-OB・OGが語る河合塾- Vol.142
堀内文翔さん 慶應義塾大学環境情報学部 2年生
好きを突き詰める自由な学びを設計できた
ドルトン東京学園の教育に感謝
堀内文翔さん
慶應義塾大学環境情報学部 2年生
堅苦しくなく、新しいことに挑戦できる環境があると感じた
なぜ、新設校であるドルトン東京学園をめざしたのですか。
両親からは複数の学校を紹介されていました。中学受験塾は詰め込み教育や学力別クラス編成、成績順の座席配置というドルトン東京学園とは対極にある環境でしたが、当時はそこに疑念を抱いていたわけではありません。ただ、中学からの6年間は自分にとって大切な時期になるという思いだけはあり、堅苦しくなく、まったく新しいことにチャレンジできる学校に行きたいと考えていました。体験授業を受けてみて、それが一番かなえられるのはドルトン東京学園だろうと感じ、自分の意志で入学を決めました。校舎が綺麗だったからという小学生らしい素朴な動機もありましたが…(笑)
起業の意味を知り、自分でビジネスを立ち上げた
ドルトン東京学園ではどのようなことに力を入れて取り組んだのですか。
ドルトン東京学園は、他校とはまったく教育システムが異なります。まずクラスという概念がなく、基本的な知識を学んだ後は、生徒一人ひとりが自分のペースで学習を進めます。定期テストや小テストもありません。生徒は「ハウス」と呼ばれる中1生〜高3生の縦割りで構成される異学年集団に所属し、そこが自分の居場所になります。
とりわけ印象的なのが、「総合的な学習/探究の時間」に相当する「ラボラトリー」(以下、ラボ)という授業です。なかでも自分のテーマを追究する「テーマラボ」は、テーマの幅が広く、多彩な専門家から学べる興味深い科目です。特に、中2生で参加した「起業ラボ」は、その後の自分の方向性を決定づける大きな契機になりました。
起業とは、自分のアイデアを社会に出して貢献することで、「0」から「1」を生み出すことだと教わり、それってめちゃくちゃ楽しい!と、のめり込みました。
家族ぐるみで行きつけの飲食店でのちょっとした会話から、飲食店における食品ロスが大きな課題になっていると気づき、その解決策として集客アプリのアイデアが生まれました。起業家育成・支援を手がける株式会社ガイアックスの「起業ゼミ」で開催されたビジネスプランコンテストで提案したところ、優勝して投資を獲得し、当時の最年少起業家として事業化まで進めることができました。

アメリカ留学で視野を広げ、地域課題に本格的に向き合うようになった
高校時代には、多摩ニュータウンの問題に取り組んだとお聞きしています。
14歳で事業を立ち上げたものの、年齢の制約があり、法人化して本格的に事業を拡大することは難しい状況でした。そこでいったん事業に区切りをつけ、高1生から1年間、アメリカへ留学することを決意しました。海外経験がなく、「日本だけで完結したくない」という思いが強くなってきたためです。
コロラド州のデンバー・サウス・ハイスクールに編入し、最初は英語で苦労しましたが、3カ月ほどで順応できました。筋トレ中心の体育の授業には驚きましたが、いつの間にか夢中になり日課になるほどのめり込みました。ベジタリアンのホストファミリーとの生活や、各国からの留学生との交流は、多様な価値観や文化を肌で感じられた貴重な経験です。一方で、14歳で始めた事業を打ち切って留学した経緯もあり、アメリカでも起業の芽は常に探っていました。お気に入りのピザ店にアイデアを提案するなど、異国の地でもチャレンジを続けていました。


帰国後は、地元の多摩ニュータウンの団地コミュニティに関心を持つようになりました。地域を見つめる中で、世代間交流やコミュニティ文化の持続性に課題があることに気づいたのです。そこから一気に地域課題にのめり込み、管理組合や地域ボランティア、地元企業、行政と関わりながら、持続可能な公共空間のあり方について個人的に研究を深めていきました。
それが可能だったのは、ドルトン東京学園が高校課程で単位制を採用していたおかげです。高2生までに留学先で取得した単位も含めて卒業単位の大半を満たしていたため、高3生の授業は体育と英語、社会科学探究の授業のみで、ほとんどの時間を地域課題の研究に充てることができました。
一般入試で慶應義塾大学に合格し、現在は学習塾の校舎長も兼任
慶應義塾大学の環境情報学部ではどのような活動に携わっているのですか。
当初は大学に行く必要をあまり感じていなかったのですが、振り返ってみると、ドルトン東京学園で起業ラボに参加して以降の活動は、すべて「地域」が軸になっていることに気づきました。今後も都市再開発や、地域のコミュニティデザインに関わり続けるのであれば、経営学など他学問の知識も必要です。たまたま慶応義塾大学SFC※の上席研究員の方を紹介され、研究会に参加したところ非常に興味深い発表が多く、「こんな大学なら行ってみたい」とSFCを第一志望に決めました。
SFC:神奈川県藤沢市にある慶應義塾大学・湘南藤沢キャンパス(Shonan Fujisawa Campus)の略称。総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部の3学部が設置されている。
自分の経験から考えて総合型選抜しか頭になく、当然受かるつもりで12月から自動車の教習所も予約していたのですが、結果は不合格。しばらくは現実を受け入れることができず、放心状態でしたが、学校の先生から「一度も挫折した経験ってないよね。いい経験だから死ぬ気で頑張ってみたら」と背中を推され、一般入試に向けて教習所でも受験勉強を続けた結果、最後の最後で合格できました。


現在は、研究室が関わる岡山県津山市の「津山ヘルスケアプロジェクト」に参加しています。また、個人の活動としては学習塾の校舎長も務め、「0」から「1」を作るのではなく、「1」を「10」にする経験も積みながら、活動の幅を広げています。
将来も地域に関わる仕事を続けたいと考えていますが、最近は一般企業への就職も視野に入るようになりました。一度大きな組織を経験してから、本当に自分のやりたいことで社会貢献できる起業をめざすという選択肢も考えるようになってきたためです。
ドルトン東京学園に行ってなかったら、今の自分はいない
ドルトン東京学園で学んだことは、現在の活動にどのように役立っていますか。
役立っているというより、今の自分そのものを作っているのがドルトン東京学園の教育だと感じています。起業ラボ、留学、個人での地域研究など、すべての経験が視野を広げ、行動へと駆り立てる原動力になっています。挑戦すること、好きを突き詰めること、仲間と力を合わせること――これらを学べたことが、何よりも大きな自分の礎になっています。


堀内 文翔(Ayato Horiuchi)
東京都出身。ドルトン東京学園に1期生として入学。同校の起業ゼミをきっかけに企業から200万円の出資を受け、14歳で食品ロス対策のリアルタイムクーポンサービス「キタキタ!」を開発。1年間の米国留学を経て、高2生からは自治体と協働した多摩ニュータウンのコミュニティ再生を研究。慶應義塾大学を志望し、総合型選抜では苦杯を喫したものの、一般選抜で環境情報学部に見事合格を果たす。現在は研究会で地方自治体との共同研究に力を入れるとともに、個別指導塾の校舎長として事業拡大に挑戦するなど、精力的な活動をつづけている。
出身コース
河合塾学園 ドルトン東京学園 中等部・高等部
ドルトンプランに基づき、生徒が主体的な学び、探究・挑戦を通じてグローバルに活躍できる人材を育てる河合塾グループ初の中高一貫校です。学習者中心の教育メソッドを実践し、自主性や創造性など非認知能力を高め、次代を担う人材を育てます。