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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.42 (2011年12月公開)

  • 弁護士・公認会計士・税理士
  • 会社員(その他)
  • MEPLO
有限責任監査法人トーマツ グローバルサービスグループ 山田 史さん

MEPLOで「暗記よりも本質を学ぶことが重要」<br />という感覚を体得できたことが<br />公認会計士試験の勉強や、<br />現在の業務にも役立つ

  • 有限責任監査法人トーマツ
    グローバルサービスグループ

    山田 史さん

    出身コース
    MEPLO

ライバルに恵まれ、負けず嫌いの心に火がついた

・・MEPLOに通うようになったきっかけを教えてください。

中学、高校と栄光学園で学びました。小学校時代、自分なりに頑張って受験勉強をしていたので、中学に入ったらスポーツをやりたいと思い、バレーボール部に入部。サイドアタッカーのポジションを務めました。それなりに勉強もして、それほど悪い成績をとっていたつもりはなかったのですが、両親にしてみれば、部活動ばかりに一所懸命で、ほとんど勉強していないように見えたのでしょう。MEPLOを勧められ、中学2年生の冬期講習から通い始めました。

・・ご両親はMEPLOのどのようなところを評価されていたのでしょうか。

当時、MEPLO横浜教室は開校して間もないころで、卒業生が出ておらず、大学合格実績などはわからない状況でした。けれども、東大、医学部をめざす中高一貫校生のための専門塾として、優秀な生徒が集まっていると評判になっていました。両親は、私をそうした環境のもとで学ばせることによって、刺激を与えたいと考えたのだと思います。

・・MEPLOに入って、どのような印象を持たれましたか。

評判どおり、周りは東大志望者ばかりで、いい意味でライバルに恵まれました。とくに私にとって大きかったのは、高校1年生のとき、栄光学園でトップの成績の生徒が入ってきたことです。当初、まったく太刀打ちできないほどの学力差にショックを受けましたが、そこから負けず嫌いの心に火がつき、頑張って勉強するようになりました。

・・もともと負けず嫌いの性格だったのですか。

運動部の人間は皆、そんなところがあります。「勝利」こそが大命題ですから……。また、MEPLOで模試を受けた時も成績によっては悔しい気持ちが強く、「次はもっと良い成績を!」と闘志を燃やしていました。

「覚える」よりも「考える」ことを重視

・・MEPLOに通っていた頃の思い出を聞かせてください。

MEPLOは、「勉強とは教えてもらうもの」と考えている高校生は、初めは苦労するかもしれません。授業に出席さえしていればそれでよしといった感じではないからです。講師の方々は、「勉強とは自分でするもの」という意識を持っていたように思います。その代わり、自分なりに課題を見つけて勉強し、わからないところを質問に行った場合は、時間をまったく気にすることなく、完全に納得するまで教えてくださいました。

また、授業の内容も、解法のテクニックを教えるものではありませんでした。たとえば数学では、公式の暗記を強制されることはなく、公式の意味、原理の理解に重きが置かれていました。「原理さえわかっていれば、公式はその場で導き出せる」と言われたことを記憶しています。それから、「覚える」よりも「考える」ことの方が大切だとも指導されました。特定の問題の解法を覚え込んでも、他の問題に応用は利きません。それぞれの問題の本質にまで踏み込んで考える勉強を重ねたことで、応用力が養われた気がします。

・・苦手な科目はありましたか。

英語が苦手でした。高校の授業も進度が早かったのですがMEPLOはそれ以上で、最初のころ授業についていくのが大変でした。

・・どのようにして克服したのですか。

予習の段階で、テキストに出てくる英単語や文法をすべて完璧に覚えてから、授業に臨むようにしました。それだけの準備をしないとついていけない授業でしたから、相当にレベルが高かったと思いますが、あのとき、あきらめずに必死に勉強したことが良かったと思っています。

それから、指導方針も私に合っていたように感じます。英語の講師がよくアドバイスされていたのは「あまり細かすぎることは勉強する必要がない。知識はいずれ消えてしまう。忘れてしまった時に大切になるのは、文章の流れを踏まえて類推する力だ」ということです。確かに、入試で出題される英単語は、極端にいえば無数であり、すべてを覚えるのは不可能です。けれども、ほとんどの単語は、いくつかの単語の組み合わせであり、その組み合わせから意味をくみ取る感覚を養っておけば、何となく文章の流れはわかります。そもそも東大入試で、英単語の意味そのものが問われることはありません。逐語訳で完璧を期す必要はなく、大意をつかむことの方が重要なのです。講師のアドバイスで、英語の長文を読むことが苦にならなくなり、苦手意識を克服することができました。 中2から高3まで継続してMEPLOに通塾し指導を受けたおかげで、志望校だった東大文二に現役合格することができました。

多様な業種、職種に触れるために公認会計士をめざす

・・東大文二を志望した理由は何ですか。

官公庁よりも、企業で働いてみたい。そのためには経済学を学ぶ必要があると考えたからです。経済学なら得意な数学を生かせるという思いもありました。

・・大学時代はどのような学びに力を入れられたのですか。

経済学は基本的には過去の事象を分析する学問ですが、未来に目を向けている分野もあります。それがゲーム理論などの行動経済学です。人間の認知の仕方や心理が、市場などにどのような影響を与えるのかを研究する分野であり、その研究が楽しくなり、大学院へ進み、研究職をめざそうかと迷った時期もあります。けれども、自分が最も興味を持っているのは企業だと考え直しました。ところが、今度は、いったん特定の企業に就職してしまうと、その会社の中のことしか知ることができないのではないかという思いが芽生えてきたのです。できれば、多様な業種、職種に触れてみたい。それを叶える方法を模索するうちに、公認会計士の道があることに思い至り、資格取得のための勉強を始めました。

大学卒業後、1年目の冬に、公認会計士国家試験の短答式に合格。2年目の8月に論文式に合格し、同年12月から「有限責任監査法人トーマツ」に勤務しています。

・・短期間で国家試験に合格できたポイントは何でしょうか。

公認会計士の国家試験は、覚えなければならないことがたくさんあって大変といわれます。膨大な暗記量に途中で投げ出してしまうケースも多いと聞きます。けれども、それは、理論の前に暗記に走ってしまうから、嫌になってしまうのだと思います。私の場合は、MEPLO時代の経験を通して、「暗記はいつでもできる。まずは本質的な理論から学ぶことが重要」という意識が身に染みついていました。それが公認会計士国家試験の対策学習を進めるうえでも有効だったと思います。そうした本質を学ぶということ自体を楽しいと感じることができるかどうか、そこに重要なポイントがあるのかもしれません。

・・現在はどのような業務に携わっていらっしゃるのですか。

公認会計士の監査業務は、企業の「貸借対照表」「損益計算書」などの決算書が客観的な正当性を持っているかどうかを評価することです。必要に応じて、担当企業に対して会計に関する助言も行います。私は、製造業、サービス業各1社を担当しています。まだ入社1年目の駆け出しですが、相手先企業では経理部長などと一緒に仕事をすることも多く、企業会計の前線に立っているという緊張感を持って頑張っています。将来は、当初の目標どおり、できるだけ多様な業種、職種を担当してみたいと考えています。

・・現在の業務にMEPLOで学んだことが役立っていると感じられることはありますか。

公認会計士の業務では、すべての書類を精読していたのでは、時間がかかりすぎて、期限に間に合わせることができません。情報を入手するにしても、新聞を一字一句読んでいる暇はありません。見出しを見て、取捨選択して、必要な情報を得ることが重要になります。つまり、厳密にきちんと対応しなければならないことと、細かすぎてはいけないことがあるわけで、私は、仕事のうえで一貫してその2つを仕分けるように心がけています。その感覚が体得できたのは、先ほど申し上げたとおり、MEPLO時代の「逐語訳より大意をつかむことが重要」という教えによるものであり、大いに役立っていると感じています。

将来の手段として必要なことが納得できれば、子どもの勉強へのやる気も高まる

・・後輩へのアドバイスをお願いします。

逆説的な表現になりますが、勉強しすぎてほしくないですね。量だけを増やしていると、勉強が嫌いになってしまうからです。私の場合は、勉強に疲れたときは、数学者の伝記などを読んでいました。勉強に役立ったわけではありませんが、数学が嫌いにならずにすんだように思います。私の周りを見ても、東大合格者にガリ勉タイプは少なく、むしろ勉強と遊びの切り換えが上手な人が合格したという印象があります。勉強に熱が入らないときは、思い切って遊ぶのも1つの方法です。その方が勉強への集中力も高まるはずです。

・・最後に、保護者に向けてメッセージをお願いします。

中学受験のころは、「やらされ感」を抱いていたのですが、いま振り返ると、社会人になっても勉強するのは当たり前というか、苦にならないので、勉強の習慣が身についたことはよかったと思っています。子どもは自由に育てすぎると、自分の興味のあることしかしないもので、やはり、ある程度、保護者が導く必要があるでしょう。

ただし、その導き方には工夫が必要です。単に「勉強しなさい」と叱咤しても、子どもは言うことを聞くはずがありません。「なぜ勉強するのか。それは将来、やりたいことができたときの手段として使えるからだ。あるいは自分の選択肢を広げるために必要なことだ」ということを伝えてほしいのです。たとえば、私は、英語や数学は勉強ではなく、他のことを学ぶための手段だと考えています。英語を知らなければ、文献が読めず、国内のことしか情報を入手できません。「将来、海外の情報が必要なときに、その手段が使えないともったいないではないか」。そういう教え方をすれば、子どものやる気も高まるのではないでしょうか。

Profile

山田 史 氏(Fumito Yamada)

山田 史(Fumito Yamada)

1987年神奈川県生まれ。栄光学園中学・高校に通う。中学2年の冬期講習から高校3年までMEPLO横浜教室に通塾。2005年東京大学文科二類に入学。同大学経済学部卒業後、公認会計士資格取得をめざす。2010年に公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツに入所。担当企業の監査業務を担っている。<br /><br />

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