「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.57 (2013年3月公開)
- 会社員(メーカー)
- 高校グリーンコース
- 大学受験科
背景も含めて多面的に捉える視点や、<br />ものごとに優先順位をつけて<br />取り組む姿勢が修得できました。
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株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
(ソニー株式会社より出向)森井 孝則さん
- 出身コース
- 高校グリーンコース
- 大学受験科
世の中の仕事全般に通じる「知恵」の数々を学べる河合塾の授業
・・河合塾に通い始めたのはいつからですか。
高校3年から通いました。当時は宇宙に興味があり、大学で航空宇宙工学を学びたいと思っていたため、苦手科目の化学を強化しようと考えたのです。河合塾を選んだのは、通っていた友人たちから「講師の指導が熱心で、教材の質も高く、受験に関する情報量が豊富だ」という評判を聞いたからです。また、私が分かりやすいと感じていた化学の参考書の執筆者が、河合塾の講師だったことも要因の1つです。
もっとも、夏休み頃には文系に志望変更しました。河合塾のチューター(進学アドバイザー)との面談を重ねるうちに、先端産業を支える組織のあり方に興味が移り、高校の先生にも相談して、ビジネスや経済を学ぶために商学部を志望するようになったのです。
・・印象に残っている授業はありますか。
最も印象に残っているのは英語の授業です。哲学的なテーマや、科学に関する深い理解を前提とするような読解問題に対して、講師の先生がそれらの背景や関連する事柄などを丁寧に解説してくださいました。高校でも習わない、参考書にも出てこない内容ばかりで、言葉や文章を多面的に捉える姿勢が身につきました。苦手だった英語も、この授業のおかげで、模試ではほとんど満点を取れるくらいに伸ばすことができました。
数学の授業もよく覚えています。私はそれまで常に1番の問題から順番に解いていました。しかし、河合塾では、全体を見渡して、自分が解きやすい問題から手をつけていくことや、最悪の場合は見切りをつけて問題自体を捨ててしまうことも大切だと教わり、実際、この考え方は、入試でも、そしてその後社会に出てからも役立ちました。
こうした指導に対して、最初は単なる受験テクニックだと思っていました。けれども、世の中に山積する課題は、順番に解決できないものばかりです。ものごとに優先順位をつけて取り組む姿勢はとても重要になるのです。河合塾の授業を通して、現在の仕事にも十分役立つ数々の「知恵」を学べたと感じています。
勉強する習慣が身につき、学ぶ姿勢の大切さを教わった
・・そのほか、河合塾に通って良かったと感じていらっしゃることはありますか。
高校卒業時は残念ながら志望校に不合格になり、大学受験科でもう1年頑張ることにしました。大学受験科の生徒たちは、一度挫折を味わっており、瀬戸際に立っているというプレッシャーを抱えています。講師の方々は、そういう私たちの状況をよく分かってくださっており、授業中はもちろん、廊下ですれ違ったときなどにも、親身な言葉で励まし、落ち着かせてくれました。そんなふとした言葉が、本当に大きな支えになりました。河合塾は、講師と生徒の一体感がとても強いところだと感じたことを覚えています。
そうした環境の中で、連日、朝から夜遅くまで勉強していたわけですが、この1年間の経験によって、自ら勉強する習慣が身につきました。大学入学後も、1時限目から授業に出るのは当たり前で、空いている時間を活用して、他の授業を聴講することもしばしばでした。社会人になると、なかなかまとまった時間をとれませんが、それでも通勤の行き帰りや昼食時など、細切れの時間を使って勉強を続けています。そんな学びの姿勢は河合塾で身につけたものであり、私にとって最大の財産になっています。
ベンチャー企業に関する国際会議で学生代表として発表
・・早稲田大学商学部を志望された動機を教えてください。
大学名ではなく、学びたい学部系統を優先して選択しました。航空宇宙工学への興味も持ち続けていましたが、それ以外に、ビジネスや経済の動きにも関心を抱くようになっていました。それに、よく考えてみれば、航空宇宙工学のフロントを走る技術者にも、それを支える組織の力が不可欠です。技術者とは異なる視点から、組織を成長させたり、存続させていく仕組みを学びたいと思ったことが理由です。
・・学生時代にはどんなことに力を入れていましたか。
当時はベンチャー企業が注目され始めた時期で、私も新しい産業の創出に興味がありました。そこで、新しいビジネスモデルを提案する授業を受講することにしました。その授業の中で、私は、オリジナルタンブラーをセットできる自動販売機や、ニコンと共同で新しいデジタルフォトフレームなどを提案しました。後者のデジタルフォトフレームは、ベンチャー促進をめざす国際会議の学生コンペに応募し、激戦を勝ち抜き、学生代表として発表することができました。
そのほか、大学院の授業に出席してディスカッションの輪に加わったり、公認会計士をめざして勉強したり、ゼミ活動に力を入れたりと、意識的にアクティブな状態に自分を置いてきました。就職が決まってからも、大学のキャリアセンターで後輩たちの就活アドバイザー的な活動を行い、現在も続けています。
変革し続ける会社だからこそ魅力がある
・・就職先にソニーを選んだ理由は何でしょうか。
就活に際して、自分を見つめる過程で、私には「日本に新しい産業を創り出すような仕事がしたい」という強い思いがあることに気づきました。ソニーはエレクトロニクスを中核として、映画、音楽、ゲーム、金融など、幅広いビジネスを展開しており、組織体制も含めて常に変化し続けている企業です。5年後、10年後がどうなっているか、誰も想像できません。そんな変革し続ける姿に魅力を感じて、そこに自分の人生を賭けることにしました。
・・これまでどのようなお仕事をされてきたのですか。
入社後は本社の経理部に配属され、決算や財務関連の業務、有価証券報告書の開示などに携わってきましたが、昨年7月からソニー・コンピュータエンタテインメントに出向しています。総売上高数兆円と事業規模の大きな本社経理では、現場からは遠い感じがありましたが、現在は現場の状況が逐次経理処理に反映されます。常に定型的ではない業務が発生しており、そこにダイナミズムを感じています。
・・今後の抱負をお聞かせください。
やはり、いずれは新産業創出に関わる仕事がしたいと思っています。そのためには、会社がいま手がけているビジネスだけを見ていたのでは、発想を広げることはできません。ソニー自体も「自分のキャリアは自分でつくる」をモットーとしており、現在も自分の仕事の幅を広げる努力をしています。具体的には、社内および社外での勉強会に積極的に参加して、世の中の動きや新しい潮流を常にキャッチアップするようにしています。河合塾の仲間たちがさまざまな業界にいますから、連絡をとって情報交換も心がけています。
周囲のアドバイスや助言を信じることも大切
・・後輩たちへのアドバイスをお願いします。
受験の時期は、「このやり方で合格できるのか」と不安になるものです。しかし不安を感じている時間は、結局は勉強していない時間でもあります。ですから、自分ができるところまで打ち込んで勉強することが大切です。その際、学校の先生や河合塾の講師・チューターなど、周囲の人たちから寄せられるさまざまなアドバイスを大切にしてほしいと思います。受験生時代の私は、そうしたアドバイスにやや懐疑的でした。けれども、実際にいま振り返ってみると、それらのアドバイスの大半は的を射たものであることが分かります。悩んでいる暇があったら、周囲のアドバイスを信じて、一歩でも前に進むことが大切です。
・・保護者の方々に、伝えたいことはありますか。
私の両親は一言も「勉強しろ」と言いませんでした。そのことにとても感謝しています。大学合格を最も切実に願っているのは受験生であり、勉強しなければならないことを最も分かっているのも受験生です。けれども、「勉強しろ」と言われると、勉強を「やらされている」気分になります。重要なのは、自分の責任で勉強し、その結果に自分で責任をとると納得することです。つい口を出したくなる気持ちも分かりますが、「自分でやるはずだから」と信じて、見守っていてほしいと思います。
また、受験生は、偏差値の変動や、志望校への合格可能性など、目先のことに目が向きがちで、入学後やりたいことを思い描いてはいても、どうしても近視眼的になってしまいます。そんなときには、保護者の方が、ご自身の昔の仕事の話や、その時々に感じた気持ちなどを話してあげることが効果的だと思います。大学は通過点だということを潜在的に意識できるようになりますし、また、そのときは役に立たなくても、後々判断に困る岐路に立ったときに、ふと思い出して「道しるべ」になることもあると思います。
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森井 孝則(Takanori Morii)
1985年生まれ。千葉東高校に通う。高3から河合塾津田沼校高校グリーンコースに、高校卒業後は河合塾千駄ヶ谷校大学受験科に通う。2005年早稲田大学商学部に入学。2009年同大学卒業後、ソニー株式会社に入社。経理部門に配属後、2012年より株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントに出向、経理部スタッフとして活躍中。
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