このページの本文へ移動 | メニューへ移動

「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.114 (2020年4月20日公開)

  • 教育・研究者
  • 高校グリーンコース
東京大学大学院 教育学研究科附属海洋教育センター 特任研究員 加藤大貴さん

生徒の疑問を真摯に受け止め<br />一緒になって考えてくれた講師や<br />「教育はどうあるべきか」を<br />伝えてくれた河合塾職員のおかげで<br />教育というテーマに関心が向きました。

  • 東京大学大学院
    教育学研究科附属海洋教育センター 特任研究員

    加藤 大貴さん

    出身コース
    高校グリーンコース

どんな疑問にも分け隔てなく向き合う姿勢に感銘を受けた

・・・河合塾で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

 どの講師も労苦を惜しまず丁寧に質問に答えてくださった印象があります。特によく覚えているのは、英語の佐藤進二先生です。高3のある日、それまで少しも疑問に思ったことがなかった「cannot」と「can’t」の違いがとても気になったのです。友人たちの「質問するまでのことでもないのではないか」との声を後ろにしながら佐藤先生に質問に行くと、先生は「そういえばそうだね、大切なことなので少し考えさせてくれないか」といって、一緒になって真摯に考えてくれました。受験が近づく中でしたから、「そんなことは考えなくてもいい」とか「こういう風に覚えればいい」といった通り一遍の対応もできたはずです。しかし、佐藤先生は、一見、大学受験にはすぐに関係なさそうな疑問も受け止め、大切な時間を割いてくれたのです。その姿勢にとても感銘を受けました。研究機関の一員として教育にかかわるようになった今、どんな問いにも真摯に向き合うというその時の先生の姿を、常にめざすべきスタンスとして心に留めています。

復習しやすいテキストと、選択できる自習環境が役立った

・・・河合塾で特に学力アップにつながった部分はありますか。

加藤大貴さん

 何といってもテキストです。講師によって授業の進め方は違いますが、講師が自分のスタイルで進められるようにレイアウトされていながらも、受験に必要な内容がすべて盛り込まれているからです。講師から指摘されたポイントを書き込んだテキストは、完璧な復習ツールになりました。また、自習環境が豊富に用意されていたことも大きかったと思います。同じ目的を持って頑張っている仲間の姿を見ながら適度な緊張感が味わえるため、普段から開放教室の自習室を使っていましたが、特に受験直前期は、試験本番と同じ環境を擬似的に体験できることから、開放教室を意図的に使うようにしていました。そのときのモチベーションや状況によって最適な自習場所を選択できることは、非常に理にかなった学習環境だと思います。

チューター生活が教育に関わるきっかけになった

・・・大学時代の活動について教えてください。

加藤大貴さん

 学生時代には、自分が通った河合塾立川校グリーンコースのチューターとして週に2~3回活動していました。他大学の学生チューターとの交流も楽しかったのですが、最も大きな出来事は、後輩たちへのチュートリアルを通じて教育について真剣に考えるようになった、ということです。きっかけは、1年目に河合塾の職員からかけられた一言でした。当時はまだ「自身の努力だけで大学に合格した」と考えており、そんな自分の経験は誰もが関心を持つだろう、と思い込んで後輩たちに接していた自分に対して、「塾生はあなたの話を聞きに来ているわけではない。一人ひとり異なる状況の中でも授業を活用して合格したいと思って来ているのだから、そういうチュートリアルならもうやってほしくない」と、指摘してくれたのです。教育学の視点を得た今なら、受験の成否は環境要因を抜きには説明できないこと、自分はたまたまその環境に恵まれていただけであることが理解できますが、その職員は現場で積み上げた教育の根幹に迫る洞察を、自分に遠慮なく伝えてくれたのです。以後は、そのことを肝に銘じてチューターを務めることになりますが、この経験が、結果として現在の仕事につながっていくことになります。

銀行に就職して社会を知ってから教育の仕事に携わることになった

・・・大学卒業後からの経緯を教えてください。

 チューターの経験と、一橋大学が単位互換連携していた東京学芸大学での授業を履修したことで、「そもそも教育とはどういう営みなのか」という哲学的な問いに興味がわき、教育哲学を研究しようと東京大学の大学院に進学したのです。修士課程修了後は一度銀行に入行したのですが、大学院時代の先輩に誘われて、「海洋教育」に携わる現職に至っています。

教育の現場と学術的な知を橋渡しするような仕事を続けたい

・・・現在のお仕事と、今後の抱負を教えてください。

 海洋教育センターは、「海洋と人類の共生」をめざす海洋教育の普及に向けた研究活動を行っています。小中高に出向いて自ら海洋教育の授業を行うだけでなく、学校や教育委員会などと連携して海洋教育を展開するための方針をつくったり、それらに付随する基礎研究などを行っています。学術的な知と教育の現場を結ぶような現在のポジションには大きな魅力を感じており、今後も教育というフィールドの中で、異なる世界の橋渡しをするような仕事に携わっていきたいと思っています。

  • 加藤大貴さん

    日本海洋学会での研究成果発表の様子

勉強法や受験テクニックを磨くよりも学習環境を整えてほしい

・・・後輩たちに向けてアドバイスをいただけますか。

 受験では、勉強法や受験テクニックを磨くことよりも、受験に向けた環境づくりがより大切だと思います。まずは、自分の性格を見つめなおし、それにあった勉強の環境をつくることから始めてください。たとえば飽きっぽい性格だったら、1つの教科を長時間やらず、教科を切り替えながら勉強したり、学習場所を変えたりと。「自分がどんな環境だったら集中して受験勉強を続けられるか」を第一に考えて、学ぶ態勢をつくってほしいと思います。河合塾のチューターは、そうした態勢づくりにも真剣に向き合ってくれますよ。

Profile

加藤大貴さん

加藤 大貴(Daiki Kato)

1987年東京都生まれ。桐朋高校在学中、河合塾立川校の高校グリーンコースに入塾。2006年一橋大学社会学部に現役合格。在学中には、立川校高校グリーンコースチューターとして大学受験に関する知識を身に着け、生徒に的確なアドバイスを行い合格に導いていった。2011年東京大学大学院教育学研究科に入学し、教師と子どもの「承認」というコミュニケーションに関する研究を行う。金融機関勤務を経て、2015年より東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター(2019年3月までの名称は「東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター」)に勤務。現在は特任研究員として、教育学の知見から海洋教育の普及に向けた研究活動を行う。<br />

同じコースのOB・OG

同じ業界のOB・OG