ごあいさつ
ともに挑み、ともに未来をひらく。
河合塾グループでは、創業者・河合逸治の言葉である「汝自らを求めよ」という塾訓をよりどころに、教育活動を行ってきました。自らのありたい姿を主体的に考え、可能性と使命を追求し続けることの大切さを語りかけるこの言葉は、情報や選択肢があふれる現代において、なお一層その重みを増していると感じています。
現在の日本は、人口や労働力の減少、社会不安など、先行きへの不透明さを抱えています。教育の現場でも、大学や就職の全入時代が進む一方で、優秀な人材の海外流出が加速するなど、活躍の場としての魅力が揺らいでいることに危機感を覚える状況です。
同時に、技術革新やグローバル化、社会構造の急速な変化により、社会が求める人材像も大きく変わりつつあります。多様な価値観を受け入れ、他者と協働しながら柔軟に課題を解決する創造性やコミュニケーション力が、これまで以上に求められています。
こうした変化の中であらためて足跡を振り返ると、河合塾グループは、リアルに人が集い実践的に学ぶ場、蓄積された多様な知見やデータ、そして教育関係者との信頼に基づくネットワークといった、将来に向けたかけがえのない資産を築いてきました。これらはひとえに、かかわる皆様のご支援とご協力の賜物であり、心より感謝申し上げます。
これらの強みを生かし、教育を取り巻く大きな変化をチャンスと捉え、社会の持続的な発展に貢献できる多様な人材を育成し続けることが、河合塾グループのミッションであると考えています。2024年度から、グループのパーパスを「学びの次元を高め、一人ひとりの成長と社会の発展の循環をつくる」と定め、グループ全体で活動領域の拡大と提供価値の連鎖に取り組んでいます。
たとえば、成長段階や学力伸長に応じて一人ひとりに最適化された学びの実現、偏差値にとらわれない個人の能力や資質を測る新たなアセスメントの開発、そして学習者同士が継続的につながり、切磋琢磨しながら学び続けるコミュニティの形成など、これらを事業として具現化しながら、一人ひとりの成長と社会の発展が連鎖する好循環を生み出していきたいと思います。
こうした取り組みを進めるうえで、グループ内の連携はもちろんのこと、教育関係者の皆様をはじめ、これまで以上に多様なパートナーとの協働が不可欠です。近年では、多彩なバックグラウンドを持つ方々が河合塾グループの教育活動に参画していただいており、また、AIなど先端技術を持つデジタル企業や地域課題に精通したインフラ企業、さらには海外のパートナー企業との共同事業も数多く始まっております。
個人・法人を問わず、新たな価値を創るパートナーと力を合わせて、ともに未来を切りひらいていきたいと願っております。
これからも、河合塾グループの挑戦に変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
河合塾グループ代表
河合 英樹