このページの本文へ移動 | メニューへ移動

カンボジア教育支援活動現地支援報告(2002年3/11~17)

2002年「3月報告」

2002年3月、講師・職員および大学受験科生・高校グリーンコース生、大検クラス生や大学生ら20名弱で現地入りしました。訪問先であるカンボジア・プレイベン州では、かなりの間雨が降っていないということで地面は粉のような砂地となっていました。 今回の訪問の目的は、一足先に船便で送っていた机・椅子・文房具等の寄贈と、支援先である「Cambodia-Japan Friendship School(以下、友好学園)」の生徒や先生たちとの交流です。

河合塾各校舎と、「中京コカ・コーラ」さんからのご協力もあり集まった机・椅子およそ1200。また、チョークや河合塾生らの協力による文房具がダンボールにして111個、コン・ボーン氏のご尽力により友好学園へ無事到着し、現地の生徒や先生方の手で学校内へ運ばれました。友好学園では、2002年7月に初の中学卒業生が誕生します。中高一貫教育を目標に、現在隣接して高校と図書館を建設中です。これらの机はどちらでも有効に利用されることでしょう。また、日中はとても暑い学校内に木陰ができるようにと、校舎に隣接してアカシアの木を植えました。こちらもコン・ボーン氏のご尽力によりプノンペンから運ばれた苗を、それほど暑くないうちにと朝7時から始まる1時限目の授業時間を使い、生徒たちと共に植林しました。

机を運搬する生徒や先生方机を運搬する生徒や先生方

建設中の高校と図書館建設中の高校と図書館

日本からきた我々からすれば足りない物が多いこの学校も、この地区では設備の整っている学校と言えます。そこで近隣の学校にも文房具や机を寄贈します。車で10分程度の小学校では、ダンボールにして2箱以上の文房具を用意しましたが、生徒一人一人に配ると一人鉛筆一本程度になってしまいます。それでも小さな声で"オークン(ありがとう)"と言って大事そうに握りしめる子どもたち。その中には、近くの市場で豚肉を売っていた幼い少女の姿もありました。

友好学園では授業料が無料です。それでも、全員が入学して卒業するまで在学する訳ではないと言います。子どもと言っても貴重な働き手であり、少しでも言葉と計算ができるようになったら辞めてしまう場合があるのです。また、片道2時間かけて通ってくる生徒もいます。通いきれず近くに家をたてて共同生活を送る生徒もいます(ちなみに自転車が壊れたから共同生活にしたという生徒がいました。カンボジアでは自転車の修理代より家を建てる方が安いそうです。)

友好学園に日本語教師を派遣している「フロム佐賀」のご協力で、日本語の授業時間をいただき、7・8年生は塾生を始めとする日本の学生たちにより、9年生は講師により授業をさせていただきました。9年生は卒業試験を控え皆一生懸命に勉強していると言います。高校へ入学できるのは100人いたら2~3人というのが普通のようですが、友好学園では70%近くの入学を期待しているとのことです。そのため、河合塾からの支援として教科書を持たない生徒たちのために教科書200冊を印刷し贈呈しました。

河合塾の机で勉強する小学生河合塾の机で勉強する小学生

9年生の授業を行う石川先生9年生の授業を行う石川先生

この地区では恵まれた環境と言える友好学園ではありますが、それでもノートはたいてい1冊を大切に使っています。ノートを持たない子どもたちは、小さな紙を大事そうにポケットへ入れて持ち歩いています。授業の中で、河合塾の世界史科講師 金先生が「カンボジア憲法論」を題材に取り上げました。カンボジアの歴史など皆興味深げに聞いていた姿がとても印象的でした。日本では当たり前となっている自国の歴史や憲法についても、教えられる先生が少ないのが現状のようです。 生徒たちは口々に「医者になりたい」「先生になりたい」と言います。「この村には医者がいないから」「学校の先生が足りないから」と。そして学校の先生たちは「生徒たちには卒業したら国のために働いてほしい」と言います。まだまだ足りないものはたくさんありますが、この国には「未来」がたくさんあります。

カンボジアの子供たちと一緒にカンボジアの子供たちと一緒に

今回参加した日本の学生から、感想を聞きました。

・・ 生徒たちは何よりも目がいきいきしており、勉強熱心という印象が強かった。人員、特に教員数、勉強道具が不足しており、世界の事情(貧困国、富める国のこと)などを知ることが必要。(2000大学受験科生・男)

・・ 私が見て感じたカンボジアは、内戦が終わってやっと歩き始めたばかりの国だと思います。だからこれから国を支えていく人材を育てるという意味では「教育」というものがやはり必要なのではないでしょうか。生徒たちには世界のことを知った上で、自分自身と国のことをじっくり考えていって欲しいです。(2001大学受験科生・女)

・・ 私は、正直言って、カンボジアに関しても、教育に関しても知識はゼロに近いです。このツアーはそんな私でもできることがあるような気にさせてくれました。私が支援活動に携わって感じたことは、どんな規模の支援でも、みんな正解はわからず、こうすれば良くなるんじゃないかなと思いながら活動しているんだということです。その意味で、どんな大きな支援でも、小さな支援でも変わりはなく、また自分は何もできない、自分にはそんな力はないと縮こまることはなく、第一歩が大切だなと思います。(大学生・女)

河合塾では、今後も継続して支援を行っていきます。文房具などまだまだ必要とするものが多くあります。特にカンボジアのお世辞にも良いと言えない質の紙には「ボールペン」が欠かせません。また語学の学習に役立つ「英和辞書」「国語辞典」(どちらも小学校低学年向けのもの、イラスト入りだと喜ばれます)が必要です。皆様のご協力をお待ちしております。

  • 私と河合塾
  • [連載]「河合塾にフォーカス