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文部科学省全国学力・学習状況調査平成26年度 中学校(3年)問題分析

国語A・知識

分析科目

中学校3年生 国語A(主として「知識」に関する問題)

見出し(トピックス)

文章読解に偏らない多彩な出題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

普通に文章を読んで答えるという、従来からある「国語」のテストのような文章読解の問題は、大設問8問中2問しかなく、話合いや報告会のような「話す」「聞く」領域について問う問題が幅広く出題されており、教科書を隅々まで学習し、幅広い知識を持つことが求められている。また、「フリップ・配布資料」と報告との比較、話合いの進行や発言の比較において、「国語B」の内容に近い、幅広い「活用」能力が求められている。

分量・形式・内容(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:8題小設問:32問
大設問数、小設問数は従来と変わっていない。第8問の「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」以外の設問では、短答式が20%、選択式が80%となっている。第8問以外の設問は抜き出し式がなく、選択式が中心の構成になっている。「聞く」領域以外の「話す」「書く」「読む」「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の領域はバランスよく出題されているが、「聞く」領域を問うには、リスニングを導入しないと難しいであろう。

範囲・分野(従来と比較して)

以前の「小学校」の学力テストの出題を意識した設問が2問、以前の「中学校」の出題を意識した設問が5問見られた。未習事項の出題は見られなかった。教科書を隅々まで学習し、幅広い知識を持つことが求められており、「国語」という教科を幅広い枠組みでとらえていく必要があることを示唆している。「国語B」のような「活用」能力を必要とする問題が大設問で2題出題された。

入試への影響

第1問・第2問・第4問・第6問・第7問のような設問は、宮崎県の公立高校入試などにも類似した設問が見られる。「国語A」のみに限定するのは難しいが、「国語B」も含めて考えると、福井県や静岡県の公立高校入試問題のように影響が出ていると考えられるものがいくつか見られる。私立高校入試にはほとんど影響が出ていない。

大設問
(合計 32)
出題内容 分析
第1問
(2)
報告会をする 「話す」「聞く」領域について問う問題である。一はフリップの効果を説明したものとして適切なものを選択させる問い(選択式)。二は報告の内容を踏まえた質問として適切なものを選択させる問い(選択式)。いずれも平易である。「国語B」の「活用」を問う問題に近い内容の出題であった。
第2問
(2)
物語を書く 「書く」領域について問う問題である。一は主人公の気持ちの変化にふさわしい空の描写として適切なものを選ばせる問い(選択式)。二は仲直りができてうれしい主人公の気持ちを印象深く伝えるために書き換えさせる問い(短答式)。一は平易であったが、二は語彙力がないと悩む可能性があった。
第3問
(3)
文学的な文章(小説)を読む 「読む」領域について問う問題。素材としては『坊っちゃん』が使われた(『坊っちゃん』は教科書にも使われるが、その場合は中1である)。一は主人公の心情が生じた理由について適切なものを選択させる問い(選択式)。二は文脈に合った語句の意味を選択させる問い(選択式)。三は主人公の心情の説明として適切なものを選択させる問い(選択式)。いずれも平易である。
第4問
(2)
ウェブページを作成する 「書く」領域について問う問題である。平成23年度の小学校の「学力テスト」(国語Aの第5問)で出題された問題と関連した問題である。一はウェブページの項目として適切なものを選択させる問い(選択式)。二は主語を置き換えて行事の記録を書き直す問い(短答式)。いずれも平易である。
第5問
(2)
説明的な文章を読む 「読む」領域について問う問題である。一は抽象的な概念が指し示す語句の組合せとして適切なものを選択させる問い(選択式)。二は傍線部の理由として適切なものを選択させる問い(選択式)。いずれも平易である。
第6問
(2)
話合いをする 「話す」「聞く」領域について問う問題である。平成23年度の小学校の「学力テスト」(国語Bの第1問の二(1))で出題された問題、および平成25年度の中学校の「学力テスト」(国語Aの第1問の二)で出題された問題と関連した問題である。一は二人の発言を聞いて、意見の相違点を整理させる問い(短答式)。二は話合いの方向を捉えた司会の役割として適切なものを選択させる問い(選択式)。一は平易だが、二は素材を離れて自分の考えを答えてしまう者がいると考えられる。関連した問題が平成23年度の小学校の「国語B」で出題されていたように、「国語B」の「活用」を問う問題に近い内容の出題であった。
第7問
(2)
絵の鑑賞文を書く 「書く」領域について問う問題である。一は文章を書くために使った付箋として適切なものを選択させる問い(選択式)。二は文章の構成を変える理由として適切なものを選択させる問い。いずれも平易であるが、問題を解くには「付箋」と「文章の下書き」を見れば十分であり、絵を見る必要がなく、絵を大きく載せるためにページの向きを変えて出す必然性があったかどうかは疑問である。
第8問
(17)
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の領域について問う問題である。一は漢字の書き取り(短答式3問)。「招待」は平成24年度と同一の問いである。二は漢字の読み(短答式3問)。「音響」は平成20年度と同一の問いである。三は適切な語句を選択させる問い(選択式7問)。「単刀直入」は平成19年度と同一の問いである。四は辞書を活用して、語句の意味を適切に書かせる問い(短答式)。五の1は歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問い(短答式)。平成25年度の第8問の七の2と関連した問いである。五の2は古文に当てはまる言葉を昔話の中から抜き出させる問い(短答式)。六は文字を書く際に生かしたアドバイスとして適切なものを選択させる問い(選択式)。問いはいずれも平易である。

国語B・活用

分析科目

中学校3年生 国語B(主として「活用」に関する問題)

見出し(トピックス)

複数の素材を活用する力が問われる問題。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

従来のような「図」・「グラフ」と「文章」という、はっきりした非連続型の素材ではなく、複数の文章素材が提示されていたが、昨年度と違って素材の関連を考えなくてはならず、従来の「国語B」で必要とされていた、「活用」する力を問う出題に戻った。

分量・形式・内容(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:3題小設問:9問
大設問は3題で従来通り。昨年度11問に増えた小設問は、従来の9問に戻った。記述問題は40~60字が1問、20字~50字が1問、50字~80字が1問出題された。全体の記述量は昨年度よりやや減った。また、昨年度のように字数制限のないものはなく、記述問題も2問減った。選択式は6問出題され、抜き出し式のものは1問も出題されなかった。

範囲・分野(従来と比較して)

従来のような「図」・「グラフ」と「文章」というはっきりした非連続型の素材ではなく、複数の文章素材が提示されていた。その間の関連を正確に捉えたうえで、選択肢を選んだり、考えをまとめたりしなくてはならず、労を要するものであった。素材の内容も、従来よく見られた生活場面から少し遠ざかったものが使われた。

入試への影響

公立高校入試で「図」や「グラフ」の読み取りが出題されることはあっても、複数の素材を比較させる問題はこのところ出題されていない。

大設問
(合計 9)
出題内容 分析
第1問
(3)
読書についての標語を考える 「読む」「書く」「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」領域について問う問題である。素材としては、「読書週間」の標語を整理した「ノート」が使われた。一は標語に使用されている表現の技法として適切なものを選択させる問い(選択式)。平成24年度の国語Aの第3問の2で出題された問題と関連した問題である。二は標語から伝わってくるメッセージを書く際に気を付けたこととして適切なものを選択させる問い(選択式)。三は「ノート」を参考に与えられた標語から「メッセージ」と「表現の工夫とその効果」について自分の考えを記述する問い(記述式)。一、二は平易である。三はBの標語を選択すると「ノート」を参考にして多くを書くことができるが、Aの標語を選択すると自分で考える要素が大きくなり、書きづらかったと考えられる。また、どのくらいのことまで書けばいいのか、判断に困る問いであった。
第2問
(3)
説明的な文章を読む 「読む」「書く」領域について問う問題である。素材として「接着剤について書かれた本の一部」(オリジナル)と「インターネットの情報の一部」(経済産業省ウェブページによる)が使われた。一は複数の資料を比較して読み、それぞれの資料の説明として適切なものを選択させる問い(選択式)。二は複数の資料を使って答えが得られる疑問を二つ選択させる問い(選択式)。三は資料から適切な情報を得て、与えられた事柄の理由を説明させる問い(記述式)。一は二つの資料の関係を正確に把握しなければならず、選択式とはいえ簡単とはいえない。二は平易である。三は文章中に接着剤の可逆性の説明がなく、「アンカー効果」という言葉を使うのに苦労したと考えられる。
第3問
(3)
落語を味わう 「読む」「書く」「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」領域について問う問題である。素材としては、「落語を紹介する本の一部」(オリジナル)、「落語『目黒のさんま』のあらすじ」(オリジナル)、興津要「目黒のさんま」(『古典落語』所収)が使われた。一は複数の素材から必要な情報を読み取らせて、適切なものを選択させる問い(選択式)。二は落語に登場する人物の言動の意味を考えさせ、その姿を選択させる問い(選択式)。三は落語に表れているものの見方や考え方について、根拠を明確にして自分の考えを記述させる問い(記述式)。一は平易である。二は「落ち」ということが理解できていないと迷う可能性がある。三は自分の考えを述べるにあたり、文章から「引用したり要約したりして示す」という条件を満たすのが大変であったと考えられる。

数学A・知識

分析科目

中学校3年生 数学A(主として「知識」に関する問題)

見出し(トピックス)

内容、難易度ともに変化なし。

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

証明の普遍性を問う問題、作図方法の根拠を考えさせる問題、さらに関数や確率の定義を問う問題に見られるように、単に問題解決の手続きを理解するだけでなく、その意味や背景の理解とともに問題解決ができる能力を身につけることを求めていると考えられる。

分量・形式(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:14題小設問:36問
分量、出題形式ともに従来通りであった。

範囲・分野・内容(従来と比較して)

従来と同様、各領域から満遍なく出題された。特に現行の学習指導要領において設けられた「資料の活用」の領域からの問題は、学習指導の浸透度を図る目的で継続的に出題されているものと考えられる。

入試への影響

「資料の活用」、「関数」の分野の問題において多く見られるように、我々の実生活におけるいろいろな事象を数学的ものの見方、考え方で捉え、問題解決できる能力を必要とする問題の出題頻度がますます高くなることが予想される。実際に「資料の活用」に関する問題は、今年度の全国都道府県の入試において、非常に多く出題された。

大設問
(合計 36)
出題内容(分野) 分析
第1問
(4)
分数の除法、正の数・負の数とその計算
(数と式)
分数の除法計算、正・負の数の四則計算、絶対値の意味、具体的な題材における正・負の数の利用に関して理解しているか確認する問題であった。
第2問
(4)
不等式、文字式とその計算、式の値
(数と式)
数量の関係を不等式に表す、単項式の除法、式の値を求める、数量を文字式に表すことに関して理解しているか確認する問題であった。
第3問
(4)
方程式の解き方とその利用
(数と式)
一次方程式の解き方、連立二元一次方程式の解き方が理解できているか、また、文章から2通りの数量関係を把握し、連立二元一次方程式をつくることができるか確認する問題であった。
第4問
(3)
線対称な図形、垂直二等分線の作図、回転移動
(図形)
線対称な図形を完成する、線分の垂直二等分線の作図方法に基づいて、作図した図形の特徴を捉えることができるか、回転移動における対応する角を捉えることに関して理解しているかを確認する問題であった。
第5問
(4)
空間図形における直線と平面の位置関係、空間図形のでき方、展開図
(図形)
空間における直線と平面の位置関係、平面図形による空間図形の構成、見取図や展開図の読み取り、同じ底面積、高さの柱体と錐体の体積の関係に関して理解しているか確認する問題であった。
第6問
(3)
平面図形の基本的な性質
(図形)
記号で表された式の意味を読み取ることができるか、三角形の内角と外角との関係を捉えることができるか、多角形の内角の和を表す式の意味を理解しているか確認する問題であった。
第7問
(1)
三角形の合同条件
(図形)
三角形の合同条件を理解しているか確認する問題であった。
第8問
(1)
証明の方針
(図形)
証明の方針の必要性とその意味を理解しているか確認する問題であった。
第9問
(1)
関数の意味
(関数)
関数の意味を理解しているか確認する問題であった。
第10問
(4)
比例・反比例の意味とその表現
(関数)
比例の関係を式に表すことができるか、反比例における X の値と Y の値の変化の特徴を理解しているか、与えられた条件における2つの数量関係を捉えることができるか、反比例について、グラフと表を関連付けて理解することができるかを確認する問題であった。
第11問
(2)
一次関数の表とグラフ
(関数)
一次関数の変化の割合の意味、グラフの特徴を理解しているか確認する問題であった。
第12問
(1)
連立二元一次方程式と一次関数のグラフとの関係
(関数)
連立二元一次方程式の解は、座標平面上の2直線の交点の座標として求められることを理解しているか確認する問題であった。
第13問
(2)
相対度数の求め方、中央値の意味
(資料の活用)
相対度数の求め方や中央値の意味を理解しているか確認する問題であった。
第14問
(2)
確率の意味と求め方
(資料の活用)
確率を求める、確率の持つ意味が理解できているかを確認する問題であった。

数学B・活用

分析科目

中学校3年生 数学B(主として「活用」に関する問題)

見出し(トピックス)

記述量多し!!

今回の学力調査から読み取れること(方向性や求められる学力など)

既習の数学を基にして、数や図形の性質を見出す、日常生活や社会で数学を利用、数学的な表現を用いて根拠を明らかにし筋道を立てて説明するなど学習指導要領の改訂において文科省が重視している「数学的活動・活用力」が、ますます強化される方向と考えられる。

分量・形式(従来と比較して)

解答時間:45分大設問:6題小設問:15問
分量は小設問数が16問から1問減少した。出題形式は従来通りであった。答えの理由、合同の証明など記述量が多かったことも従来通りであった。

範囲・分野・内容(従来と比較して)

内容的には数を題材にした説明問題や図形の証明問題、答えの理由、考え方など根拠や論理的な思考を記述させるものが出題された。また、以前においては図形問題で関数関係をとらえさせるような分野をまたいだ内容の出題があったが、今回は大設問ごとの出題分野が明確であった。

入試への影響

近年の入試で見られるようになった実生活における事象を題材にして、数学的なものの見方や考え方を問う出題が今後も増えていく傾向にあると思われる。

大設問
(合計 15)
出題内容(分野) 分析
第1問
(3)
事象の図形的な考察と問題解決の方法
(図形)
日常的な事象を表した図から必要な情報を取り出し、空間における図形の位置関係や特徴を的確に捉えることができるか、また、日常的な事象を単純化して、問題解決のために数学が活用できるかを確認する問題であった。
第2問
(3)
反例をあげて説明すること
(数と式)
与えられた説明の筋道を読み取り、その説明を完成させることができるか、また、予想された事柄が成り立たないことを判断し、反例をあげ、その事柄が成り立たない理由を説明することができるかを問う問題であった。
第3問
(2)
日常的な事象を数学的に解釈すること
(関数)
日常的な事象における、2つの数量の測定結果をグラフに表すことで、2つの数量の関係を数学的に説明することができるかを問う問題であった。
第4問
(2)
構想を立てて証明し、証明を振り返って考えること
(図形)
線分の長さが等しくなることを構想を立てて証明することができるかを問う問題で(A 第8問 関連)、また、追加された条件の下で証明を振り返り、その過程で見出した事柄や証明された事柄を用いて角の大きさが求められるかを問う問題であった。
第5問
(2)
不確定な事象の数学的な解釈と判断
(資料の活用)
不確定な事象を含む問題場面において、与えられた情報を分類、整理することができるか、また、不確定な事象の起こりやすさの傾向を捉え、判断の理由を数学的な表現を用いて(確率を用いて)説明することができるかを問う問題であった。
第6問
(3)
数学的な表現の事象に即した解釈と問題解決の方法
(関数)
与えられたグラフから、2つの数量について関数関係を解釈し、問題を解決することができるか、また、グラフの傾きや交点の意味を理解し、結果の改善を図ることができるかを問う問題であった。
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