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文部科学省全国学力・学習状況調査平成24年度 中学校(3年)問題分析

国語A・知識

分析科目

中学校3年生 国語A(主として「知識」に関する問題)

見出し(トピックス)

文章読解に偏らない多彩な出題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

普通に文章を読んで答えるという従来からある「国語」のテストのような問題は、大設問7問中2問しかなく、資料を使った発表やスピーチのような「話す」「聞く」領域について問う問題が幅広く出題されており、教科書を隅々まで学習し、幅広い知識を持つことが求められている。

分量・形式・内容(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:7題小設問:32問
従来10題前後あった大設問は7題に減ったものの、言語事項以外の設問はすべて小設問が2問ずつになり、全体としての小設問数はあまり変わっていない。言語事項以外の設問では、記述式が33%、抜き出し式が17%、選択式が50%となっており、従来よりも記述式・抜き出し式の設問の割合がわずかではあるが増えている。「聞く」領域以外の「話す」「書く」「読む」「言語事項」の領域はバランスよく出題されているが、「聞く」領域を問うには、リスニングを導入しないと難しいであろう。

範囲・分野(従来と比較して)

3年前の「小学校」の学力テストの出題を意識した設問が4問ほど見られ、従来あった未習事項の出題は見られなかった。一方で、素材としてよく使われていた「詩歌」が今回は使われていなかった。また、従来の「国語」では問われなかったような事柄の知識(たとえば、「文鎮の使い方」)を問う設問が見られ、これからは「国語」という教科を広い枠組みでとらえていく必要があることを示唆していた。国語Bのような活用能力を必要とする問題も2問出題された。

入試への影響

公立高校入試では、従来からも単純な「条件作文」は出題されていたものの、このところ第1問・第2問・第4問・第5問のような設問も出題されるようになってきている。宮崎県の公立入試のように、相当影響が色濃く出ている入試問題もある。一方、私立高校の入試にはほとんど影響が出ていない。

大設問
(合計 32)
出題内容 分析
第1問
(2)
資料を使って話す 「話す」領域について問う問題である。一は資料を効果的に使って話すときのポイントを選ばせる問い(選択式)。二は話題が変わるときの間の取り方について選ばせる問い(選択式)。いずれも平易である。
第2問
(2)
手紙を書く 「書く」領域について問う問題である。一は手紙の形式を理解しているかどうかを確認する問い(選択式)。二は手紙の表現の工夫について選ばせる問い(選択式)。いずれも平易である。
第3問
(2)
文学的な文章を読む 「読む」領域について問う問題である。一は描写されている二つの情景の対応関係をとらえさせる問い(抜き出し式)。二は表現技法を書かせる問い(記述式)。いずれも平易である。二は平成21年度の「小学校」の学力テストで出題された「表現の工夫」についての問題と関連した問題である。
第4問
(2)
スピーチをする 「話す」「聞く」領域について問う問題である。一は漢語的表現を聞いて分かりやすい表現に直す問い(記述式)。二は相手に合わせた話し言葉の使い方でメモを書き起こす問い(記述式)。一は平易であるが、二は条件(書き出しに合うように書く・歓迎の言葉にふさわしい言葉遣いをする)に合うように書くのがやや大変であった。場面(「新入生に対して」)を考慮して答えなければならず、「国語B」の内容に近い出題であった。
第5問
(2)
図を用いた文章を書く 「書く」領域について問う問題である。一は文章の特徴を選ばせる問い(選択式)。二は必要な情報の説明を補足する問い(記述式)。いずれも平易である。ただ図と文章を対応させなければならず、「国語B」の内容に近い出題であった。
第6問
(2)
説明的な文章を読む 「読む」領域について問う問題である。一は文章の展開に即して内容を押さえさせる問い(抜き出し式)。二は設問の条件に応じて必要な情報を読み取らせる問い(選択式)。一は平易であるが、二は絵表示が目立つために、単純に絵表示の内容を答える恐れがあった。
第7問
(20)
言語事項 「言語事項」について問う問題である。一は漢字の書き取り(記述式3問)。二は漢字の読み(記述式3問)。三は語句の意味や用法についての問い(選択式5問)。四は対義語についての問い(選択式2問)。五ははがきの表書きについての問い(記述式1問)。六はローマ字についての問い(記述式2問)。七は古文の知識についての問い(選択式1問・記述式1問)。八は漢和辞典を素材に使った問い(選択式2問)。いずれも平易である。なお、二の「採る」は、平成21年度の「小学校」の学力テストの「採集」の読みの問いと関連した問題である。五は平成21年度の「小学校」の学力テストの手紙の表書きについての問いと関連した問題である。六は平成21年度の「小学校」の学力テストのローマ字についての問いと関連した問題である。

国語B・活用

分析科目

中学校3年生 国語B(主として「活用」に関する問題)

見出し(トピックス)

非連続型テキストを使わない出題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

「図や表」と「文章」のように、二つの素材(非連続型テキスト)を比較して共通点や違いを読み取ったり、二つの素材を融合させて考えたりする問題が見られなくなり、第1問~第3問はいずれも一つの素材を軸に、普通の読解力や記述力を試すような問題となっていた。従来の「国語B」で必要とされていた、「活用」する力を問う内容とは言いづらいものであった。

分量・形式・内容(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:3題小設問:9問
大設問数は3題で従来通り。小設問数は9問に減っているものの、語句の意味の問題が減った程度で、質的に変わったとはいえない。選択式の設問が5問あり、残りは抜き出し式が1問、記述式が3問であった。第1問の一や二、第3問の一~三は、従来なら「国語A」で問われていたような問題である。特に第3問の三は、従来なら「国語A」で選択式で出題されていたようなものを記述式にした問題であった。

範囲・分野(従来と比較して)

二つの素材(非連続型テキスト)を比較して共通点や違いを読み取ったり、二つの素材を融合させて考えたりする問題が見られなかった。図表を読み取って考える問題がなくなった。3年前の「小学校」の学力テストの出題を意識した設問が2問見られた。第2問が生活場面を意識した問いなのであろうが、従来のような「活用」させる力を要するものではなかった。「国語A」に近い内容が多くなり、全体として「国語A」が「国語B」に近づき、「国語B」が「国語A」に近づいたような印象を与える出題の仕方であった。

入試への影響

公立高校の入試では、「複数の素材」を比較させる問題を出題する県も見られるようになってきている(例 2010年茨城県の入試問題)。一方で、私立高校の入試には影響が出ているとはいえない。

大設問
(合計 9)
出題内容 分析
第1問
(3)
対談を読む 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材としては「美しい日本語とは」という対談の記録の一部が使われた。文章は対談形式をとっているものの、実際には読者は「聞く」力ではなく、「読む」力を使って文章を理解することになる。一は発言が対談の中で果たす役割について選ぶ問い(選択式)。二は対談の展開を整理させる問い(選択式)。三は条件作文(記述式)。一、二はいずれも平易なもので、今までなら「国語A」で問われていたような問いであった。三は従来の意見文のように理由を説明する必要はないものの、書く内容に対する自由度が高く、逆に苦労した生徒がいたと考えられる。平成21年度の「小学校」の学力テストで出題された「グループの話し合い」と関連した問題である。
第2問
(3)
説明的な文章を書き換える 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材としてはデジタルカメラの「使用説明書」が使われた。一はやさしく表現された別の言葉を抜き出す問題(抜き出し式)。二は説明の工夫を選ばせる問題(選択式)。三は説明的な文章を書き換える問題(記述式)。一、二はいずれも平易である。三は制限字数が短めで、「使用説明書」の内容をすべて盛り込むのには無理があり、優先事項を押さえてコンパクトにまとめる必要がある。平成21年度の「小学校」の学力テストで出題された「報告文」と関連した問題である。
第3問
(3)
物語の朗読を工夫する 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材としては新美南吉「二ひきの蛙」が使われた。一は物語の特徴の説明を選ばせる問い(選択式)。二は物語に描かれている季節を選ばせる問い(選択式)。三は朗読の仕方の工夫とその理由を書かせる問い(記述式)。一は平易である。二は該当するものをすべて選ぶ問いであるが、選択肢4肢から3肢を選ばなければならず、解答するのに戸惑ったと考えられる。三は朗読の仕方の工夫を自分の言葉で表現しなければならず、難しかったと考えられる。

数学A・知識

分析科目

中学校3年生 数学A(主として「知識」に関する問題)

見出し(トピックス)

2011年度に引き続き「資料の活用」からの出題あり。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

方程式の解の吟味の意味、証明の普遍性を問う問題などから分かるように単に問題解決の手続きを理解するだけではなく、その意味や背景の理解とともに問題解決できる能力を身につけることを求めていると考えられる。

分量・形式(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:15題小設問:36問
大設問数は異なるが、小設問数は36問で変化はない。問題形式は選択式および短答式で従来通りである。

範囲・分野・内容(従来と比較して)

新教育課程により、従来の「数と式」、「図形」、「数量関係」の3領域構成から「数と式」、「図形」、「関数」、「資料の活用」の4領域に変更されたことをうけて資料の活用の問題(中1)が出題された。また、「偶数」、「数直線の読み取り」、「多角形の内角の和」に関する問題など、現中学校3年生が小学校6年生時に実施された全国学力テストと同じ内容がみられた。これは当時と比較して定着度がどのように変化したかをみるためのものと考えられる。

入試への影響

新たに立てられた第4領域である「資料の活用」からの出題頻度が高くなるのではないであろうか。参考として中京大付属中京高校の2012年度入試において資料の中央値を問う問題が出題された。

大設問
(合計 36)
出題内容(分野) 分析
第1問
(4)
最小公倍数、正負の計算
(数と式)
最小公倍数の意味、正・負の数の計算の仕方が定着しているかを確認する問題であった。
第2問
(4)
式の計算、式の値、不等式
(数と式)
文字式の計算の仕方、表された文字式の理解、文字を用いて数量関係を適切に表せるかを確認する問題であった。
第3問
(4)
比例式、連立方程式、一次方程式
(数と式)
方程式を解くこと、また、方程式の計算のしくみや解の吟味の意味が理解できているかを確認する問題であった。
第4問
(3)
作図、対称な図形、おうぎ形
(平面図形)
角の二等分線の作図手順、対称図形、おうぎ形についての理解を確認する問題であった。
第5問
(4)
回転体、展開図、錐体の体積
(空間図形)
辺と面の関係、立体のでき方、体積の求め方を確認する問題であった。
第6問
(3)
作図、多角形の内角の和、三角形の合同
(平面図形)
作図の根拠、多角形の内角の和を求める式の意味、三角形の合同条件を確認する問題であった。
第7問
(1)
命題の逆
(平面図形)
命題における仮定と結論の区別、命題の逆についての理解を確認する問題であった。
第8問
(1)
三角形の合同証明
(平面図形)
証明することの意義を問う問題であった。
第9問
(2)
比例の性質、比例のグラフ上の点
(関数)
比例の性質およびグラフ上の点の理解を確認する問題であった。
第10問
(2)
反比例の性質、反比例のグラフ
(関数)
反比例の性質およびグラフについての知識を確認する問題であった。
第11問
(2)
点の座標、一次関数のグラフ
(関数)
一次関数のグラフの読み取りを確認する問題であった。
第12問
(1)
一次関数
(関数)
2つの変数の関係が一次関数であるものを的確に選び出せるかを確認する問題であった。
第13問
(1)
二元一次方程式とグラフ
(関数)
二元一次方程式のグラフのもつ意味が理解できているかを確認する問題であった。
第14問
(2)
確率
(資料の活用)
確率を求める、また、確率のもつ意味が理解できているかを確認する問題であった。
第15問
(2)
相対度数、最頻値
(資料の活用)
相対度数のもつ意味や最頻値が何かを理解できているかを確認する問題であった。

数学B・活用

分析科目

中学校3年生 数学B(主として「活用」に関する問題)

見出し(トピックス)

数学Aと同様「資料の活用」が出題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

既習の数学を基にして、数や図形の性質を見出す、日常生活や社会で数学を利用、数学的な表現を用いて根拠を明らかにし筋道を立てて説明するなど今回の学習指導要領の改訂において文科省が重視している「数学的活動・活用力」が、ますます強化される方向と考えられる。

分量・形式(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:6題小設問:15問
問題数、分量など従来とほぼ同様であった。答えの理由、合同の証明など記述量が多かったことも従来どおりであった。

範囲・分野・内容(従来と比較して)

内容的には数を題材にした説明問題や図形の証明問題、答えの理由、考え方など根拠や論理的な思考を記述させるものが出題された。また、これまでは大設問ごとの出題分野がはっきりしていたが、今回では図形問題で関数関係をとらえさせるような分野をまたいだ内容の出題があったことが特徴として挙げられる。

入試への影響

近年の入試で見られるようになった実生活における事象を題材にして、数学的なものの見方や考え方を問う出題が今後も増えていく傾向にあると思われる。

大設問
(合計 15)
出題内容(分野) 分析
第1問
(2)
比例、文字の式の利用
(数と式)
文字の式の計算の結果から分かることがらの理由を説明することができるかを問う問題であった。
第2問
(2)
文字の式の利用
(数と式)
連続する3つの自然数の和について予想したことがらが成立することを文字式を用いて説明したり、新たに予想したことを説明する問題であった。
第3問
(2)
ヒストグラムの読み取り
(資料の活用)
与えられた資料から必要な情報を適切に選択し、それから読み取れることを説明することができるかを問う内容であった。
第4問
(3)
作図手順が正しいことを三角形の合同から証明する
(図形)
三角形の合同条件をとらえ、正確に証明を書く力や合同な図形の性質を理解しているかを問う問題であった。
第5問
(3)
木の高さを図形の性質を利用して数学的に測定する方法を考える
(図形)
二等辺三角形や長方形の性質に着目して導かれた数学的な結果を事象に即して解釈する問題であった。
第6問
(3)
正多角形における頂点の数と外角の大きさとの関係をとらえる
(図形・関数)
図形における数量の関係を関数の視点で観察し、説明することができるかを問う問題であった。

理科

分析科目

中学校3年生 理科

見出し(トピックス)

教科書の内容に基づく基本的な出題、実験・観察に基づいた思考力が試される問題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

教科書レベルの基本的な知識の定着を測る問題もあるが、実験・観察を通して考察したり、さらに実験を追加して行うことでより正しい結果を導き出したりする問題であった。教科書に記述のないチューリップの花の開閉や水と濃い食塩水中の卵の浮き沈みに関する実験について出題し、思考力と論理的に説明する力が試された。

分量・形式

解答時間:45分大設問:4題小設問:26問
選択式が12問、記述式が11問(文章記述が5問)、計算問題が3問

範囲・分野・内容

中学2年までの内容。なお、新課程の単元から、しゅう曲・断層、質量パーセント濃度、浮力が出題された。

入試への影響

出題形式は異なるが、文章記述が多いという点では岐阜県の公立高校入試に見られる。

大設問
(合計 26)
出題内容(分野) 分析
第1問
(6)
光合成と酸素、カエルの呼吸方法の変化、花のつくり、チューリップの花の開閉
(生物)
中学1・2年を通した生物の知識を問う問題、チューリップの花の開閉の観察結果を基に考察する問題、実験の条件の設定を自ら行う問題。
第2問
(7)
電流計の読み取り、電流回路、発光ダイオードと豆電球の消費電力、電力量の計算
(物理)
中学2年で学習した電流回路の知識を問う問題、電力量に関する知識と活用を問う問題。
第3問
(6)
断層、地層の傾き、火山活動の回数、ローム層の厚さ、化石と岩石
(地学)
中学1年で学習した化石や岩石の知識を問う問題、露頭の観察を通して地層の傾きや火山活動の回数、火山灰の広がりを推測する問題。
第4問
(7)
食塩水の濃度と卵の浮き沈み、溶解度、浮力
(化学・物理)
中学1年で学習した食塩水と浮力の知識と計算に関する問題、水に濃い食塩水を加えたときの卵の観察と、その観察から得られた結果を基にさらに実験を考える問題。
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