このページの本文へ移動 | メニューへ移動

文部科学省全国学力・学習状況調査平成25年度 中学校(3年)問題分析

国語A・知識

分析科目

中学校3年生 国語A(主として「知識」に関する問題)

見出し(トピックス)

文章読解に偏らない多彩な出題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

普通に文章を読んで答えるという従来からある「国語」のテストのような問題は、大設問8問中2問しかなく、話し合いやスピーチのような「話す」「聞く」領域について問う問題が幅広く出題されており、教科書を隅々まで学習し、幅広い知識を持つことが求められている。また、「記事の下書きの完成」や「図表の読み取り」において、「国語B」の内容に近い、幅広い「活用」能力が求められており、その分「国語B」は従来の国語のテストに近い内容になってきている。

分量・形式・内容(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:8題小設問:32問
「言語事項」以外の設問はすべて小設問が2問ずつである。全体としての小設問数はあまり変わっていない。「言語事項」以外の設問では、記述式が14%、選択式が86%となっている。「言語事項」以外の設問は、抜き出し式がなくなり、記述式の割合も大幅に減少して、選択式が中心の構成になっている。「聞く」領域以外の「話す」「書く」「読む」「言語事項」の領域はバランスよく出題されているが、「聞く」領域を問うには、リスニングを導入しないと難しいであろう。

範囲・分野(従来と比較して)

3年前の「小学校」の学力テストの出題を意識した設問が2問、昨年の「中学校」の出題を意識した設問が1問見られ、従来あった未習事項の出題は見られなかった。教科書を隅々まで学習し、幅広い知識を持つことが求められており、「国語」という教科を広い枠組みでとらえていく必要があることを示唆していた。国語Bのような「活用」能力を必要とする問題も2問出題された。

入試への影響

公立高校入試では、従来からも単純な「条件作文」は出題されていたものの、このところ第1問・第3問・第4問・第6問・第7問のような設問も出題されるようになってきている。宮崎県の公立入試のように、相当影響が色濃く出ている入試問題もある。一方、私立高校の入試にはほとんど影響が出ていない。

大設問
(合計 32)
出題内容 分析
第1問
(2)
話し合いの方向を捉えて司会の役割を果たす 「話す」「聞く」領域について問う問題である。一は話し合いでの司会の役割について適切な説明を選択させる問い(選択式)。二は話し合いの方向を捉えた司会の発言として適切なものを三つ選択させる問い(選択式)。いずれも平易である。
第2問
(2)
文学的な文章(随筆)を読む 「読む」領域について問う問題である。一は筆者の感想がどのようなことについて述べたものかを選択させる問い(選択式)。二は筆者の感慨の理由について選択させる問い(選択式)。いずれも平易である。
第3問
(2)
記事の下書きを完成する 「書く」領域について問う問題である。平成22年度の小学校の「学力テスト」(国語Aの第4問)で出題された問題と関連した問題である。一は見出しを変更した理由として適切なものを選択させる問い(選択式)。二は前後の表現との接続に注意しながら、伝えたい事柄を明確に書かせる問い(記述式)。一は平易であるが、二は別の資料から必要な情報を取り出したうえでまとめなければならず、書くのがやや大変であったと考えられる。「国語B」の「活用」を問う問題に近い内容の出題であった。
第4問
(2)
図表を読む 「読む」領域について問う問題である。平成22年度の小学校の「学力テスト」(国語Bの第4問)で出題された問題と関連した問題である。一は表現の仕方の適切な説明を選択させる問い(選択式)。二は目的に応じて必要な情報を読み取らせる問い(選択式)。いずれも平易であるが、二は二つの条件をしっかり念頭に置いて選ぶ必要があった。二は「国語B」の方で出題してもおかしくない「活用」を問う問いであった。
第5問
(2)
説明的な文章を読む 「読む」領域について問う問題である。一は図に入る適切な語句を選択させる問い(選択式)。二は二重傍線部の理由を選択させる問い。いずれも平易である。一は文章の内容に関係なく、理科の知識があれば解けてしまうものであった。
第6問
(2)
スピーチをする 「話す」「聞く」領域について問う問題である。一は取材の仕方の適切な説明を選択させる問い(選択式)。二は論理的な構成をわかりやすくするための接続語の適切な使い方を選択させる問い(選択式)。いずれも平易ではあるが、二は頭の中でカードを話に転換しながら考える必要があり、労を要したと考えられる。
第7問
(2)
グラフを基に文章を書く 「書く」領域について問う問題である。一は比較の対象を明確に書かせる問い(記述式)。二は内容に応じて文章の指定された部分を二つに分けさせる問い(選択式)。いずれも平易である。
第8問
(18)
言語事項 「言語事項」について問う問題である。一は漢字の書き取り(記述式3問)。二は漢字の読み(記述式3問)。三は語句の意味や用法についての問い(選択式6問)。四は行書を楷書に書き直す問い(記述式1問)。五は敬語の適切な使い方を選択する問い(選択式2問)。六は修飾・被修飾の関係についての問い(選択式)。七の1は比喩についての問い(抜き出し式)。七の2は歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問い(記述式)。問いはいずれも平易である。なお、五は平成24年度の中学校の「学力テスト」(国語Aの第7問の三イ)で出題された問題と関連した問題である。

国語B・活用

分析科目

中学校3年生 国語B(主として「活用」に関する問題)

見出し(トピックス)

今まで以上に記述力が問われる問題

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

「図」と「文章」、「新聞記事」と「グラフ」のように、二つの素材(非連続型テキスト)が提示され、その関連を問う問題が出題されたが、素材を関連させて考える必要のある問題は少なく、一つの素材を軸に、普通の読解力や記述力を試すような問題が多かった。従来の「国語B」で必要とされていた、「活用」する力を問う内容とは言いづらいものであった。

分量・形式・内容(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:3題小設問:11問
大設問数は3題で従来通り。小設問数は11問に増えて、記述問題は20~50字が1問、70~100字が1問、80~100字が1問、さらに字数制限のないものが2問出題され、全体の記述量も増えている。選択式の設問が5問あり、残りは抜き出し式が1問、記述式が5問であった。選択問題はすべて適切なものを一つ選ばせる問題であり、従来よく出題されていた、答えが一つとは限らないものから該当すると思うものを選ばせる選択問題は出題されなかった。

範囲・分野(従来と比較して)

昨年度は出題されなかった二つの素材(非連続型テキスト)を使用した問題が再び出題され、二つの素材の関連を問われたが、記述問題は非連続型テキストに直接関係のない普通の条件作文であった。第2問の三の作文問題がB問題で問うことになっている「生活場面」を意識した問いなのであろうが、これは従来のような「活用」させる力を要するものではなく、生活の知恵を問うものであった。

入試への影響

公立高校の入試では、「複数の素材」を比較させる問題を出題する県も見られるようになってきている(例 2010年茨城県の入試問題)。一方で、私立高校の入試には影響が出ているとはいえない。

大設問
(合計 11)
出題内容 分析
第1問
(5)
説明的な文章を読み、情報の活用を考える 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材としては「いろはかるた」について説明した文章が使われた。一は段落相互の関係についての適切な説明を選択させる問い(選択式)。二は「図」が示された目的を選択させる問い(選択式)。三は課題を決め、それに応じた情報の収集方法を考えさせる条件作文(記述式)。一は「ところで」で判断しようとすると正解を選べなかった可能性がある。二は平易である。三は「い」で始まることわざが具体例であることがわかっていないと、イの「調べたいこと」が書けなかったと考えられる。
第2問
(3)
文学的文章を読み、感じたことや考えたことを書く 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材として星新一「装置の時代」という小説が使われた。一は主人公の生活について簡潔に答えさせる問い(抜き出し式)。二は表現の効果の適切な説明を選択させる問い(選択式)。三は文章を読んで自分が感じたことや考えたことを書かせる条件作文(記述式)。一は作品のタイトルに使われている言葉を入れることもあり平易である。二は平易ではあるが、文章全体を正確に押さえる必要がある。三は条件1・2を満たすことが困難な書きづらいものであった。
第3問
(3)
説明的な文章と資料を読み、漢字について考える 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材としては文化庁「平成23年度 国語に関する世論調査」に関する「全国新聞」(架空の新聞)の記事と、「平成21年度 国語に関する世論調査」の資料(グラフ)が使われた。一は新聞記事の構成や内容に関する特徴の適切な説明を選ばせる問題(選択式)。二は提示された資料が、新聞記事とどのように関連しているかを選ばせる問い(選択式)。三は新聞記事と資料に関連した二つの例のどちらかを選び、それに関する説明を自分で考えて書かせる問い(記述式)。一・二は平易であるが、新聞記事や資料の各部分と選択肢の内容を丁寧に照らし合わせる作業を怠った生徒は、正解を選びにくかった可能性がある。三は生徒にとっては馴染み深いテーマであるものの、漢字を学習する際の注意点やコツを自分の言葉で表現しなければならず、書きやすいものではなかったと考えられる。

数学A・知識

分析科目

中学校3年生 数学A(主として「知識」に関する問題)

見出し(トピックス)

内容、難易度ともに変化なし。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

証明の普遍性を問う問題、作図方法の根拠を考えさせる問題、さらに関数や確率の定義を問う問題に見られるように、単に問題解決の手続きを理解するだけでなく、その意味や背景の理解とともに問題解決ができる能力を身につけることを求めていると考えられる。

分量・形式(従来と比較して)

解答時間45分大設問:15題小設問:36問
問題形式は選択式および短答式で従来どおりである。

範囲・分野・内容(従来と比較して)

従来と同様、各領域から満遍なく出題された。特に新学習指導要領において設けられた「資料の活用」の領域からの問題は、学習指導の浸透度を図る目的で継続的に出題されているものと考えられる。

入試への影響

「資料の活用」、「関数」の分野の問題において多く見られるように、我々の実生活におけるいろいろな事象を数学的ものの見方、考え方で捉え、問題解決できる能力を必要とする問題の出題頻度がますます高くなることが予想される。

大設問
(合計 36)
出題内容(分野) 分析
第1問
(4)
分数の計算、正負の計算、数のひろがりと四則計算
(数と式)
分数の乗法、正負の計算、数の集合と四則計算の可能性についての理解、正の数、負の数の意味が実生活の場面において反映され、理解できるかを確認する問題であった。
第2問
(4)
文字の式、式の計算、等式変形
(数と式)
文字式の計算の仕方、与えられた文字式がどのような数量を表しているかの読み取り、数量を文字の式で表す、等式の性質を利用した等式変形が理解できているかを確認する問題であった。
第3問
(3)
一次方程式、二元一次方程式、連立二元一次方程式
(数と式)
一次方程式の解き方、二元一次方程式の解の意味が理解できているか、また、文章から2通りの数量関係を把握し、連立二元一次方程式をつくることができるかを確認する問題であった。
第4問
(3)
拡大図、対称図形、回転移動
(平面図形)
条件に従った拡大図をかく、角の二等分線の作図方法を図形の対称性に着目して捉えることができるか、回転移動の意味を理解をしているかを確認する問題であった。
第5問
(3)
空間内の2直線の位置関係、投影図、円柱及び球の体積
(空間図形)
空間内の2直線の位置関係が理解できているか、見取図、投影図から空間図形を読み取ることできるか、球の体積をそれがぴったり入る円柱の体積との関係から理解できるかを確認する問題であった。
第6問
(2)
平行線と角、五角形の外角
(平面図形)
平行線と角の性質、多角形の外角についての理解を確認する問題であった。
第7問
(3)
三角形の合同、記号表記、平行四辺形の作図
(平面図形)
三角形の合同条件の理解、図形の性質を記号を用いて的確に表す、作図の根拠として考えられる平行四辺形になるための条件が理解できているかを確認する問題であった。
第8問
(1)
三角形の合同証明
(平面図形)
証明することの意義を問う問題であった。
第9問
(1)
関数の定義
(関数)
関数の意味を理解しているかを確認する問題であった。
第10問
(4)
点の座標、比例の性質、反比例のグラフ
(関数)
座標平面上にある点の位置を表したり、比例の式とグラフとの関係が理解できているか、反比例のグラフをかくことができるかを確認する問題であった。
第11問
(2)
一次関数
(関数)
一次関数の式について、xの値から対応するyの値を求めることができるか、また、xの値とyの値の対応表から一次関数の変化の割合を求めることができるかを確認する問題であった。
第12問
(1)
一次関数
(関数)
具体的事象からxとyの関係を式に表すことができるかを確認する問題であった。
第13問
(1)
二元一次方程式とグラフ
(関数)
二元一次方程式のグラフの特徴が理解できているかを確認する問題であった。
第14問
(2)
平均値、相対度数
(資料の活用)
相対度数のもつ意味や平均値が何かを理解できているかを確認する問題であった。
第15問
(2)
確率
(資料の活用)
確率を求める、確率の持つ意味が理解できているかを確認する問題であった。

数学B・活用

分析科目

中学校3年生 数学B(主として「活用」に関する問題)

見出し(トピックス)

記述量が多いため、解答時間内に解決することが厳しいか?

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

既習の数学を基にして、数や図形の性質を見出す、日常生活や社会で数学を利用、数学的な表現を用いて根拠を明らかにし筋道を立てて説明するなど、学習指導要領の改訂において文科省が重視している「数学的活動・活用力」が、ますます強化される方向と考えられる。

分量・形式(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:6題小設問:16問
問題数、分量など従来とほぼ同様であった。答えの理由、合同の証明など記述量が多かったことも従来どおりであった。

範囲・分野・内容(従来と比較して)

内容的には数を題材にした説明問題や図形の証明問題、答えの理由、考え方など根拠や論理的な思考を記述させるものが出題された。また、前回では図形問題で関数関係をとらえさせるような分野をまたいだ内容の出題があったが、今回は大設問ごとの出題分野が明確であった。

入試への影響

近年の入試で見られるようになった、実生活における事象を題材にして数学的なものの見方や考え方を問う出題が今後も増えていく傾向にあると思われる。

大設問
(合計 16)
出題内容(分野) 分析
第1問
(3)
一次関数とその利用
(関数)
ある具体的な事象について、与えられた言葉の式を解釈して、値を求めることができるか、また、与えられた言葉の式から2つの数量についてその関数関係をとらえ、その結果を数学的な表現を用いて説明することができるかを問う問題であった。
第2問
(2)
文字の式の利用
(数と式)
与えられた2つの数の差、和について、予想した事柄を文字式を用いて説明することができるかを問う問題であった。
第3問
(3)
一次関数とその利用
(関数)
与えられたグラフから、2つの数量について関数関係を解釈し、値を求めたり、いくつかの他の事象の中から同様の関数関係であるものを選ぶことができるかを問う問題であった。
第4問
(2)
三角形の合同、平行四辺形の性質
(図形)
ある1つの結論について異なる2つの根拠(三角形の合同の利用、平行四辺形の性質の利用)を用いて証明する問題であった。
第5問
(3)
ヒストグラムの読み取り
(資料の活用)
与えられたヒストグラムから必要な情報を適切に読み取れるか、また、新たに資料を整理して得られたヒストグラムからわかる事柄の特徴を数学的に説明でき、その事柄に即した長方形を選ぶことができるかを問う問題であった。
第6問
(3)
文字式の利用
(数と式)
正三角形の辺上に並べられた碁石の総数を、いろいろな観点から文字の式に表すことができるか、また与えられた式が成り立つ理由を筋道立てて説明できるかを問う問題であった。
  • 私と河合塾
  • 時代を読み解くキーワード