。

小笠原 ドルトンスクールに入学直後、母が参観に訪れた時、先生から「わかる人はいますか?」と問いかけられ、私がすぐに挙手したことがあったそうです。心配した母は思わず私に「あんた、本当にわかるの?」と、声をかけたようです。授業が終わった後、先生から「間違った答えでもいい。手を上げて答えようとする態度自体が重要なのだから、そこで注意しないように配慮してほしい」と言われたことがとても印象的だったと語っています。

星合 思い出に残っている授業はありますか。

小笠原 「フリープレイ」の時間ですね。好きなことをトコトン追求できる時間で、私が熱中したのは鉄道です。時刻表旅行を趣味にしており、先生方に行きたい場所があると聞くと、行程表を立案してあげました。もっとも、乗り継ぎ可能かどうかだけに気をとられて、旅先でまったく滞在時間がないプランになっていましたが(笑)、実際に私のプランを参考にして旅行された先生もいて、嬉しく、やりがいを感じていました。

星合 子どもたちが興味を抱く環境を作り、自由に取り組める時間を保証するのが「フリープレイ」です。恐竜、昆虫、星座、相撲、将棋、チェス、パソコンなど、子どもたちの興味は多岐に渡り、知的好奇心を深めていきます。その興味を持続させ、発展させるためには、共感して、興味を引き出す言葉がけをする事が重要になります。強制でも放任でもダメで、妥当な距離感が重要になります。時間もかかり、教育方法としては非効率かもしれませんが、学びの楽しさを体得する上で大切な場になっていると確信しています。
また、図鑑などで調べることによって一定の成果が生まれてきた段階で、皆の前で発表する機会も設けています。5分ほどの短い発表ですが、話す・聞く姿勢の涵養につながっていると思います。

小笠原 私の場合は、5分の発表ではもの足らず、皆が帰った後で、先生のところへ行き、続きを話したことを記憶しています(笑)。そんな私の話を先生が熱心に聞いてくださることに喜びを感じて、さらに深く知ろうという意欲が生まれていきました。

知識と実体験の結実が重要なポイントになる

小笠原 豊島園で開催される運動会、芋掘り、博物館・美術館巡りなど、豊富な学外活動も印象に残っています。普段の日でも、近所の公園や街中をよく散策していました。

星合 「シティ・アズ・ア・クラスルーム」と呼ばれる、街を教育のリソースとして活用する試みです。地域にどんな場所があり、人々がどんな仕事をしているのか、地域社会の姿を肌で感じることを目的にしています。同時に、電車など公共交通機関による移動を通して、公共マナーの習得もめざしています。

小笠原 行く先々で必ず得意分野をフルに発揮できる友人がいたことも、強烈な思い出です。たとえば、駅に行けば、鉄道が得意な私が電車名、路線名などの知識を披露。公園で昆虫を見つけたら、昆虫博士の異名をとる友人が解説するといった具合です。その経験を通して、子どもながらに友人のすごさがわかり、自然とお互いを認め合う関係が構築されていきます。しかも、自分の得意なことが、社会の現実とつながっていることが体感できる意義も大きかったと思います。

星合 そう、知識と実体験の結実こそが重要なのです。ですから、ドルトンスクールでは、近所の魚屋さんでマグロの解体を見学したり、買ってきた鯉で魚拓を作り、解剖したり、シェフを招いてパスタづくりの実演を見て、実際簡単なパスタ作りをしたり等、本物に触れる機会を重視しています。先日は小笠原さんにもアナウンサー講座の講師をお願いしました。あの講座に刺激を受けて、映画作りに挑戦したいと言う生徒も出てきました。ちょうどドルトンスクールのパンフレットを作成していた時期で、生徒たちがそのスタッフをつかまえて、映像づくりの手法を取材。自分たちで台本を書き、キャラクターを決め、台本を読む人、宣伝する人など役割分担して、静止画の短編作品に仕上げています。上映会も開催したのですが、なかなかの出来映えでしたよ。
加えて、単なる実体験に終わらせず、体験したことを必ず学問と結びつけるようにしている点も、ドルトンスクールの特色です。パスタなら原料は小麦粉でできているといった化学的なこと、駅なら地理の知識と関係づけるように心がけています。

興味を伸ばし、知識と社会の関係性を重視する教育のおかげで将来めざす職業が常に明確に

星合 小笠原さんがアナウンサーをめざそうと考えられたのはいつ頃からですか。

小笠原 興味を伸ばし、知識と社会の関係性を重視するドルトンスクールの教育のおかげだと思うのですが、実は私は物心ついてから、常に将来なりたい職業が明確でした。中学2年までは鉄道好きが高じて電車の運転手が目標だったのですが、その後は一貫してアナウンサー志望になりました。というのも、当時、母が夜間勤務の仕事に就いており、留守番する時にラジオの深夜放送を聴くようになり、パーソナリティ1人の力で聴取者の心をつかめるところに魅力を感じたからです。また、夏休みの課題でクラスの代表に選ばれ、旅行に行った時の体験談を皆の前で発表した際、かなり反応がよく、人前で話す快感に目覚めました。それまでむしろ人前で話すことには苦手意識を持っていたのですが……。

星合 一般的な日本の幼児教育・学校教育では、自分を表現することは容易ではありません。突出しようとすると抑え込まれてしまう可能性すらあります。対してドルトンスクールでは、自分の殻を破って突破していく力を養う場、素質を開花させる場でありたいと考えていますから、何かをしようとする行動を阻害することは絶対にありません。その環境で培ったパワーが小笠原さんのどこかに残っており、ふとしたことを契機として開花したのでしょうね。

小笠原 そこで、それまでは鉄道の本を読むために図書委員を務めていたのですが、中学3年から高校までずっと放送委員になりました。堀越高校に進学したのも、放送界に関係の深い高校というイメージがあったからです。高校の文化祭では、それまで行われていなかった校内放送をやらせてほしいと先生に直談判し、パーソナリティを務めました。生徒からリクエスト曲を募ったところ、芸能人が自分の曲をリクエストしてくることもあり(笑)、好評を博しました。それで気をよくして、アナウンサーになろうという意思が固まりました。

星合 旭川大学経済学部を選んだ理由は何ですか。

小笠原 北海道に一人旅をした時、ある情報番組で地元に密着した報道をしている札幌テレビの木村洋二アナウンサーに憧れの気持ちを抱いたことが決め手になりました。どうしても北海道の大学に進学して、木村アナの番組を見て勉強したいと決意し、指定校推薦枠があった旭川大学に入学することにしました。

星合 アナウンサー試験は超高倍率で知られていますが、突破できたポイントは何だったとお考えですか。

小笠原 旭川大学にはそれまでアナウンサーになった先輩がいないため、就職課の方々も応援したい気持ちはあるものの、どうアドバイスしていいか情報がないと悩んでいらっしゃいました。大学4年次は残念ながらすべて不合格で、単位は充足していたにも関わらず、1年留年して再チャレンジしました。おそらくトータルで120回以上採用試験を受けたと思います。ある意味では数多く採用試験を受けたこと自体がトレーニングになっていたようで、次第に最終面接まで通過するケースが増えていき、幸運にも秋田朝日放送に入社することができました。

星合 アナウンサーの仕事にドルトンスクールで学ばれたことが生きていると感じられることはありますか。

小笠原 意外に思われるかもしれませんが、アナウンサーには話す能力以上に聞きだす能力が要求されます。インタビューで生の情報を入手しなければならないからです。そんな時、ドルトンスクール時代に私の話に真摯に耳を傾けてくださっていた先生方の姿勢が大いに参考になっています。

最新機器を活用しつつ、温かい雰囲気づくりにも配慮した新校舎が完成

星合 今年11月、ドルトンスクール東京校に新校舎が完成しました。LANケーブルを張りめぐらすとともに、電子ボードを導入するなど、新しいテクノロジーをフル活用した校舎です。ただし、だからといってフェース・ツー・フェースの触れ合いを大切にするという基本方針をないがしろにするつもりはありません。温かい雰囲気づくりを心がけ、教師と子どもたち、および年齢の枠を超えた子どもたち同士の交流に満ちた、生き生きと過ごせるコミュニケーションの場であり続けたいと考えています。

小笠原 ドルトンスクール時代はワクワクする体験にあふれています。背伸びしたい時期の子どもにとって、大人と同じような実体験の場が用意されていることは大きな刺激になります。この最新機器も、ドルトンスクールでなら上手く活用でき、さらに違った生徒の得意を見つけ出すツールになるでしょう。それぞれの得意分野を認め合える関係の中で、先生や友人たちと好きなことを共有できる貴重な時間を大切にしてほしいと願っています。

小笠原 聖

Profile

小笠原 聖 (Sei Ogasawara)

1978年東京都生まれ。幼少時~小学6年生までドルトンスクール東京校で学ぶ。旭川大学卒業後、2001年に秋田朝日放送入社。秋田朝日放送では、報道記者の傍ら、高校野球中継やニュース、県広報番組を担当。 退社後は、東京のフリーアナウンサー事務所SOプロモーションに所属。現在、「教えて!からだのミカタ」リポーター(BS-TBS)、「週刊彩の国ニュース」キャスター(テレ玉)、「はっぴる」リポーター(JCN千葉)、「TOKYO FM NEWS」「TOKYO FM SPORTS」キャスター(TOKYO FM)、「JFN ニュース」キャスター(JFN)、「マリーンズナイター」実況(チバテレビ)に出演中。

ドルトンスクール

“100人いれば100通りの教育方法がある”
ドルトンスクールでは子どもたち自身の興味や探究心を養い、「自ら学ぶ子ども」を育てるため、一人ひとりの個性と才能を伸ばす教育を行っています。
[対象:1才児から小学6年生]

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