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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.91 (2016年4月25日公開)

  • 教育・研究者
  • 中学グリーンコース
日出中学校・高等学校 教諭 大城 亮さん

講師の熱意、パワーに圧倒されて<br />学習習慣が身についたことが<br />合格につながりました。

  • 日出中学校・高等学校
    教諭

    大城 亮さん

    出身コース
    中学グリーンコース

根本原理から教えてもらえる授業で、得意な数学の力がさらに伸びた

・・河合塾に通うようになったきっかけから教えてください。

中学2年生の1月から、中学グリーンコースに入りました。それまでは自宅近くの小規模の塾に通っていたのですが、両親からもっと大手の塾に行った方が良いと勧められたのです。河合塾には友だちは少なかったのですが、両親はその方が勉強に集中できるとも考えたようです。

・・河合塾で印象に残っている授業はありますか。

私は、数学は得意だったのですが、英語と国語が苦手で、入塾テストの総合点は低く、標準のクラスに入りました。数学は、横関先生の授業を受けることで、その力をさらに伸ばすことができました。何よりも大きかったのが、学習習慣が身についたことです。それまでの私は、宿題を怠けることが多く、まともに予習をしたこともありませんでした。ところが、宿題をしていないと、横関先生からものすごい剣幕で叱られます(笑)。その熱意、パワーに圧倒されて、自然と宿題を終わらせ、予習をしてから授業に臨むのが当たり前といった感覚になっていきました。

数学の恩師、横関先生と

数学の恩師、横関先生と

横関先生は単に厳しいだけではなく、優れた解き方を思いついたときなどは、ものすごくほめてくださいます。皆の前でほめられることがうれしく、自信にもなり、もっと数学を勉強しようという意欲が高まりました。授業が終わった後に、わからないところを質問に行った際も、きめ細かく対応していただきました。

与えられた問題を速く正確に解くテクニックを教わるというよりも、根本原理からわからせようとする授業だったこともよかったと思います。しかも、「方べきの定理」「角の二等分線の定理」など、中学校の教科書には載っていなくても、高校入試で役に立つような定理はどんどん教えてもらえました。言葉で説明されてもうまく伝わらない抽象的な概念が、黒板全体を使って、図で説明されると、とてもわかりやすかったことを覚えています。定理のポイントを絶対にすべての生徒に理解させようという、エネルギーに満ちあふれた授業でした。当時学んだ定理の覚え方は、今でもしっかり記憶しており、現在、自分の数学の授業でも同じような教え方をしています。

そうした授業のおかげで、数学は完全な得点源になり、本番入試でも解けたという印象があります。

・・河合塾の授業は、苦手な英語や国語の克服には役立ちましたか。

英語の先生もパワフルで、熱が入ると、筆圧でチョークがボロボロになるほどでした(笑)。残念ながら、長文読解の得点力は最後まで伸びなかったのですが、「苦手な場合は、最低限これだけは暗記しておきなさい」という熟語や構文が明確に示されており、それをしっかり暗記して、せめて足を引っ張らない程度には得点できるようにしようと割り切りました。実際、本番の高校入試では、先生が示してくださったものが、そのまま出題され、平均的な得点はとることができました。

国語に関しては苦手なままでした。当時、読書の習慣がほとんどなく、筆者の考えなんてわかるわけがないと思い込んでいたからです(笑)。今になって、もっと真剣に授業を受けていればよかったと反省しています。

自分をよく知っている講師のアドバイスを信頼して受験校を決定

・・志望校はどのようにして決めたのですか。

ぜひ入学したいと希望するような、あこがれの学校があったわけでもなく、学校の内容もあまり調べていませんでした。入学した中央大学附属高校も、入試会場に行って初めて男子校(現在は共学)だということを知ったぐらいです(笑)。横関先生との面談で、私に合った高校を紹介してもらい、その通りに受験しました。そのとき、先生から「これだけ数学が得意なのだから、英語と国語を勉強すれば必ず合格できる。もっと頑張れ」と言われ、この先生は担当の数学だけでなく、他の教科の成績まで把握してくださっているのだと感じました。それだけ私のことをよく理解している先生が勧める高校なら間違いないという信頼感がありましたね。「大学受験の必要がなく、ゆとりを持って高校生活を送れる附属高校も良いのではないか」と先生にアドバイスされ、附属高校を中心に受験し、中央大学附属高校を含め4校に合格。中央大学附属高校に進学しました。

私が所属していたクラスとしては、かなり好調な合格実績だったようで、高校入学直前に、後輩に受験の体験談を話す会に呼ばれました。ところが、私が話したことは「河合塾に通っていれば、あまり勉強しなくても大丈夫」ということだけでした。これから受験勉強をしようという相手に「勉強しなくていい」なんてタブーですし、もっと役に立つ話をすればよかったと後悔していますが、生意気盛りの中学生にありがちなアドバイスになってしまいました(笑)。横で聞いていた先生に、あわてて「いや、大城くんは数学が得意で、満点近く得点していたし、真面目に努力するタイプだった」とフォローされたほどです。

・・そのほか、河合塾で印象に残っていることはありますか。

以前通っていた小規模塾とは異なり、河合塾には切磋琢磨できるライバルがたくさんいたので、そのことがさらに力を伸ばす原動力になりました。また、河合塾の模試を受けると、自信のある数学でも、私よりもできる生徒がたくさんいることがわかります。河合塾の模試を受けていなかったら、井の中の蛙になり、現状に満足して、努力を続けなかったかもしれません。上には上がいる、もっと頑張って勉強する必要があると感じられたことは、とても有意義だったと思います。

オリジナルのテキストも素晴らしかったです。先生方が試行錯誤を重ねて作ったことがわかる、入試に向けて必要なエッセンスが詰まったテキストで、「このテキストだけ勉強していれば大丈夫」と、良い意味で洗脳されていました(笑)。残念ながら、もう残ってはいないのですが、教師になるのだったら、とっておけばよかった、もったいないことをしたと思っています。

生徒の人生を豊かにするような教師になりたい

・・内部推薦で、中央大学理工学部に入学されたわけですが、理工学部を選択した理由は何ですか。

高校でも数学が得意教科だったことと、当時は就職に有利な理系学部の人気が高かったことから、理工学部経営システム工学科に進学しました。

・・大学時代に力を入れたことを教えてください。

入学後しばらくして、生徒の人生を豊かにするような教師になりたいという思いが生まれました。そこで教職課程を履修し、さらに卒業後、私立高校で数学の講師として勤めながら、東京理科大学の夜間大学院に1年間通い、専修免許を取得しました。大学院修了後、現在の日出学園に正教員として採用されました。

・・教師として心がけていることはありますか。

教師になった当初は、生徒に知識を教え込もうとしていました。しかし、それでは成長に限界があります。最近では、自分で考える力を身につけさせることが重要だと感じています。ただし、生徒の成長段階には違いがあり、レベルに応じて使い分けることも必要になります。たとえば、数学が苦手な生徒は、考えることから逃げようとしがちです。なかなか解けないので宿題もやってきません。その場合は、生活指導の一環のような形で、生徒を厳しく叱ります。宿題をやらなくても叱られないという「甘えの構造」が生まれてはいけないからです。数学は積み重ねの教科であり、1カ所つまずくと、その後に学ぶことが何もわからなくなり、結果的に授業中に寝てしまう生徒が出てきます。それは絶対に避けたいので、ある程度強制的に教え込むことも大切になります。そして、教えた後で、少し数字を変えただけの問題を解かせるなど、スモールステップで授業を進め、やればできるという成功体験を与えるように心がけています。少しでも理解できていれば、必ずほめます。そうすることで、わかることが増えていけば、もうちょっと頑張ってみようかと思うスイッチを押すことができると考えています。一方で、上位クラスの生徒に対しては、多少時間をかけてでも、考える時間を大切にするようにしています。

・・現在の教師の仕事に、河合塾時代の経験が生きていることはありますか。

河合塾のテキストの質や、先生方の授業の進め方などは大いに参考になっています。もっとも、実際に生徒に接していると、成功体験もあれば、失敗体験もあり、反省することも少なくありません。これからも教師としての勉強を積み重ねる毎日ですね。生徒に教えることは楽しく、教師になってから、もっと数学が好きになりました。

教師と保護者が一緒になって生徒を育てるような関係を作ることが大切

・・中学グリーンコースの後輩へのアドバイスをお願いします。

中学時代は反発心が生まれる時期ですが、両親や先生など、身近な大人の教えは、できるだけ素直に聞くことが大切です。私自身、河合塾の講師の方々の指導を素直に守ったことが合格につながったと感じています。ただし、矛盾するようですが、素直さだけでは、高校入学以降、行き詰まってしまいます。自分で考えて、こだわりを持って、何事も自分の意思で決定する姿勢が求められます。自分で決めたことなら、たとえうまくいかなくても、いくらでもやり直しがきくのです。

・・最後に、保護者へのメッセージをお願いします。

本校の保護者によく話すのは、「過干渉」以上に避けてほしいのが「無関心」だということです。子どもが現在どのような状況に置かれ、何に興味を持ち、何に悩んでいるのかを見てあげてほしいと思います。そして、子どもが将来進むべき道について一緒に考えてあげてください。自分の中学・高校時代を思い返してみても、将来の事などあまり考えていませんでした。親が子どもに関心を持ち、相談に乗ったりアドバイスしてあげたりすることが、自分を見つめ直すきっかけになるのです。もちろん、干渉しすぎるのもよくありません。保護者の理想を伝えるのは良いのですが、子どもは保護者のロボットではありませんから、思い通りにいかないのが、むしろ当然です。理想だけ追って、大学や職業など、自分が実現できなかったことを子どもに強制してはいけません。親子でよく話し合って、進路に関してお互いに納得することが大切です。

教師と保護者の連携も重要です。保護者会では、「もし私に不満なところがあったら、直接言ってください。直接伝えることが難しいなら、校長や学年主任にクレームをつけていただいてもかまいません。ただし、お子様に向けて私の不満を言ってしまうと、私の指導を聞かなくなってしまうので、絶対に避けてください」とお願いしています。もう一つは、「何らかの問題が生じたときには、保護者が指導するよりも、教師が指導した方が、生徒が耳を傾けるときがあります。ぜひ、我々にご相談ください」と伝えます。保護者と教師が一緒になって、そして信頼し合って、その生徒を育てていこうという関係を作ることが私は大切だと思っています。

Profile

大城 亮(Ryo Oshiro)

大城 亮(Ryo Oshiro)

1982年東京都生まれ。1996年より河合塾中学グリーンコースに通い、中央大学附属高校に合格。その後中央大学理工学部に進学。大学時代に教師になるという夢を持ち、教員免許を取得。その後、私立高校で非常勤講師として勤めながら、東京理科大学の夜間大学院に進み、専修免許を取得。2006年より、学校法人日出学園 日出中学校・高等学校(東京都)で数学科主任教諭として活躍中。

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