「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.85 (2015年4月28日公開)
- 会社員(メーカー)
- MEPLO
- 中学グリーンコース
論理的でわかりやすい解説と<br />なんでも聞きやすいオープンな雰囲気が<br />仕事でも役立つ「質問する力」を与えてくれました。
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ボッシュ株式会社
ガソリンシステム事業部 パワートレインECU事業部鈴木 良孝さん
- 出身コース
- 中学グリーンコース
- MEPLO
「東大合格」という同じ目標を持つライバルたちに刺激を受けた
・・MEPLOにはいつから通われていたのですか?
高校2年生の時から通っていました。高1時にいろいろな塾の講習を受けて、自分はどこの塾が合うのかを探っていた中でMEPLOに出合いました。MEPLO生は中高一貫校に通う生徒が多いのですが、私は地元の公立中学に通って高校受験をした、少し珍しいタイプでした。
・・MEPLOを選ばれた理由は何ですか?
中学生の時に通っていた、河合塾の中学グリーンコースの講師が、MEPLOの講師も兼任されていて、「MEPLOもいいよ」と教えてもらったのがきっかけでした。実際、少人数制なのもよかったですし、東大現役合格をめざしていた私にはぴったりでした。通っていた高校は全員が東大をめざしているわけではないので、「東大合格」という同じ目標を持ったライバルが多いMEPLOの雰囲気に刺激を受けました。
・・東大を志望したのはなぜでしょうか?
父が東大の文科一類出身だったのと、実家が東大から近かったこともあり、幼い頃から自然と意識していました。また、中学グリーンコースの講師から「東大は全国からいろんな人が集まってくるのでおもしろい」と言われたのも興味を持った理由のひとつです。
・・MEPLOでの授業はいかがでしたか?
楽しかったですね。疑問に感じたことはなんでも先生に質問できる雰囲気が、私には合っていました。別の塾の講習を受けた際は、1クラスの生徒が多く、授業中にすべてを完結させるスタイルで、先生もいつも忙しそうでしたが、MEPLOでは、「この解答は納得がいかないな」「ここの解説はどういう意味だろう?」など、些細な疑問であっても、授業の前後に気軽に質問することができました。
私は「質問すること」はとても大切だと考えています。「この問題は何がなんだかわからないです」という質問なら誰でもできますが、問題の解説を聞いて、納得がいくかどうか、納得できなければなぜ納得ができないのかを考えたうえで、「ここがわからないです」と質問することは、理解度に大きな違いがあると思うんです。
あとは、授業中に行われるテストの添削もよかったです。自分ではきちんと解答できているつもりでも、添削を見ることで、「これだけでは解答として足りないんだな」「こういう表現は伝わらないんだな」と、客観的に自分の弱い部分を見つめることができました。
「わかったつもり」がなくなることで成績が飛躍的にUP
・・積極的に質問する姿勢は講師に言われて身についたのでしょうか?
とりたてて言われたことはありませんが、いつもオープンな雰囲気がありました。ですので、授業が終わった後にそのまま先生をつかまえて、「これってこういうことですか?」と質問攻めにしていたんです。おかげで、「わかったつもりで、何もわかっていない」といった曖昧な状態になることがなく、解法がクリアになっていきました。
・・印象に残っている授業はありますか?
現代文の授業がおもしろかったです。最初は雑談に思えるような話も交えて講義をされるのですが、話の最後に文章の背景にある物語とつながっていたり、「なるほど!」とひざを打つことも多々ありました。
実は、国語は得意ではなく、高2の時にはMEPLO生の平均偏差値が60くらいの模試で40をとってしまったこともあったんです。それで高3から現代文の講座も受けることにしたら、そこから偏差値が飛躍的に伸びました。
いろいろな問題で応用できる考え方を教えてくれましたし、どう解けばいいのかを論理的に説明してくださったおかげで、「なんとなく解けた」ということがなくなりましたね。
また、数学の問題のレベルが高く、恥ずかしながら、文系学部をめざす生徒より、テストの成績が悪いこともありました。それを講師の方から叱咤激励されたことも印象に残っています。その時の悔しい気持ちや、身近なライバルの存在が私の発奮材料となりました。
明確な目標を立てることで限られた時間でも効率よく取り組めた
・・他に思い出はありますか?
MEPLOには普段から身近に東大生のフォロー(進学アドバイザー)がいるので、東大を「自分とはかけ離れた特別なもの」と思わなくなりましたね。打ち込んでいる部活の様子を聞いたり、時にはおっちょこちょいな一面を垣間見ることもあり(笑)、いい意味で親近感を持てました。
東大受験の本番の日に、応援に来てくださり、カイロとお菓子をいただいて、緊張していた心が和んだことも覚えています。
・・東大在学中は鈴木さんもフォローをされていたんですよね?
はい。自分が大学生フォローとして受験生に伝えていたのは、「自分の限界をわかっておくこと」でした。時々「食事と睡眠以外は全部勉強に充てました」という強者もいますが、それができるかどうかは、当然、人によります。実際、私の場合は12時間以上勉強すると体力が続かず、翌日は何も手につかなかったので、「勉強は1日8時間まで」と決めていました。そうすると、限られた時間の中で、明確な目標を立てて計画的に勉強するしかありませんから、結果的に効率よく勉強することができました。人によっては科目の取捨選択を迫られることもあるかもしれませんが、そんなときは1人で悩まず、講師やフォローに相談すると解決の糸口が見えてくると思います。
・・受験勉強中はどうやって自信をつけていきましたか?
「数をこなす」のはひとつの手段だと思います。その際、「暗記すべき基礎的な部分と、考える部分は区別すること」と「図を丁寧に書くこと」の2つを意識していました。前者は時間の節約のためです。たとえば、数学の場合、問題文から方程式を立てるのは「考える部分」、方程式を解くのは「基礎的な部分」だと私は思っています。数式をできるだけ早く正確に解ければ、考える時間を長く作れるので、正答率が上がると思っています。後者は、方程式を立てるところでミスをしないようにするためです。考えを図にまとめることで、客観的に問題を眺めることができますから。そうやって工夫しながら数をこなすことで、テストの結果が上がっていくのは自信につながりましたし、素直に楽しかったです。
・・辛かった時期はどのように乗り切りましたか?
高3の10月頃に、数週間体調を崩してしまったんですが、そこで焦らず、運動したりゲームをしたり、あえてリフレッシュを大切にして乗り切りました。また、「勉強しなさい」といわれると自分はやる気をなくすほうだったので(笑)、両親がある程度放任でいてくれたのもよかったです。「こういうイベントがあるよ」と教えられることはあっても、「これに行きなさい」と押し付けられることはありませんでした。
学生フォーミュラの世界から自動車部品メーカーへ
・・大学生活はいかがでしたか?
サークル活動に打ち込んだ日々でした。「全日本学生フォーミュラ大会」という、フォーミュラスタイルの小型レーシングカーを、学生チームで企画・設計・製作する大会に、毎年参加していました。大会は車の走行性能だけでなく、車両コンセプト・設計・コスト審査など、ものづくりの総合力を競うものです。そこで、私はエンジンを担当し、現在の勤務先であるBOSCH(ボッシュ)に燃料ポンプをスポンサーとして提供してもらっていました。そのご縁で、社員の方からアドバイスをいただいたり、社内見学をさせていただいたこともしていました。
もともと車は好きなほうで、当時は、F1レーサーの佐藤琢磨さんが活躍されていた時期で、フォーミュラに興味がありました。さらに、将来の仕事を考えた時に車の知識は幅広い分野で活きるはずだという思いもありました。
エンジン自体はバイクのエンジンを使うのですが、それをレーシングカーでは燃料をどれくらいふくか、パワーはどうしたらでるか、などの細かい調整をしていくのが僕の役割でした。
・・今現在のお仕事と通じる部分も多いですか?
そうですね。大枠としては、大学時代にサークルでやっていたことと似ている部分も多いです。ただし、学生時代は燃費なんて気にせず「とりあえず早く走ればいい!」という方針でしたが、仕事ではそうはいきません(笑)。
・・現在のお仕事について詳しく聞かせてください。
BOSCH(ボッシュ)という自動車部品と電動工具のメーカーに勤務しています。私が所属しているのは、ECUアプリケーション部の「適合」というグループです。一般車には、ECUというエンジンをコントロールする、パソコンでいうCPUのようなものがついています。私の所属する「適合」では、その最終調整といいますか、車を作るうえでの最後の“味付け”を担当しています。たとえば40度の灼熱の中でも、マイナス30度の寒冷地でも、どんな環境であろうとエンジンがかかるよう調整します。他にも燃費をよくしたり、加速したときに運転手にどれくらい「加速している」という感覚を伝えるかだったり、当たり前のことを当たり前にできるよう、お客様(各メーカー)から依頼された車ごとに調整するのです。一口にレギュラーガソリンといっても国によって微妙に違うので、ヨーロッパの車をアジアでもきちんとエンジンがかかるようにしたり、排出できる排気ガスの量などをその国の法制度に合わせたりしています。ソフトウエアに問題があれば、ドイツやインドに報告したりすることもあります。
・・業務で英語を使うシーンも多いのですか?
今はそれほど多くありませんが、将来的にはプロジェクトマネージャーをめざしているので、そうなると英語が必須になってきます。会社の補助で英語の授業が受けられるので、現在も英語の勉強をしています。仕事相手は英語を母国語としない人も多く、国による違いもおもしろいですよ。ドイツ人は比較的ゆっくり話してくれるので聞き取りやすいのですが、インド人の人は速くてちょっと大変です(笑)。
「質問すること」は仕事を円滑に進めるのに欠かせないコミュニケーション
・・MEPLOで学んだことで今のお仕事に活きていることはありますか?
先ほどお話した「質問すること」は、大いに役立っています。今の業務でも、お客様からの依頼内容から、積極的に疑問点を見つけて質問するようにしています。お客様にはお客様の会社の常識があって、それは私のいるBOSCHの常識とは異なることもありますから、「これってこういうことですか?」とひとつずつ聞いて確認することは、業務を円滑に進めるにあたって欠かせないコミュニケーションだと思っています。
また、細かなことですが、「図を書く」大切さは社会に出てからも感じます。言葉ではうまく伝えられないことも、図で表現するとすんなり伝わったり、お互いの考えの齟齬が見えたりすることがよくありますね。
・・最後にMEPLOの生徒たちにメッセージをお願いします。
明確な目標を持ってひとつずつ進んでほしいですね。“なんとなく”でやってしまうと、“なんとなく”で落ちてしまうと思うんです。闇雲に勉強するより、「数学でこの点数を取るためにこの勉強をしています」のほうが、何をしなきゃいけないのかが見えてきますよね。それは今自分が仕事をしている中でも感じていることです。問題が何なのか曖昧なまま進めると、お客さんが望んでいるのと全く違う方向に進みかねませんから。
時には講師やフォローに相談しながら、自分の目標をしっかりと定めて、実現に向かってがんばってほしいと思います。
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鈴木 良孝(Yoshitaka Suzuki)
1987年東京都生まれ。海城高等学校2年時から、河合塾MEPLOに入塾。2006年東京大理科一類入学。2012年東京大学工学系研究科機械工学専攻修士課程終了後、ボッシュ株式会社に入社。現在、車のエンジンを電子制御する装置(ECU)の開発をする部で「適合」を行っている。
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