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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.35 (2011年3月公開)

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アクセンチュア株式会社 石村 怜さん

東大入試は知識だけでは通用しない<br />河合塾で深く考える力、<br />的確に表現する力を鍛えられたことが<br />入試でも社会人になってからも役立っています

  • アクセンチュア株式会社
    公共サービス・医療健康SIグループ マネージャー

    石村 怜さん

    出身コース
    中学グリーンコース
    高校グリーンコース

自主的な先取り学習の意欲に応えてくれた中学グリーンコース

・・河合塾に通ったのはいつ頃からですか。

私は小学校から筑波大学附属校で学びました。河合塾に通ったのは、中学1年生からです。自宅が駒場校の近くにあり、自転車で通えること、および同じように河合塾で学んでいた姉から勧められたことがきっかけです。

・・河合塾の思い出を聞かせてください。

中学グリーンコースでは担任制がとられており、年間を通じて同じ先生が担当してくださいました。数カ月に1回、三者面談があり、きめ細かく指導されます。英語の成績がちょっと下降した時に、先生から「気持ちがたるんでいる」と叱られたことを強烈に覚えています。筑波大学附属校は自主性を重んじたおおらかな学校だったこともあり、それまで勉強や成績に関して厳しく指導をされた経験がありませんでした。自分のことをしっかり見守り、時には叱咤してくださる存在がいたことは、私にとってはとても大きなことだった気がします。

また、筑波大学附属校は内部進学が基本なのですが、小学校・中学校・高校にそれぞれ進む段階で入試があるので、中学校・高校から新たに外部から入学してくる生徒もいます。また、知識を教えるよりも思考力を重視する独特なカリキュラムであったこともあり、一般的な中高一貫校のような先取り学習は行われていませんでした。このカリキュラムには良さがあったと思いますが、英語、数学などでは物足りなさも感じていました。中高一貫校に入学した友人から勉強している内容を聞いて、もうそんなところまで進んでいるのかと焦りも覚えました。そこで、学校で習っていない分野まで自主的に勉強するようにしました。河合塾では、そんな私の意欲に応えて、どんどん先の分野まで教えてくださいました。そうなると、学校の授業はすでに勉強した分野の復習のようなかたちになり、理解が深まっていきました。

パラグラフリーディングで英語力が大幅にアップ

・・河合塾で印象に残っている授業はありますか。

高校2年生からは、転居した関係で、千葉校の高校グリーンコースに通いました。その頃には東大文系志望を固めていたので、英語は「東大英語」を受講しました。この授業で教わったパラグラフリーディングに感動しました。パラグラフリーディングとは、段落ごとに読んで、大意をつかむ方法です。英語の文章は、基本的に1つの段落に主張は1つであり、その主張は各段落の冒頭に書かれています。外国人はそうした文章作法を徹底的に教え込まれています。そのため、各段落の冒頭部分だけを読めば、全体の構成を把握することができるわけです。東大英語の長文問題は文字数が多く、全文を精読してから問題を解いていたのでは時間が足りません。パラグラフリーディングを身につけ、速読力を高めていたことが入試で大いに役立ちました。

数学も東大入試に特化した授業を受講したかったのですが、当時の千葉校ではまだ「東大文類数学」は開講されていませんでした。チューターに相談したところ、「石村くんは数学をあまり苦にしていないのだから、『東大理類数学』を受講することで対策になると思う。もし難しいようなら、授業が終わった後でサポートするから」とアドバイスされました。かなりハイレベルな授業でしたが、その分、考える力を高めることができました。数学を得点源にすることができたことは、東大文系の入試では大きな武器になりました。

・・理科、地歴の勉強方法も教えてください。

理科は最も性が合っていた化学を選択しました。センター試験だけですし、学校の授業や参考書を活用し、独学で対応しました。

問題は地歴です。東大入試では2科目が必要なのですが、あまり深く考えず、安易に日本史と世界史を選択したため、とても苦労をしました。世界史はこれまであまり馴染み無かったこともあり、特に中国の歴史などを勉強していた時には、なかなか覚えられずにいらいらしたこともありました(笑)。また、日本史はもともと知っている知識以上にかなり細かいところまで掘り下げて覚える必要がありました。しかも、東大入試では、単純な知識を問われる問題は少なく、知識を前提として、その事象が生じた背景、その後への影響などを分析させる問題が出されます。いわゆる歴史観が要求されるわけです。河合塾の夏期講習では、特定の時代、分野に特化した講座が設けられていたので、それらを受講して、カバーするようにしました。

数学を生かすために東大文二を志望

・・東大文二を志望された理由は何ですか。

東大の駒場キャンパスの近くに長く住んでいたこともあり、東大がとても身近な存在だったため、早くから何となく意識はしていました。父が国家公務員だったこともあり、最も身近な職業ということで、当初は同じ職業をめざしていました。そのためには文一か文二が有利だろうと考えた結果、文系学部の選択に至りました。文系学部の中でも文二を選んだのは、経済学部の方が数学を活かせると考えたからです。もともと数学、理科が得意で、国語が苦手でしたから、本当は理系学部の方が向いていたのかもしれません(笑)。

入試で課されるのは数学II・Bまでなのですが、先ほど申し上げた河合塾の「東大理類数学」の数学III・C部分もきちんと受講しました。数学III・Cで学ぶ高度な微分積分の知識は、大学入学後の経済学の学びで役立つと思ったからです。実際、東大に入ってからわかったのですが、多くの同級生が数学III・Cまで履修しており、このとき勉強しておいてよかったと感じています。

・・成績は順調に伸びていったのですか。

高校2年生までは、河合塾の模試などで比較的上位に入っていたのですが、高校3年生になって成績がやや伸び悩んだことがあります。勉強を怠けていたことはないのですが、高校3年生になると浪人生も加わったテストで順位がつけられるなどの要因もあったのだと思います。

・・その状況はどのようにして克服されたのですか。

実力がまだ不足していると痛感しましたが、志望校を変更して逃げようと考えたことは一度もありませんでした。「頑張って勉強していれば何とかなる」と、自分を信じて強気を貫いたことが結果的によかったと思います。

お客様の仲間の一人として改革に取り組みたい

・・東大時代の思い出をお聞かせください。

3年次から経済学部に進んだのですが、経済学から経営学に興味が移り、経営戦略のゼミに所属しました。ゼミでは海外の経営戦略の教科書の輪読や、2~3名のグループにわかれて、実在する企業の経営状況の分析を行いました。担当教授の紹介で、工場用生産ロボットの工場を見学させてもらい、生産管理やオペレーションなど、現場の実状に触れる機会も得ることができました。

・・河合塾の高校グリーンコースチューターも務められたのですね。

大学2年生の時、津田沼校が開校することになり、高校グリーンコースチューターとして、大学卒業まで3年間務めました。ゼロから自分たちで作り上げていくことは、やりがいがあり、新鮮な喜びでした。

・・高校グリーンコースチューターとして塾生と接するうえで心がけられたことはありますか。

当然のことながら、塾生のタイプはさまざまです。積極的な性格の塾生ならば、チューターが働きかけなくても大丈夫ですが、中にはなかなかチューターと関わりを持とうとしない塾生もいます。そうした塾生が何の問題も抱えていなければいいのですが、実際には悩んでいるケースも少なくありません。実は、私自身があまり積極的な性格ではなく、チューターに相談することを敬遠しがちな塾生でした。その自分の経験を踏まえて、おとなしいタイプの塾生ほど積極的に声をかけるようにしていました。

・・アクセンチュアに入社された経緯を教えてください。

経営戦略のゼミで学ぶうちに、経営コンサルティング業界に興味が生まれ、この業界の大手であるアクセンチュアの採用試験を受けました。弊社は、約50カ国200拠点を擁し、社員数は世界で約21万人、日本だけでも約4300人にのぼります。そのスケールメリットを生かして、多様な活動が可能になると考えたからです。現在は公共サービス・医療健康SIグループのマネージャーとして、主に健診機関の業務・システム改善計画の立案、システム設計・開発のプロジェクトなどに従事しています。お客様からの依頼を受けて、プロジェクト単位で仕事をしていくスタイルなのですが、そういう形態の仕事が当たり前であると考えてしまう「慣れ」の感覚に陥らないように心がけています。なぜなら、個々のお客様にとって、このようなプロジェクトは数年に1回あるかないかのビッグイベントであることが多いのです。従事されるお客様は、経営者の特命を受けて、通常の業務ラインから外れてプロジェクトに参加するケースがほとんどであり、使命感と責任感に燃えているわけです。そうしたお客様の熱い期待に応えるため、単なる外部のプロフェッショナルとしてのみ関わるのではなく、お客様の仲間の一人という意識を持って、時には実際にお客様とデスクを並べて、お客様の懐に入り込んで一緒に汗をかくようにしています。

社会に出てからも役立つ力が身についた

・・河合塾で学んだことが、その後の経験に生きていると感じることはありますか。

東大入試は知識だけでは通用しません。基礎知識を身につけているのは前提として、そのうえで、深く考える力、文章で的確に説明する力が要求されます。独学だけでは、おそらく知識の蓄積だけで手いっぱいになっていたでしょうが、河合塾でそうしたプラスアルファの学力を徹底的に鍛えられたことに感謝しています。そして、その力は、社会人になってからも役立つものであることを、改めて痛感しています。とくに弊社のような会社では、改革案を考えて、それをお客様にわかりやすくプレゼンテーションする機会がよくあります。プレゼンテーション用に部下が作成した文書を見ると、論理的な説明・展開になっていないことが、時々あります。国語が苦手だった私がそんな文書に対して指摘ができるようになったのも、河合塾で思考力を鍛えたおかげだと思っています。

・・後輩たちへのアドバイスをお願いします。

東大に入学して感じたのは、周りの学生の総合力の高さです。受験勉強一辺倒ではなく、趣味や部活動に没頭した経験を持っている学生が多いのです。もちろん、勉強とのバランスは大切ですが、何か熱中できるものを見つけてやり遂げることも重要です。そのためには、時間を有効に使うことが肝心ですね。

・・それがなかなか難しいことでもありますが、石村さんが何か心がけたことはありますか。

ちょっとした空き時間を活用する意識が重要です。たとえば、私は2時間近くかけて通学していたのですが、それがハンデにならないように、電車の中でよく数学の問題を解いていました(笑)。今振り返ると、2時間も考え続けたことが、考える力を高めるうえでも有効だった気がします。それから、しっかり睡眠をとり、生活のリズムを整えることも、長い受験勉強を乗り切るうえでは大切なポイントになります。私は通学にこそ時間がかかりましたが、規則正しい生活を送るように心がけた結果、結果的に皆勤でした。睡眠をとり、規則正しい生活を送った方が、入試本番まで体調を崩すこともありませんし、頭の働きも活性化されると思います。

Profile

石村 怜 (Satoshi Ishimura)

石村 怜(Satoshi Ishimura)

1981年生まれ。小学校から高校まで筑波大学附属校で学ぶ。中学1年時から、河合塾駒場校中学グリーンコースに通う。高校2年時に、千葉県に転居。河合塾千葉校の高校グリーンコースに通い、東京大学進学をめざす。2000年東京大学文科二類に現役で合格。同大学経済学部経済学科卒業後、2004年アクセンチュア株式会社に入社。現在は、公共サービス・医療健康SIグループのマネージャーとして、主に健診機関の業務・システム改善計画の立案や、システム設計・開発のプロジェクトに従事している。

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