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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.11 (2009年3月公開)

  • 医師・医療関連
  • 高校グリーンコース
歯科医師 米畑 有理さん

チューター制度の存在が河合塾の大きな魅力。<br />実体験に基づいたアドバイスが<br />志望校選びの際に大いに参考になりました。

  • 歯の花CLINIC&SALON
    歯科医師

    米畑 有理さん

    出身コース
    高校グリーンコース

文化祭、海外のワークショップ参加など、活発な中学・高校生活を過ごす

・・中学・高校時代の思い出から聞かせてください。

小学校4年生から学習塾に通い、大阪教育大学附属池田中学校に入学しました。国立大学の附属校ですから、過激な受験指導が行われることもなく、自由な雰囲気が感じられました。夏休み前に必ず校長先生が語られるのが「法律に触れないことなら、どんなことにでも積極的に挑戦してみなさい。その代わり、自分で責任をとるという気持ちを持つことが大切ですよ」ということでした。そこで私は、高校1年生の夏休みに、約3週間、アメリカに住んでいる小学校時代の友人宅に遊びに行きました。彼女の通学していた高校が開講していた演劇のワークショップにも参加しました。この経験はとても有意義でした。それまでも英語は比較的得意だったのですが、もっと自在に話せるようになりたいという意欲が生まれ、帰国後、英会話学校に通いました。英会話力に自信がつき、大学院時代に外国人研究者と交流する時や、国際学会で発表する時などに大いに役立ちました。

学校行事も活発な学校で、とくに7月に実施される文化祭は大変な盛り上がりを見せていました。高校3年生でも、この文化祭が終わるまでは本格的な受験勉強に入れない感じです(笑)。クラスごとに舞台で発表して、投票で順位を決めるのですが、私は『シラノ・ド・ベルジュラック』『赤毛のアン』など、ほとんどの作品でヒロインを演じました。活発なタイプの子どもだったと思います。

チューターとの会話を通して歯学への関心が芽生えた

・・河合塾で学ばれたことで印象に残っていることはありますか。

高校1年生からグリーンコースに通いました。最も印象に残っている授業は、大西正浩先生の「化学」です。知識注入型の一方通行の授業ではなく、生徒とコミュニケーションを図りながら双方向型で進められるスタイルで、気さくな先生の人柄も相まって、化学がどんどん好きになっていきました。

また、チューター制度も河合塾の大きな魅力だと思います。グリーンコースのチューターは大学1・2年生が多く、お兄さん、お姉さんのような感じで、気軽に相談することができました。さまざまな大学・学部の学生がチューターを務めているので、なぜその大学・学部を選んだのか、実体験に基づいた話を聞くことができ、志望校選びの際にとても参考になりました。実は私、当初は京大か国立の医学部を志望しており、歯学部の存在は意識していませんでした。それが歯学部生のチューターの話を聞くうちに、興味が湧いたのです。

・・最終的に歯学部を選ばれた理由は何ですか。

入試直前まで、医学部か歯学部かで迷いました。最終的に歯学部を選択したのは、生死に直接関与しないことと、先ほど申し上げたアメリカ在住の友人から「歯科医師はアーティスティックな職業だから、面白そうだね」と言われたことが決断の決め手になった気がします。

・・大学・大学院時代の思い出も聞かせてください。

大阪大学歯学部に進学し、学部時代にマウスガードに関する授業に興味を持ったことから、大学院ではスポーツ歯学を専攻。大学院在学中にフランスのボルドー大学に2年間、留学もしました。ボルドー大学には「スポーツ科学研究講座」が設置されており、医学、歯学、生理学など、多様な分野の研究者が集まり、スポーツ科学の総合的な研究が推進されていました。充実した環境のもとで専門研究を深めることができました。

また、大学1・2年生の時に、河合塾グリーンコースでチューターを務めました。受験生時代にチューターの方々のサポートが大きな力になったという思いが強く、少しでも恩返しがしたいと考えたからです。月1~2回、チューターが協力して、担当クラス向けの機関誌も作成しました。キャンパスライフの様子や、自分の経験を踏まえた勉強方法のアドバイスなど、真面目な情報から息抜きのコーナーまで、学生の目線で企画を立て、手書きで原稿を作り、印刷・配布していました。懐かしい思い出ですね。

「歯を削らない」歯科医師をめざして

・・卒業後の活動状況を教えてください。

患者さんの立場に立った理想的な歯科診療とはどのようなものか。それをずっと模索し続けてきました。誰でも歯を削られたり、抜かれたりするのは嫌です。キーンという独特の音は私だって嫌いです(笑)。ならば、治療しないことこそが理想なのではないか、歯を削らない歯科医師をめざそうという結論に達したのです。

・・予防を重視するということですか。

そうです。問題なのは、日本では予防には保険が適用されないことです。けれども、そこにとらわれていたのでは、先に進みませんから、保険の枠に関係なく、医学的に効果的なことなら何でもやろうと考え、自由診療に踏み切りました。実際に診療をスタートしてみると、口臭、口内の不快感など、保険の枠に入らない悩みを抱いている人が少なくないことがわかりました。その人たちは、それまでも歯科医院を訪ねていたのですが、一般的な歯科医師は、歯自体に問題がなければ対処しようとしなかったわけです。けれども、口臭や不快感などは、歯に問題があるのではなく、唾液、歯石・歯垢、舌など、多様な要因が複雑に絡み合って発生しています。そこで私は、口内環境全体を扱う診療をめざしています。

子どもに自分の意思で物事を決めたと意識させる言葉を引き出すことが重要

・・河合塾の後輩たちに向けて、アドバイスをお願いします。

繰り返しになりますが、チューター制度があることが河合塾の大きな魅力だと、私は考えています。悩んでいること、わからないことがあったら、一人で問題を抱え込まずに、ぜひチューターに相談してほしいですね。

それから、自習室の活用もお勧めです。私もよく利用していました。自宅で勉強していると、どうしてもテレビなどの誘惑が多く、集中できません。シーンとした中で、真剣に勉強している周りの人たちの姿勢に刺激を受けて、集中力を高めることができました。

また、歯科医師の立場から一言、アドバイスしておきたいこともあります。それは、受験生は虫歯になりやすい時期だということです。原因は生活習慣にあります。よく勘違いされがちですが、甘いものを一度に大量に摂取しても、あまり虫歯にはなりません。問題は、勉強の最中にダラダラと甘いものを口にし続けることです。飴玉を嘗め続けたり、砂糖入りのコーヒーをだらだら飲んだりという習慣が虫歯の原因になりやすいのです。どうしても口にしたいのなら、シュガーレスの食品やキシリトールガムを利用するようにしましょう。入試本番の際に虫歯が痛んだら大変ですから。

・・最後に、保護者に向けてメッセージをお願いします。

私は小学校4年生から学習塾に通いましたが、けっして親から押しつけられたわけではありません。「こんな面白そうな勉強をしている教室があるけど、どう?」と聞かれ、確かに面白そうだと思ったから、自分で通うことを決めました。おそらく私の両親は、私が嫌だと言ったら、強制的に通わせることはしなかった気がします。そして、自分で決めたことだから、途中で投げ出すことなく、最後まで続けることができたと感じています。強制することなく、子どもから「行きたい」「やりたい」といった自分の意思で物事を決めたのだと意識させるような言葉を引き出すことが、保護者にとって重要な姿勢だと、私は考えています。

Profile

米畑 有理 (Yuri Yonehata)

米畑 有理(Yuri Yonehata)

1974年兵庫県生まれ。大阪教育大学附属池田中学校・高校に通う。高校1年生から3年生まで河合塾グリーンコース大阪校に通塾。1998年大阪大学歯学部歯学科を卒業し、同大学院へ。2001~2年には、ボルドー大学(フランス)に留学。2003年大阪大学大学院歯学研究科歯学臨床(口腔総合診断学)修了。歯学博士号取得。2004年から大阪大学歯学部附属病院登録医としての勤務を経て、2007年「歯の花CLINIC&amp;SALON」開業。AEAJ認定アロマテラピーインストラクターの資格も併せ持つ。著書に「マウスガード製作マニュアル―スポーツ歯学への誘い」がある。

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