このページの本文へ移動 | メニューへ移動

京都新聞・神戸新聞・産経新聞に河合塾によるコラム連載(第4回)

2021年08月12日

京都新聞、神戸新聞と産経新聞に、京都大・大阪大・神戸大など関西の難関大受験をテーマとしたコラムの連載しています。本連載では、河合塾近畿地区の講師やスタッフが難関大受験に役立つ情報をお届けします。
今回ご紹介する第4回目は、河合塾現代文科講師の中崎学が京都大学入試の現代文を振り返ります。

難問ぞろいの京大現代文 ~三つの力で「多様性」を解く~

京都大学の現代文は、例年難問ぞろいです。2021年度は、文系理系共通の一番で、西谷啓治「忘れ得ぬ言葉」、文系の二番で、石川淳「すだれ越し」、理系の二番で、岡井隆「韻と律」が出題されました。ここで指摘しておきたいのは、「忘れ得ぬ言葉」は随筆、「すだれ越し」は小説、「韻と律」は評論というように、出題された本文のジャンル・性格が多岐にわたっているということです。京都大学の現代文の特徴は、一言でいって、このような「多様性」にあります。図にまとめてみましょう。

こう書き出してみると、いろいろやることが多くて大変そうです。しかし、「多様性=ダイバーシティ」は、現代のグローバル化し変化をつづける社会において重要なキーワードになっているのは皆さんも知っているでしょう。京都大学の現代文は、そうした多様性を尊重する傾向をずっと前から入試問題として打ち出してきているのです。チャレンジのしがいがあります。

 勉強の仕方としては、まずは「語彙力の充実」が前提になります。たとえば「すだれ越し」のような文学的文章では、本文の中に解答になりそうな部分を見つけても、それが比喩であったり具体例であったりして、そのまま解答に使えない場合が多々あります。この時に「的確な言い換え」ができるかどうかが、良い答案を書く際のカギになります。日頃から地道に参考書などで語彙力の拡充に努めましょう。
 また、「論理的な記述力」も重要です。たとえば「忘れ得ぬ言葉」では、「私の眼には、その自分の『罪のない』ことがそれ自身罪あることと映って来た」という部分に傍線部が引かれています。この場合、A「それまでの自分の『罪のないこと』」が、B「それ自身罪あること」と考えられたという、両者の関係を論理的に答案に示すことが重要です。
 さらに、「主張を把握する力」も身につけなければなりません。京都大学では、本文全体の論旨を長い字数でまとめさせる問題が頻出します。こうした練習を欠かすことはできません。

 京都大学の過去問や、予想問題、模試などを積極的に解き、しっかりと自分の答案の見直しをして、上記の3つの力を蓄え、合格目指してがんばりましょう!

※本寄稿は、新聞掲載が最も遅い産経新聞社の掲載日以降に、同紙から原稿提供を受けて掲載しています。

執筆者のプロフィール

▶河合塾現代文科講師 中崎 学

東大・京大・医進を中心にトップレベル講座を担当しており、論理的かつ合理的な解説は、生徒からの絶大な支持を得ています。また、授業以外にも「全統記述模試」「京大入試オープン」などの作成メンバー、「神大入試オープン」「全統高2模試」では作成チーフを務め、多数のテキスト執筆も担当しています。

※ 2021年8月掲載時点