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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.20 (2009年12月公開)

  • 弁護士・公認会計士・税理士
  • 河合塾KALS
税理士 篠崎 康裕さん

世代や経歴を超えた人間関係が構築されており、お互いに支えあって学びのモチベーションを持続することができました

  • 篠崎康裕税理士事務所
    税理士

    篠崎 康裕さん

    出身コース
    河合塾KALS

厳しい就職状況を乗り切るために資格取得をめざす

・・会計の仕事に興味を持つようになったきっかけは何ですか。

私はいわゆる「団塊ジュニア世代」で、同世代の人口が多いこともあって、当時の大卒者は大変な就職難に直面していました。東洋大学経営学部に入学後、厳しい就職戦線を乗り切るためには、自分なりの武器を身につけなければならないと考え、まず自分の適性を見つめ直すことから始めました。性格的に営業職に適性があるタイプではないので、総務、経理関連の仕事が向いているのではないかと思い、いろいろ調べたところ、税理士、公認会計士などの資格があることを知ったのです。

そこで、監査論、簿記論、財務諸表論など、開講されている会計科目はすべて履修するように努めるとともに、放課後と夜間は会計専門学校にも通いました。

・・在学中に税理士試験は受験されたのですか。

ええ。税理士試験では、必修科目(簿記論・財務諸表論の2科目必修)、選択必修科目(法人税、所得税から1科目以上選択)、選択科目(相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、事業税または住民税、固定資産税、および選択必修科目で選択しなかった科目の中から2科目選択)の計5科目が課されます。「科目合格制」がとられており、いったん合格した科目は受け直す必要がなく、数年間かけて合格科目を積み重ねて資格が取得できる点が大きな特色です。

私は、大学4年生の時に、簿記論、財務諸表論の2科目に合格しました。これで相応の手応えをつかんだことから、卒業後は公認会計士事務所に勤務しながら、残りの3科目の合格をめざすことにしました。

・・公認会計士事務所では、どのような業務を担当されたのですか。

15~20社の税務会計のサポート業務に携わりました。印象に残っているのは、ある外資系の銀行を担当した時のことです。この銀行は12月決算だったので、年内最終営業終了後、決算書を作成し、法人税申告書を作成して本国に送るという一年で最もハードな作業があるのです。ところが、その決算書が出来上がるのが午前1時頃なので、徹夜で申告書を作成するのが1年を締めくくる恒例行事でした。

大学院に進学したOBからの「生の情報」が大いに参考になる

・・河合塾KALS(河合塾アクティブ・ラーニング・スクール)に通うことになったきっかけを教えてください。

税理士の資格取得には、試験で全科目に合格する「官報合格」(12月の官報に合格者名が記載されることから、こう呼ばれる)と、大学院で学ぶことによって一部の科目が免除される「認定合格」の2種類があります。「認定合格」には何となく「抜け道」のイメージがあり、ずるいように感じて(笑)、当初は大学院に進むことはまったく想定していませんでした。

ところが、大学を卒業した年に相続税法、数年後には法人税法に合格したのですが、約10年たっても、残りの1科目(消費税法を選択)に合格することができません。そのうちに、事務所の後輩だった妻が税理士資格を取得し、先を越されてしまったのです。これは焦りましたね(笑)。もう「官報合格」にこだわってはいられない。大学院に入学しさえすれば、科目免除で税理士になれるのだからと割り切ることにしました。大学院を修了した事務所の同僚から、多様なバックボーンを持つ学生が集う大学院の刺激的な学びの環境を聞き、魅力を感じていたことも、進学を決意する決め手になりました。

早速、インターネットで大学院の入試で何が課されるのか調べてみると、社会人対象の入試では、研究計画書と面接が重視されることがわかりました。しかし、研究計画書と言われても、どう書けばいいのか見当もつきません。予備校で指導してもらう必要があると思い、いくつかの予備校を比較検討しました。その中で、実際に見学に行った河合塾KALSで、チューター(アドバイザー)が親身になって相談にのってくださる姿勢に魅力を感じて、通うことにしました。

・・どんな授業を受講されたのですか。

週1回、土曜日の午前中いっぱいかけて開講される「税法」の科目を受講しました。また、通常の授業以外に、研究計画書作成のための個別指導や、面接対策も行われていました。

・・研究計画書作成のための指導は期待通りでしたか。

社会人の場合、実務に直結する「租税回避」を研究テーマに選ぶ傾向があります。一般的な予備校なら、一律の指導がなされ、全員が同じような研究計画書になってしまう可能性があります。それでは、同じ大学院を受験した場合、個性的なテーマではないということで不利になるでしょう。対して、河合塾KALSでは、できるだけ一人ひとり異なる研究テーマを設定させる指導が徹底されていました。この点は、大学院合格のために、きわめて重要なポイントになると思います。私は「相続税の課税範囲」に絞った研究テーマを設定し、それに関しては面接などでどのような角度から質問されても大丈夫なように対策を立てました。

・・そのほか、河合塾KALSの学びで印象に残っていることはありますか。

税法担当講師の黒須孝郎先生がとても面倒見のいい方で、先生の音頭で忘年会や、授業の後に情報交換を兼ねた食事会もよく開かれていました。そうした場には、大学院に通っているOBも数多く参加しており、「生の情報」を聞くことができ、とても役立ちました。生徒同士の仲間意識も強く、皆で一緒に頑張って税理士になろうという雰囲気があり、お互いに支えあって、学びのモチベーションを持続させることができました。

・・大学院時代の思い出もお聞かせください。

河合塾KALSに通ったのは約半年間に過ぎませんでしたが、丁寧な指導のおかげで、文京学院大学大学院経営学研究科経営学専攻税務マネジメントコースに合格することができました。公認会計士事務所の勤務を続けながら、平日夜に週3日、および土曜日に大学院に通い、仕事との両立には苦労もありましたが、皆勤を通しました。それだけ頑張れたのは、一回の授業が2コマ連続だったので、2回欠席すると単位が取得できないという税務マネジメントコースの方針も関係していますが、それ以上に通うこと自体が楽しかったのです。この大学院には、大学新卒者のほか、社会人も多く、しかも会計関連事務所に勤務している人だけでなく、銀行、証券、一般企業など、様々な業種の人が学んでいました。授業中の発表などで、それぞれの業界ならではの視点、問題意識に触れることができ、大いに刺激を受けました。

地域に根ざした税理士をめざしたい

・・今後、どのような税理士をめざしたいと考えていらっしゃいますか。

大学院を修了し、税理士資格を取得したのを機に、13年間勤めた公認会計士事務所を退職して、独立開業しました。それまでは大手法人が主対象でしたが、以降は地元の中小企業や開業医などが顧客の中心となりました。大手企業では確かに高度な税務知識が必要なのですが、予算編成も経営計画も事前に確定しており、税務申告や税務相談以外に税理士の出番はほとんどありません。一方、中小企業の場合は、オーナー系事業者が多いので、直接、オーナーより、会社のマネジメントに関して一から相談を受けることもあります。その分、より綿密なコミュニケーションが要求されますが、そこに大きなやり甲斐を感じています。これからは、地域に根ざした税理士として、少しでも顧客の役に立てるように頑張っていきたいですね。

・・そうした税理士をめざす上で、河合塾KALSで学んだことが生かせると感じていることはありますか。

公認会計士事務所に勤務していた頃は、ある程度、担当する会社の業種が固定化されていたのですが、現在の顧客の業種は多岐に渡っています。当然、初めて扱う業種も出てきます。そんな時に心強いのが、河合塾KALSの仲間たちの存在です。今でも交流が続いており、不慣れな業種の場合は、仲間たちに連絡をとって、情報を得ることができます。河合塾KALSで世代や経歴を超えた人間関係を構築できたことが、私の大きな財産になっています。

ブランドより、自分にとって両立しやすい環境を優先することが大切

・・最後に、これから河合塾KALSで学び、大学院をめざしたいと考えている後輩へのメッセージをお願いします。

社会人が大学院に入学する際の最大の悩みは、学業と仕事の両立でしょう。ですから、「大学選び」の場合は、その大学のブランド力、教育内容、教授陣容などが重要な要素になりますが、「大学院選び」の場合は、それ以上に自分にとって両立しやすい教育システム・環境であるかどうかを優先することが大切だと思います。たとえば、土日に授業を開講している大学院もありますが、その教育システムだと、流通業の人などは通いにくいかもしれません。また、インターネットや情報誌だけでは、細かな教育体制までは把握できませんから、必ず実際に志望校に通っている人に話を聞くことが肝心です。私が入学した文京学院大学大学院では、夏に3日間の合宿があり、仕事の都合などでそれに参加できないと単位が取得できません。先ほど申し上げたように、私は河合塾KALSの先生や先輩方との交流を通して、事前に様々な大学院の生の情報を入手することができ、比較検討することで、自分にとって最も適した大学院を選ぶことができました。

Profile

篠崎 康裕 (Yasuhiro Shinozaki)

篠崎 康裕(Yasuhiro Shinozaki)

1972年東京都生まれ。1995年東洋大学経営学部卒業後、公認会計士事務所へ入社。13年間、同事務所で企業の税務会計の実務を学ぶ。2005年9月より、河合塾KALS(Kawaijuku Active Learning School)で『税理士「税法」科目免除大学院コース』を受講。2006年4月文京学院大学大学院経営学研究科経営学専攻税務マネジメントコースに入学。2008年3月同大学院を修了し、税理士資格を取得したのを機に、13年間勤めた事務所を退職し、篠崎康裕税理士事務所を独立開業。現在、税務会計支援、法人設立支援など幅広く活躍中。

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