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河合塾フォーカス

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全統模試活用法

~学習効果を高めるサポートツール~|06|模試スペシャリストに聞く!「全統模試活用法」1~偏差値・判定の基礎編~

受験生の中には、「模試」の偏差値や判定だけを見て一喜一憂してしまい、上手に生かせていないケースも少なくありません。そこで、意外と知られていない「模試」の活用法について、2回にわたりお伝えします。2021年08月18日公開

第1回目は、「模試活用法」の偏差値・判定の基本編です。
現役合格をめざす受験生ミライくん(★)の「偏差値」や「判定」の疑問や不安を解決するべく、ミライくんの担当で、進学アドバイザーの のぞみチューター(●)と一緒に河合塾の全統模試の第一人者である秀夫(◆)に話を聞いた。※所属は取材時のものです。

偏差値を使う利点がわかった!

偏差値

★ミライくん:受験学年になって初めて受験した全統模試が返却されました。

●のぞみチューター:不思議そうな顔で成績表を見ているけれど、成績はどうでしたか?

★ミライくん:得点を見ると前回より良かったものもあれば、同じ点数なのに偏差値が低いものもあります。そもそも偏差値とはどのような指標ですか?

●のぞみチューター:偏差値は、得点や平均点のように模試ごとに変わりやすいものではなく、全体の母集団の中での位置づけを表す数値です。位置づけですので、順位と理解しても良いと思います。順位ですので、平均点が高いとき、平均点が低いときであっても、偏差値の数値は大きくは変わるものではありませんし、どんな試験でも、平均点の偏差値は必ず50となります。
偏差値は異なる教科・異なる集団における位置づけを標準化して、適正な現在地を示してくれるとても信頼度の高い指標ということになります。

★ミライくん:偏差値は、どのように出すのですか?

◆村瀬さん:偏差値は、「標準偏差」という得点分布の散らばりの度合を表す値と、「平均点」を用いて、次の計算式で算出します。
「偏差値=(得点―平均点)/標準偏差×10+50」で求めることができます。
偏差値については、知っておいてほしいポイントが2つあります。
一つ目は、平均点の偏差値は必ず50になるということ。
二つ目は、標準偏差分の得点が偏差値10に相当するということ。
特に二つ目は、目標との距離感をつかむときなど、いろんな場面で活用できるので、ぜひ覚えておきましょう。

★ミライくん:なるほど。だから、物理も化学もそれぞれ同じ点数を取ったけれど、偏差値が異なるのですね。

●のぞみチューター:そうです。右上のグラフのアミカケ箇所が80点以上の人数を示しており、この面積を比べると同じ80点でも物理より化学の方が80点以上の「面積が小さい=人数が少ない」ということになりますので、全体の中ではより上位に位置しているということになります。物理の偏差値64.8と化学の偏差値71.4はこの違いを表しており、偏差値が高い=位置づけが上ということを意味しています。

偏差値を上げるのに必要な得点はわかるの?

教科科目別成績順位

★ミライくん:英語の偏差値を「60.0」に上げるためには、あと何点とればいいのかな?

●のぞみチューター:まずは、ミライくんの英語の点数を見てみましょう。今回は、リーディングとリスニング合わせて123点・偏差値は57.0です。計算上は、標準偏差の「1/10」の得点をとれば、偏差値を「1」上げることができますが、河合塾のHPから簡単に確認できますよ。
<参考>成績統計資料データ「教科科目別成績順位表」
https://www.kawai-juku.ac.jp/zento/statistics/

こちらを見ると、たとえば今回の模試で、偏差値60.0に到達するためには、得点が133点必要でした。ミライくんの場合には、偏差値3を上げるためにあと10点必要です。英語の配点を鑑みると、あと2~3問正解することができればプラス10点に、つまり目標の偏差値60.0に到達できるということがわかりますね。

★ミライくん:なるほど! あと2~3問だと考えると、ケアレスミスや問題の見間違えをなくせば、目標の偏差値まであと一歩のような気がしてきました。ほかの教科も河合塾のHPで確認してみます!

模試がE判定だったら合格は難しいの?

村瀬秀夫さん

★ミライくん:受験学年になって初めての模試で、第一志望大学がE判定だなんてショックだな。

◆村瀬さん:確かに、「E判定は合格の可能性20%以下(※)」と聞くと、一般的には残念に思うかもしれません。しかしながら、判定はミライくんが模試を受験した時点での評価にすぎず、今後の学力の伸びを予想して出しているものではありません。たとえば、4・5月の模試であれば入試本番まで半年以上ありますし、直前期の10・11月の模試の後でも入試本番までには約3カ月ありますので、入試本番までの学習の取り組み方次第で合格を勝ち取ることは決して不可能ではありません。判定は、合格圏内までの追い込みの可能性として理解し、勉強してほしいと思います。

★ミライくん:まだまだ僕にもチャンスはあるということですね。

●のぞみチューター:その通りです。特に現役生は、夏前の時点ではまだ履修していない範囲がありますよね。苦手分野の克服などの蓄積が開花したタイミングで急激に伸びることが多いです。そもそも定期試験は、入試と比較した場合、かなり狭い範囲での出題となるため、短期の対策で効果が出やすくなります。入試では授業で学んだ知識を活用する力が必要となりますので、模試の復習の仕方や度合いによって成果の出方が大きく変わってきます。現時点での自分の学力を正確に把握し、計画的に学習することがとても大切になってきますよ。

★ミライくん:なるほど。成果として現れるようになるには時間がかかるということですね。あらためて、判定について、一喜一憂してはいけないことがわかってきました。志望校の合格圏内まであと30点!少しでも成績が伸ばせるように、頑張ります!

(※)判定は、合格可能性を数値(%)で示したものです。
A判定…80%以上・B判定…65%・C判定…50%(ボーダーライン)・D判定…合格可能性35%・
E判定…合格可能性20%以下
※国立大入試オープンは合格可能性評価基準が異なります。
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◆村瀬秀夫(むらせひでお)学校法⼈河合塾 模試統括部 部⻑。1990年⼊塾。2001年より全統模試の業務に携わり、2010年以降、模試を含む⾼校向け商品・サービスの企画開発に従事し、2019年より現職。『全統模試』の全体を統括する、河合塾における模試の第⼀⼈者。