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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.58 (2013年4月公開)

  • デザイン・アート関連
  • 会社員(情報・通信)
  • 専門学校トライデント
髙崎 有貴子さん

デザイナーに求められるのは<br />どんな仕事を与えられても対応できる柔軟性。<br />トライデントで自分のスキルの幅を広げたことが<br />現在の仕事に活きています。

  • 株式会社エイチーム 
    エンターテインメント事業本部 アシスタントマネージャー

    髙崎 有貴子さん

    出身コース
    トライデントコンピュータ専門学校

プライドにこだわらず、先生の指摘に素直に耳を傾けたことでスキルがアップ

・・トライデントコンピュータ専門学校を志望された動機を教えてください。

小さい頃から絵を描くのが大好きで、高校では美術部に所属していました。美大への進学も考えたのですが、入試で実技試験が課されるなど相当なスキルが求められると聞き、それまで専門塾などで本格的に絵を勉強していなかった私には合格は厳しいと思っていました。そこで、絵やデザインを基礎から学べる学校を探し、トライデントコンピュータ専門学校のCGスペシャリスト学科のカリキュラムを調べたところ、CGの専門スキルだけでなく、絵やデザインについても基礎から学べることが分かり、入学することにしました。

・・授業内容は期待通りでしたか。

ええ。鉛筆デッサンの初歩から勉強することができました。授業中は、先生が一人ひとりの作品の過程を見て回り、どこをどう修正すればよくなるのか、具体的に指摘してくださり、ほとんど個別指導に近い感覚でした。とはいえ、最初の頃は、それなりに自分のスキルに自信とプライドがあり、先生の指摘を素直に聞くことができませんでした。そんな私に、先生は「今描いているものが悪いといっているわけではない。私が指摘しているのは、もっとステップアップするために必要なことなのだ。人の意見を素直に聞く姿勢がないと、将来大きく成長することはできないよ」と、教え諭してくださいました。それからは、先生に指導していただいたことを素直に受けとめ、自分なりに納得した上で修正し、対象物の質感をきちんと捉えることができるようになっていきました。

CGスペシャリスト学科では、2年次から、3D・アニメーション系と2D系のコースに分かれて、専門的に学びます。対象物のデフォルメなど、オリジナリティーのある作品を制作するようになっていくわけですが、その際に重要になるのはやはりデッサンの基礎です。基礎がしっかりしていないと、応用がきかないのです。入学後の1年間、デッサン力を徹底的に鍛えられたことは、とてもよかったと感じています。

・・髙崎さんは2年次にどのコースを選択されたのですか。

1年次に、フォトショップ、イラストレータ、3Dマックスなど、CGで使用する主なソフトはひと通り学び、使いこなせるようになりました。その上で、どのソフトが自分に向いていて、自分の感性を活かせるか考え、私は2Dのコースを選択しました。手描きの絵と同じような世界がパソコン上で表現されていくことが、とても楽しかったからです。学生一人ひとりの志向は異なるのですが、1年次にひと通りのソフトの指導が受けられた事で、自分が本当に伸ばしたいコースを選択でき、よかったと思います。

企業の現場の様子に触れる「業界研究」が就職活動に役立つ

・・そのほか、印象に残っていることはありますか。

1年次に自画像のコンペがあり、優秀賞をいただきました。鏡に映る自分の姿を見ながら、50時間以上もかけた作品だったので、苦労が報われた思いがしました。

卒業制作も思い出深いですね。友人と共同で、架空のRPGゲームを想定して、そのオープニングムービーを作りました。2Dで動きをつけるのはなかなか難しいのですが、友人とたくさん試行錯誤して、結果的にはユニークな作品に仕上がったと思います。

また、友人たちにも恵まれました。現在でも年1回は集まっています。別の職種の情報を交換でき、また、同じデザインの世界でどんどん成長している友人たちの姿が、いい刺激と励みになっています。

・・就職活動に役立った授業はありますか。

2年次前期の授業「業界研究」が役立ちました。週1回、さまざまな企業の方が訪れ、どのような作品を作っているかなど現場の仕事の内容を具体的に語ってくださる授業で、会社選びの参考になりました。

そのほか、就職面接についても、質問にどのように対応すればいいのか、きめ細かく指導されました。さらに、会社訪問の前には、私に向いていると思われる会社をピックアップして紹介してくださいました。(株)エイチームも、学校から紹介された中の1社で、興味を持って、会社説明会に参加しました。

内部デザイナー「1期生」としての採用に魅力を感じて

・・(株)エイチームに入社された経緯を教えてください。

会社説明会で、それまで外部に発注していたデザインを、内部で制作するため、私が卒業する年度から、初めてデザイナーを採用することになったと聞きました。それがとても魅力的に思えたのです。大きな会社に入って、有名な作品制作に携わるのもいいのですが、それではおそらく歯車の1つとしてごく一部のデザインにしか関与することができないでしょう。「1期生」ならば、すぐに責任のある仕事を任せてもらうことができ、この会社ならではのデザインの世界を一から立ち上げていくことができるという期待感が膨らんだのです。

・・これまで主にどのような仕事をされてきたのですか。

最初に手がけたのが自社制作の携帯ゲームのデザインです。画面の構成考案から制作、キャラクターデザインの監修など、ゲームのデザイン全体に関わることができました。その後、企画職に移り、サイトの企画、運営などに携わり、今年2月から、再び自社携帯ゲームのトータルデザインを担当しています。

・・今後の目標をお聞かせください。

おかげさまで(株)エイチームの業績は好調で、売上高、従業員数も大幅に増えて、2012年11月には東証一部に上場しました。内部デザイナー「1期生」の私には、アシスタントマネージャーとして、デザインチームを統括する責任が課されています。すでに多様なサービスを手がける会社に成長していますから、必要な人員を適切に配置するマネジメント力が問われます。また、社員が特定の分野のデザインスキルしか身につけていないようでは、不足している部門に臨機応変に人員を配置することができませんから、すべての社員がどんな部門でも活躍できるようにスキルアップを促すことも求められます。そうしたマネジメント力を高めたいと考えています。

・・これまでの経歴の中で、トライデントコンピュータ専門学校で学んだことが役立っていると感じられることはありますか。

デッサンの基礎を厳しく鍛えられたことに感謝しています。また、自分のスキルに対する自信は井の中の蛙にすぎないと、いったんプライドを折られたことが大切だったと感じています。というのも、社会に出ると、ときには上司から叱責されることもあります。そんなときに、私はトライデントでの経験を踏まえて、相手の声に素直に耳を傾けることができます。逆に、チームのメンバーに厳しい指示を出さなければいけないことも少なくありません。その際に思い出すのが、トライデントの先生の「叱るのは、将来のあなたのためなのだ」という言葉です。その思いを伝えるようにすれば、チームのメンバーとの関係がギクシャクすることはありません。社会人になった今、トライデントの先生方に教えられたことは、単なるスキルだけではなく、そうした人間関係をスムーズにするために必要な教えでもあったと痛感しています。

スタートにけっして遅すぎるということはない

・・最後に、後輩たちに向けてメッセージをお願いします。

もしトライデントへの入学を迷っている人がいたら、ぜひ入学することをお勧めします。とくに、絵やデザインの世界に興味があるものの、まだ本格的に勉強したことはない人にとっては最適の学習環境です。私も、入学前は、美大などに進学する人と比較すると遅いスタートだから、追いつくことは難しいかもしれないという迷いがありました。けれども、けっして遅いスタートと思う必要はありません。トライデントでは、絵やデザインの基礎を一から教えてもらえますから、カリキュラムをきちんと消化していけば、卒業後必ずデザイナーとして十分に活躍できるだけの力が身につきます。そういう夢、期待感を抱いて入学してほしいですね。

それから、すでにトライデントに通っている後輩たちに伝えたいのは、自分の好きな分野だけ一生懸命勉強すればいいというものではないということです。将来、デザイナーとして活躍したいなら、興味が持てない授業もきちんと出席することです。自分の好きなことだけ追求できるのは、いわゆる芸術家だけです。ビジネスの現場でデザイナーとして生きていくためには、どんな仕事を与えられても対応できる柔軟さが求められるのです。私も、トライデント時代に、できるだけ自分の幅を広げるように努力したことが、現在の仕事に生きていると感じています。

Profile

髙崎 有貴子

髙崎 有貴子(Yukiko Takasaki)

1985年愛知県生まれ。2004年市邨高校卒業後、トライデントコンピュータ専門学校CGスペシャリスト学科(3年制)に入学。2007年同校卒業後、株式会社 エイチームに入社。エンターテインメント事業本部にてデザインチームのアシスタントマネージャーとしてチームを統括すると同時に、第一期デザイナーとして自社製作の携帯ゲームのトータルデザインなどで活躍中。

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