~河合塾グループの挑戦~

DXが拓く!学びの効果向上と環境へのやさしさ

河合塾グループの取り組み CSV

河合塾グループは、学習者の未来を支える価値創造と受験生の利便性向上に挑戦。全統模試のDX化や「Web Teacher」で効果的な学びと環境負荷軽減を実現しています。

河合塾グループは、「学習者一人ひとりの未来を支える価値の創造」と「持続可能な社会の実現」をめざして挑戦を続けています。
その取り組みの一つとして、お客様の声を出発点に、DX(デジタルトランスフォーメーション)*を活用した効果的な学びの提供や、受験生の利便性向上に力を入れています。
今回は、「全統模試のDX化」とオンライン採点システム「Web Teacher」の事例を通して、取り組みの一部をお伝えするとともに、これらがもたらした環境負荷の軽減についてもご紹介します。

*DX(デジタルトランスフォーメーション)…プラットフォーム等を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出すること(総務省 令和3年 『情報通信白書』より抜粋)


~全統模試DX!~受験生の学習効果を最大限に高めたい!

受験生が入試本番を見据えて学力を測り、学習の道筋を考えるうえで欠かせない模擬試験。
河合塾の全統模試は、大学入学共通テスト対策をはじめ、国公立二次・私立大入試対策、低学年を対象とした早期入試対策など幅広いラインアップを用意し、年間延べ約270万人の方にご利用いただいております。

全統模試では長年にわたり、受験生の進路決定のお役に立てるよう、さまざまなコンテンツを提供して参りました。
その全統模試が、2025年12月からDX化による新たな価値提供をはじめます

<全統模試のコンテンツ>
■最新の入試傾向を徹底分析して作成した問題
■受験後の学習効果を高めるため、出題内容を詳しく解説した「学習の手引き(解答・解説集)」
■弱点や弱みなど学力の詳細が把握できる「個人成績表」、受験者全体の成績概況が把握できる「成績統計資料」などのサポートツール
■指導者向け「校内資料」として、生徒個人の総合成績や校内成績概況ほか、多彩な集計資料

紙のテキストはそのままに、安心・安全に、学びの効果を高める!

模試DXで実際に変わったことは、「申し込み~成績確認」のほぼすべてがデジタル化されたことです。変わらないのは模擬試験当日の実施形式のみ。大学入学共通テストをはじめ、多くの入試が問題冊子と解答用紙を使用していることから、実施形式はDX化せず、本番入試を模した形での実施としています。

模試DX化による受験生の1番のメリットは、従来よりも10~14日ほど早く模試結果が確認でき、いち早く復習にいかせるようになったことです。これは、申込時のIDと提出する答案情報を紐付ける新たなプロセスを採用したことに加え、成績結果はすべてデータで提供することで実現しました。

また、志望校については、試験日前にWebで登録ができるようになるため、これまでのように試験当日にマークシート用紙の「受験届」に記入する必要がなくなり、試験に集中することができます。
さらに、記入ミスや記入漏れもなくなるため、志望校の合格可能性評価を確実に提供することができるようになります。

模試DXで変わったこと
【表1 模試DXで変わったこと】

早く復習したい!そんな受験生の声と長年の課題を解決

多くの受験生や学校現場での進路指導に活用されている全統模試。しかし、その運営の裏側では、大量の答案や成績表を受験生一人ひとりに正確にお届けするために、人の手によるエラーチェックやさまざまな作業に多くの時間を費やしてきました。
一方で、受験生からは「できるだけ早く成績が知りたい」「模試当日は試験に集中したい」などのお声もいただいており、長年の課題もありました。

そこで模試DXプロジェクトメンバーは、「お客様起点」で「新たに提供できる価値は何か」を真剣に考えました。「受験生の学習効果をより高めるには?」「安全かつ正確に成績を届けるには?」「指導者が模試の受験データや復習履歴を簡単に活用できる方法はないか?」
こうした課題を一つひとつ洗い出し、「模試のあるべき姿」を描きながら改革に取り組み、DX化を推進していきました。

これからも私たち河合塾は、受験生の進路実現および受験生をサポートする先生方の進路・学習指導に大きく貢献できることをめざして、模試関連サービスの価値向上を追求してまいります。

~採点・添削のデジタル化~答案管理のストレスをなくし、時間も大切に

ほかにも河合塾では、生徒の進路実現に向けて学習効果を高めるために、さまざまなDX化を進めています。次にご紹介するオンライン採点・添削システム「Web Teacher」もその一つです。

答案保管の悩みを解消したいー生徒と校舎スタッフの声を起点にー

河合塾の授業では、テストゼミやチェックテストなどに生徒が取り組み、その答案を採点・添削して返却しています。学習内容を定着させ、アウトプットする力を身につけるために効果的な方法で、授業を提供する側にとっても、生徒の理解度を把握できる大変重要なテストです。

実は、この答案は、学校法人 河合塾の高1生~高卒生の授業だけで112万枚以上(2024年度実績)と、膨大な量にのぼります。
生徒の頑張りに応えて全国の採点者が毎週、採点・添削して返却していますが、これまでこの採点・添削指導にはいくつかの課題がありました。

たとえば、生徒にとっては毎週返却される答案の保管が大変で、見返したいときにすぐに見つからないことがありました。答案は、自分の習得度を把握し、今後の学習の指針とするための重要なアイテム。いつでも見返して学習にいかしてほしいという思いがありました。

また、校舎スタッフにとっても、毎週回収した答案を採点者ごとに振り分けたり発送したり、得点を集計したりする作業には多くの工数がかかっていました。

こうした課題をデジタル化によって解決し、サービスの質を落とすことなく価値ある学習支援を提供できないか。生徒も校舎スタッフも限られた大切な時間を有効に使えないか。
そうした背景のなかで開発されたのが「Web Teacher」です。

「Web Teacher」は、授業で発生する膨大な枚数の答案を、採点者がシステムを使ってデジタル採点し、スピーディーに生徒へ返却できるシステムです。答案用紙の回収、振り分けは発生しません。

【Web Teacherの使い方】
①生徒:塾生マイページから「Web Teacher」にアクセスし、作成した答案用紙をスマートフォンやタブレットのカメラで撮影後、アップロード
②採点者:アップロードされた答案を、画面上でタッチペンなどで採点・添削し、画面共有

③生徒:採点済み答案を画面で閲覧し、復習

 講師・校舎スタッフ:得点の集計結果、答案の提出状況を確認し、生徒へ学習アドバイス

「Web Teacher」画面例
▲「Web Teacher」画面例
「Web Teacher」で添削後に戻ってきた答案
「▲Web Teacher」で添削後に戻ってきた答案

画面は操作がわかりやすい仕様になっており、採点者の答案への書き込みも、見た目は実際の赤ペンの添削とほとんど変わりありません

【Web Teacherで良くなったこと】
・生徒が採点済の答案を、Web画面でいつでもどこでも見られるようになった。手軽に過去の答案を表示できるので、さかのぼり復習に取り組みやすい
・校舎スタッフは答案を採点者に振り分けていた時間が不要になり、生徒や保護者対応の時間を増やすことができた

「Web Teacher」の導入で、生徒にとっても採点者や校舎スタッフにとってもこれまでの課題が解決し、貴重な時間を有効に使うことができるようになりました。

持続可能な社会の実現に向けて

河合塾が行っているDX化は、お客様への価値向上のほかに、社会的価値の提供にもつながっています。
ご紹介した2つの事例では、次のような環境負荷の軽減に貢献しています。

DXで推進する、環境に配慮した取り組み

模試DXでは年間270万人の受験者が模試で使用する「紙」を減らすことが可能となります。
紙で提供してきた「受験届」「大学コード表」「学習の手引き」など、その紙の量は実に年間約1,480トンにのぼります(【表2 削減可能な紙の量】)。

【表2 削減可能な紙の量】(2023年度模試より概算)

大学コード表 14.38t
個人成績表(共通テスト、プレ共通) 36.07t
個人成績表(上記以外) 40.26t
「学習の手引き」「統計集」 1387.0t
総計 1477.72t(約1480トン)

この量の紙を生産する際に工場から排出されるCO2は約2,175トンにあたるそうです。体積にすると25メートル プール2,175個分。また、CO2を吸収する杉の木は154,425本分で、森林面積はおよそ東京ドーム13個分に当たります。

また、以前、採点・添削指導では、大切な生徒の答案を万が一紛失した場合などに備えて、コピーしバックアップ保管を行っていましたが、「Web Teacher」の導入で、バックアップのコピーが不要になりました。

【2024年度 112万枚のコピーをA4サイズの用紙にコピーした場合】
 必要な紙の数量 約4.5t

4.5トンの紙を生産する際のCO2排出量は約6.6トン。

これらの数字はわずかかもしれませんが、CO2の排出量削減により、地球温暖化の抑制に少しでも役立ちたいと願っています。

受験生の一人ひとりの未来と、持続可能な社会の実現に貢献

河合塾グループは、これまで30年以上にわたって紙の使用量の削減のほか、節電による省エネの推進、ゴミの分別によるリサイクルへの貢献など、環境保護に向けて取り組んできました。これからもお客様への提供価値の向上と並行して、社会的価値の提供に私たちは挑戦し続けてまいります。

<本文参考基準値・出典>
♦用紙生産1トンのCO2排出量 約1,470kg
(日本製紙連合会・LCA小委員会作成資料より<2011年>https://www.jpa.gr.jp/file/release/20110318021915-1.pdf

♦1トンのCO2は、25メートルプール1個分、杉の木71本分が吸収するCO2の量に相当
(一般社団法人 Earth Company「Operation Green」よりhttps://operationgreen.info/case_paperless-3/)

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