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「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.134 (2023年10月公開)

  • 会社経営・起業家
  • 教育・研究者
  • 大学受験科
株式会社 amulapo 代表取締役CEO 田中 克明 さん

河合塾での経験が<br />宇宙で活躍する<br />人材の育成事業を<br />後押ししてくれた

  • 株式会社 amulapo
    代表取締役CEO

    田中 克明さん

    出身コース
    大学受験科

浪人して良かったと思える環境があった

・・・河合塾時代を振り返って、どんなことが印象に残っていますか。

浪人生の多い高校だったこともあり、現役時代はあまり勉強せず、部活の剣道に打ち込んでいました。河合塾には文系のイメージがあったのですが、実際に行ってみるとアットホームで通いやすく、勉強するのに最適な場所だと感じました。基礎からしっかり教えてもらおうと国公立大のコースを選択しました。
英語に関しては文法も含めてゼロからのスタートでしたが、1年間で入試を勝ち抜けるレベルにまで引き上げていただきました。得意だった理数系の科目は、大学受験レベル以上のことまで教えてくださり、飽きずにモチベーションを保つことができました。
個性的な先生が多く、勉強する姿勢や意義も含めて教えていただけたこともあり、浪人して本当に良かったと思える環境がありました。

河合塾のチューターがサークル代わりだった

・・・大学時代にはどのような活動に力を入れたのですか。

特に最初の1年は浪人時代に身についた学習習慣のまま、きちんと授業に出席し、しっかり勉強していました。その後は、友人たちの影響で授業以外のやりたいことや遊びにも全力で取り組みましたが、それでもあまり成績が落ちなかったのは、河合塾で国公立をめざして勉強してきた下地があったおかげだと思っています。

また、入学と同時に、河合塾でチューターをするようにもなりました。最初は4つのサークルに所属しましたが、理系の忙しさもあって2学期からはすべて辞めてしまいました。です から河合塾のチューターがサークル代わりでした。
実際、チューターにはいろいろな大学の学生がいて、男女も学年も混ざっていましたから、インカレ系のサークルと変わりません。さまざまな価値観に触れ、その居心地の良さから、結局は修士課程まで含めて6年間チューターを続けました。

ロボットの足回りにこだわって研究を続けた

・・・大学院ではどんなテーマを追求したのですか。

走破能力が高い移動が可能なロボット

▲6つの楕円型の脚をもたせることで、屋外でも走破能力が高い移動が可能なロボット

工学部ですから大学院に進むのは自然でした。日本で最初にロボットの二足歩行に成功させた研究を継承する研究室に所属したのですが、学部時代からあまり人型ロボットには興味がなく、もっと実用的なロボットづくりをしたいと思っていました。
学部時代から荒地での踏破性が高い小型箱型ロボットの研究に打ち込み、教授や講師の先生とも相談のうえ、新しく研究グループを立ち上げました。車輪を含めた駆動系の研究からスタートし、その構造から制御、アプリケーションまで含めたシステム化と、博士課程の5年間も含めてずっと同じロボットの研究を続けました。

宇宙で活躍するロボット開発から教育支援に転身

・・・大学院修了後から現在までの経歴を教えてください。

バーチャル宇宙飛行士選抜試験

▲バーチャル宇宙飛行士選抜試験にて(株)amulapoのメンバーと

文科省のリーディングプログラムにプログラム生として所属していたこともあり、博士課程修了前から名だたるメーカーから就職のお誘いをいただくこともありました。しかし、たまたま早稲田大に来ていらした株式会社ispaceの袴田氏の講演を聞いたことが、現在につながっています。

株式会社ispaceは、多数の小型月面探査ロボットをシステムとして運用させるアイデアがあり、自分の研究ともリンクしているため、とても親しみを感じました。すぐにインターンとして働きはじめ、そのままispaceに就職しました。エンジニアとして宇宙ロボットの開発や、民間初の月面着陸に挑戦をした着陸船の技術サポートにも携わっていました。

エンジニア業務と平行しながら、兼業でバーチャルに宇宙を体験できる事業を行う会社として株式会社amulapoを立ち上げました。ispaceは自分の担当の開発フェーズが変わるタイミングで正社員の立場から退き、amulapoを専業に活動を始めました。

急拡大が見込まれる宇宙人材の育成支援に取り組みたい

・・・現在のお仕事と、今後の抱負を教えてください。

田中 克明 さん

株式会社amulapoの主な業務は、三次元可視化技術などを駆使して、バーチャルに宇宙を体験できるプログラムの開発と提供です。モノというより体験を販売するような仕事ですが、大きな使命感を持って取り組んでいます。
というのも、現在は世界市場で約40兆円の宇宙産業も、2050年ころには200兆円を超え現在の自動車産業と同様の規模になると推計されており、圧倒的に宇宙人材が不足するからです。小中学生のうちから宇宙に目を向けるきっかけを作る我が社のプログラムは、その興味関心を得る機会や人材育成に大きく貢献するものだと信じています。

こうして教育支援の業界で働いているのも、浪人生として、またチューターとしてお世話になった河合塾で、教育の重要性に気づいたことが大きく影響していると感謝しています。

Profile

田中 克明 さん

田中 克明(katsuaki tanaka)

1990年茨城県取手市出身。土浦第一高校卒業後、河合塾松戸校の大学受験科に在籍。早稲田大学創造理工に進学、同大のリーディング理工プログラムにおいて先進理工の博士号取得。学生時代に出合った株式会社ispaceでインターン後、エンジニアとしては初の新卒社員として採用。エンジニアとして月面探査車ロボティクスの開発に従事。在職中の2020年、XR・ロボット・AI等のICT技術を用いた宇宙体験コンテンツの制作会社「(株)amulapo」を設立。現取締役社長兼CEO。エンジニアコンサルティングなど幅広く活躍中。

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