このページの本文へ移動 | メニューへ移動

河合塾フォーカス

河合塾グループの取り組みに焦点をあててご紹介するページです。

亀井俊輔さんと藤村豊さん

データ分析のスペシャリストに聞く|10|『情報の河合塾』① 〜精度の高い情報をいかに集めるか〜

高校生や進路指導の先生方に不可欠な受験情報には、大学ごとの科目・配点や出題範囲のような細かなものから、今後の大学教育の行方など大きなものまでさまざまな種類があります。これらの情報の収集・分析・発信を一手に引き受ける学校法人河合塾 教育情報部の奮闘を2回にわたってお伝えします。2022年01月14日公開

1回目は、『情報の河合塾』と呼ばれるようになった背景と現状に迫ります。

『情報の河合塾』と呼ばれるようになった背景

亀井俊輔さん

創立者が自宅で始めた私塾を原点に持つ河合塾は、受験に必要な情報だけでなく、高校教育や大学教育に関する情報まで幅広く扱っており、受験生や入試関係者から絶大な信頼を得ている。その原点はどこにあるだろうか。教育情報部長の亀井俊輔は次のように語る。

「塾・予備校として発展していくなかで、生徒の指導に役立つものは何かといった観点で必要な情報の収集・分析が始まっていったのだろうと思っています。河合塾の最初の大学入試難易ランキング表も50年以上前の1965年に作成していますし、その頃から受験情報を発信する情報誌の発刊も始まっています。こうした流れが現在の教育情報部にも引き継がれています」

情報の入手先も幅広い。
「現在では、国や文部科学省、大学入試センター、各種団体、大学など多くの機関・組織を対象としており、ホームページやパンフレット、配布物などの入手はもろちん、各種審議会、ニュースリリース、セミナー、報告会、研究会などにも極力足を運ぶようにして、できるだけ新鮮な情報を収集するよう心がけています」(亀井)

入試情報と入試結果は特に力を入れて収集・発信

藤村豊さん

受験情報で大きなウエイトを占めているのが、今後実施されていく入試の情報と直近の入試結果だ。
「入試情報は、大学によっては前年~年度始めに公表される次年度入試の変更点、7月末までに出される国公立を中心とした入学者選抜要項、12月頃に公表される各大学の学生募集要項などを中心に収集しています。もちろん公表後の変更に備えて、ホームページを中心に定期的に確認しています」(亀井)

入試情報では試験科目や配点はもちろん、英語ならリーディングとリスニングの配点比率、国公立大によっては実施される第一段階選抜の内容、いくつかの私大で定められている基準点といった、合否に関わるような細かな情報も忘れずにチェックしている。

受験生は、合格可能性だけで大学を決めているわけではない。そのため、地方試験会場、受験料や初年度納付金などのほか、取得できる資格や出願要件など、受験に必要な情報は網羅的に集めていると言う。

「入試情報と同じくらい重要なのが、入試結果の情報です。公表が遅い大学もありますが、4〜5月には志願者数や合格者数、合格最低点などを一通り収集します。その情報と、塾生の模擬試験での成績が、合格可能性評価の元データになるからです」と教育情報部情報DBチームチーフの藤村豊は話す。

入試情報は生き物! 変化をわかりやすく伝える

Kei-Net

『情報の河合塾』と自他ともに認めるように、河合塾の強みは情報にある。その中枢を担う教育情報部が大切にしている理念は「正確性」と「即時性」だ。

「入試情報は生き物だと思っています。世の中の動きや制度に合わせて、入試は常に変わっていきます。それをタイムリーに把握して、素早くリリースすることに、もっとも気をつけるようにしています。入試情報の収集・分析は、非常に地味な作業で、細かな数字や変化を見落とさずに追い続けながら、傾向を分析したり、分類したりの繰り返し。でもそうした努力の積み重ねが『情報の河合塾』への評価につながっているのだと思います」(亀井)

一度公表された情報が変更されることもよくある。最近の例でいえば、コロナ禍で面接が中止になったり、オンライン面接に変更になったり、2次試験を中止する国公立大も現れた。共通テストがある直前まで変更が出る可能性があるため、大学への問い合わせも含めて、正確な情報を受験生に届ける体制を取っている。

「表現がわかりにくい入試要項もあります。いろいろな解釈ができる書き方で、我々でも実際にその科目で受験できるのかどうか迷う場合があります。どんなケースが実際に可能なのか必ず大学に確認し、受験生の目線に立って、正確な情報を提供するように心がけています」(藤村)

受験生をミスリードしない難易度判定に苦心

栄冠

大学受験にあたって受験生は、競争率や偏差値、得点率などの情報に加えて、入試難易度(合格可能性評価)も参考に出願先を決めることになる。

「受験は、その人の人生を決める大きな転機の1つだと思っていますから、受験生をミスリードしないように難易度を予想することが最も大切です。河合塾の模擬試験の受験生がどのような大学・学部・学科・方式に合格/不合格だったのかをスタートラインとし、これまでの経験や、志願動向なども加味しながら、できるだけ本来の難易度に近づけるように努力しています」(亀井)

河合塾が出しているボーダーラインは、合格と不合格がどちらも50%前後になるラインを大前提にしている。情報を出す際にはそのことを必ず明記しているが、なかなか伝わりづらいのが現実だ。他社の模試では、異なる基準でボーダーを出しているところもあるからだ。

「我々は過去のデータから、その模試成績であれば直近の入試でこれくらいの合格率だというメッセージを出しているつもりです。ですから、大学・学部・学科・方式間でボーダーラインの比較をした場合、実際の倍率や合格最低点等の順番と、ボーダーラインの順番が逆転することもあり得ます。またボーダーラインをいわゆる社会的評価や、ネームバリューで算出しているわけではありません。」(亀井)

「河合塾では2種類のボーダーラインを使用しています。大学入学共通テストに関しては『ボーダー得点率』、2次試験に関しては『ボーダー偏差値』を使っています。共通テストと2次・個別試験では入試科目が異なりますから、国公立大や私立大の共通テスト併用方式のように両方を課す大学にはそれぞれにボーダーラインが存在し、全体を見て出願を判断する必要があることもしっかり把握しておいてほしいと思います」(藤村)

■亀井 俊輔(かめい しゅんすけ)
学校法⼈河合塾 教育情報部 部⻑。1997年⼊塾。近畿地区・首都圏の高校営業を担当し、学校現場のニーズ把握とその課題解消に注力した。2017年より新宿校にて生徒指導に従事後、2019年に教育情報部へ籍を移し、今年度より現職へ。日夜、大学入試情報の収集と分析・発信業務にあたっている。

■藤村 豊(ふじむら ゆたか)
学校法人河合塾 教育情報部 情報DBチームチーフ。1986年入塾。ビデオ講座制作、衛星通信の実験に携わり、1991年よりシステム部門で業務改革系のシステム構築に従事、進学事業系部門を経て、2017年より現職。大学入試情報の管理・発信に取り組む。