「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.119 川上英良さん

私と河合塾 医師・医療関連 MEPLO

速読多読の授業で習得した大量の英文を素早く読む力は、
東大受験はもちろん現在の研究にも役立っています。

川上英良さん

国立研究開発法人理化学研究所 ADSP 医療データ推理推論チーム チームリーダー
千葉大学大学院 医学研究院 教授

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少人数制で英語に強く、東大入試にフォーカスしたMEPLO

MEPLOに通うようになったきっかけを教えてください。

数学者になることをめざし、高2のとき2度目の数学オリンピックに出場しましたが、そのとき参加していた同学年2人のあまりの数学的能力の高さに、数学者への道は諦めることにしました。数学を応用できる理系分野の中でいろいろ考えた結果、生き物の世界に興味を覚え、生物の研究も医学の研究もできる医学部進学へと進路変更をすることにしました。

当時の英語力では半分くらいしか点数が取れず、志望する東京大学理科三類の合格最低点に届きそうにありませんでした。そこで英語だけは塾にお世話になることにしました。

大人数の塾は苦手だったこともあり、少人数制で英語に力を入れており、しかも東大にフォーカスしている塾を探していたところ、設立2年目のMEPLOを見つけ、自宅から片道2時間半かけて通うことにしました。

文章全体を素早く読み取る力を身につけることができた

MEPLOの英語の授業はいかがでしたか。

当時は、毎回20〜30ページの英文読解が課され、しかも授業当日は、新たにA4版で2〜3ページの英文を渡され、それを20分間で読んで解答するというハードな内容でした。最初は半分もこなせないような状態でしたが、半年ほどこの速読多読を続けているうちに、読むスピードは格段に速くなりました。一つ一つの単語にこだわらず、文章全体が何を言いたいのかを読みとってから、問題に応じて細かい部分を見ていくような読み方ができるようになったのだと思います。

おかげで入試本番では試験時間の半分くらいで解き終わり、満点に近い成績をとることができました。MEPLOで身についた速読多読する力は、大学進学後も、英語論文を大量に読む現在の研究活動でも大いに役立っています。

初期研修を経ずに、卒業後すぐに医学研究者の道へ

医学の勉強は、想像していたようなものでしたか。

得意な数学を応用した医学研究をしたいと理三に入学したのですが、やはり医学部は基本的に臨床医を育てる場所なのだということを思い知らされました。骨や血管の名前だけでなく、原因がよくわかっていない病気でもこういう症状ならこういう治療法をするといったように、ひたすら覚えることを求められることも多かったです。

特に4年生のときは試験に苦しめられ、留年すれすれまで追い込まれました。医師免許は取得しましたが、臨床医になるつもりではなかったため、2年間の初期研修は行わず、大学院生として東大医科学研究所に入りました。

最初はウイルスの研究に従事し、新しい実験手法をいくつか確立するなど、ある程度の成果も出しました。しかし、より数理科学的な視点に基づいて医学・生物学研究を行いたいと考え、理化学研究所のデータ解析や理論を研究している研究室に転職しました。

客観的なデータから、病気の分類や進行プロセスを解明したい

現在の研究内容についてご紹介ください。

一言でいえば、AIや機械学習なども含めた数理科学的な手法による医学研究を行っています。

一つは、個別化医療をめざした研究です。病気は医師が経験的につくり上げてきたもので同じ疾患名がついていても、ある薬が効く人と効かない人がいるといったことが起こります。その違いをデータに基づいて分類し、グループごとに適切な治療が行えるような知見を生み出そうというわけです。

もう一つは、時系列データの研究です。医師は診察時点での患者の症状を観察することで診断しますが、どんな過程をたどってその症状に至ったかは、ある意味無視されています。そこで、時間の情報を加味した時系列データで病状を捉えることで、発症や悪化を未然に予測して防ぐような予防医療につながる研究も行っています。

オリジナルなことに挑戦してほしい

後輩たちにメッセージをいただけますか。

MEPLOの卒業生には、同期生も含めて、誰もやっていないことにチャレンジしている人が多い気がしています。皆さんも、ぜひ、オリジナルなことに挑戦してほしいと思っています。一つの分野を深く掘り下げていくことは大切ですが、ときには異なる分野を融合して考えるなど柔軟な発想も忘れないでください。

Profile

川上 英良(Eiryo Kawakami)

1982年岡山県生まれ。神奈川県立横須賀高等学校在学時、東大現役進学塾MEPLO池袋教室に通い、東京大学理科三類に現役合格する。東京大学医学部医学科卒業。医師免許取得。2011年東京大学大学院医学系研究科博士課程(病因病理学専攻)修了。現在、理化学研究所および千葉大学にて人工知能技術や数理科学に基づいて、健康/疾患状態変化を理解・予測するための研究を行っている。

出身コース

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