「情報を載せるだけでは届かない」 教育研究開発部が挑む、進路・大学入試情報サイト「Kei-Net」の新しいかたち

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進路選択のあり方が変わる今、Kei-Netはどのような役割をめざしているのか。新しい進路支援のかたちを担当者の想いとあわせて紹介します。

AIで簡単に情報を集められる今、受験情報サイトにはこれまでとは違う価値が求められています。河合塾の進路・大学入試情報サイト「Kei-Net」も例外ではありません。入学試験そのものを中心に扱う情報提供サイトから、高校生の「志望校検討〜入学」まで寄り添うプラットフォームへと進化しています。なぜ今、Kei-Netは変わろうとしているのか。Kei-Netを担当する教育研究開発部の取材から、リニューアルの背景と狙いに迫ります。

●2026年3月、Kei-Netに新規コンテンツ追加

2026年3月、Kei-Netはリニューアルを実施しました。高1生・高2生からの進路選択をサポートする新コンテンツ「Myミッション」や、ゲーム形式で受験を擬似体験できる「サクッと受験クエスト」など、進路選択や志望大学の研究をサポートする機能を強化。これまでの「大学入試情報サイト」から「進路・大学入試情報サイト」へと進化するためのさまざまな取り組みを進めています。

Myミッション&受験クエストトップ
Myミッション (会員ログイン後、マイページで表示)(左)と大学受験をRPG風に体験する『サクッと受験クエスト』(右)のトップページ

●なぜ今、Kei-Netは変わるのか?

河合塾が運営する進路・大学入試情報サイト「Kei-Net」は、長年にわたり多くの受験生や保護者に利用されてきました。2025年度には年間約8,700万PV(2025年度)を記録するなど進路・入試情報を提供するサイトとして広く活用されています。しかし、近年は、少子化による大学全入時代の到来や、保護者の価値観の変化などにより、入試難易度や合格可能性だけでなく、「何を学びたいか」「どのような将来につなげたいか」を重視した進路選択が広がりつつあります。
こうした変化の中で、Kei-Netは「情報を提供するサイト」から、「進路選択や学習行動を後押しするサイト」への進化を進めています。

その背景について、教育研究開発部の赤塚和繫さんは、「単に情報を羅列するだけでは、まだ受験を意識していない層はサイトに来てくれません。情報を提示するだけでなく、校生自身が進路について考えたり、行動したりするきっかけになる仕組みが必要だと考えています」と話します。

赤塚さん
教育研究開発部 赤塚和繫さん

高1生・高2生向けの新コンテンツやSNSを活用した情報発信も、そうした考えのもと進められている取り組みの一つです。では、実際に、Kei-Netはどのように変わっているのでしょうか。

●Kei-Netは今どう変わっているのか

その考えのもと企画されたのが、高校生の進路選択を支援する「Myミッション」と、ゲーム形式で受験を擬似体験できる「サクッと受験クエスト」です。どちらも単なる情報提供ではなく、高校生自身が進路について考え、次の行動につなげることをめざしたコンテンツです。

まずは進路選択の第一歩から

低学年から活用できるコンテンツの「Myミッション」は、高校生が自分で進路を考え、納得して選択できるようサポートするコンテンツです。進路に関する情報を得るだけでなく、「次に何をすればよいか」を段階的に示しながら、実際の行動につなげられるよう設計されています。

Myミッションでできること
高校生が進路選択を進める過程を「ミッション」として整理。 次に取るべき行動が見えやすい設計になっている。

「なんとなく決めた志望校」を卒業する

志望校を選ぶ際には、大学名やイメージだけでなく、自分が何を学びたいのか、将来どのようなことに挑戦したいのかという視点も大切です。そうした観点から大学を選ぶことで、より納得感のある進路選択につながります。

Myミッションでは、興味・関心を整理しながら、自分に合った進路を考えるための仕組みも用意しています。「My学問探検シート」では、興味・関心のあるテーマから学問分野とのつながりを探ることができ、「My志望校比較シート」では複数の大学を比較しながら、自分なりの判断軸を整理できます。

志望校を決める前に、自分の興味や将来について考えることができるのも、Myミッションの特徴の一つです。

My学問探索シート
関心のあるテーマから学問分野を探る 「My学問探検シート」
複数の大学を比較し、自分なりの判断軸を整理できる 「My志望校比較シート」
複数の大学を比較し、自分なりの判断軸を整理できる 「My志望校比較シート」
茂清さん

「正解を決めないこと」が一番難しかった―教育研究開発部 茂清真理さん
「Myミッションでは、進路選択から大学受験、合格までの流れを示すことをめざしました。
とはいえ、受験に“正解”はありません。高校生を一つのレールに乗せるのではなく、興味・関心を起点に、それぞれに合った道筋を示したいと考えています。
その結果、チーム内でもさまざまな意見が出ました。『どのタイミングで何を提示するべきか』『どんな順番なら次の行動につながるのか』など、何度も議論を重ねながら内容を整理していきました。
単一の正解がないからこそ多くの議論を重ねる必要がありました。一方で、それぞれ違う視点や考え方が出てくるのはおもしろく、私自身も多くの学びがありました。試行錯誤を重ねながら形にしていく過程は、とても印象に残っています。」

受験の流れをゲーム形式で体験

受験というと、勉強や模試を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし実際には、志望校研究や出願準備など、受験勉強以外にも取り組むべきことが数多くあります。
そこで開発されたのが、受験の流れをゲーム形式で体験できる「サクッと受験クエスト」です。

受験クエスト
プレイヤーの選択によって結果が変化するマルチエンディング方式。受験準備で何が重要なのかを体験的に学べる。

「サクッと受験クエスト」は、模試受験や大学研究、出願など、受験生が経験するさまざまなイベントをゲーム形式で擬似体験できるコンテンツです。

作中には『みらいぶっく』や『全統模試』など実際のツールも登場し、プレイヤーの選択によって結果が変化するマルチエンディング方式を採用。

楽しみながら受験の全貌を把握できる工夫が施されています。

楽しみながら受験について学べるコンテンツをめざして
茂清さん「受験というと勉強ばかりに目が向きがちですが、実際は情報収集や志望校研究などの『準備』も同じくらい重要です。
そうした見落としがちなプロセスも、ゲームという形なら前向きに体験してもらえると考えました。
実際のコンテンツや模試もストーリー内に登場するので、自分の受験生活を具体的にイメージしながら、楽しみつつ『次に必要な行動』に気づいてもらえたら嬉しいです。」

総合型・学校推薦型選抜にも対応

年内入試の拡大を受け、Kei-Netでは総合型・学校推薦型選抜関連のページもリニューアル。入試情報の検索に加え、志望理由書や面接対策など、受験準備に役立つ情報の充実を進めています。

総合型・学校推薦型選抜
総合型・学校推薦型選抜で受験可能な大学の検索や、面接・小論文対策などの情報を掲載している

高校生に届く投稿はどうつくる?―SNS運用の舞台裏

Kei-Netではサイトの拡充とあわせて、SNSでの情報発信も強化しています。
現在はYouTubeの動画コンテンツに加え、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokのアカウントを開設し、高校生の役に立つ情報を発信しています。

Youtube紹介
YouTubeで公開されている、受験情報動画(左)とみらいぶっく紹介のShort動画(右)。受験生に役立つ情報を動画で分かりやすく解説・紹介をしている。

高校生に届く投稿はどのようにつくられているのでしょうか。SNS運用を担当する野口将史さんにお話を聞きました。

野口さん
教育研究開発部 野口将史さん

高校生の生活リズムにあわせて発信する

投稿テーマは、高校生が抱えやすい悩みや季節ごとのテーマをもとにチームで検討しています。

Instagram・TikTokやX(旧Twitter)といったSNSの発信は、定期的に行っています。高校生の放課後や帰宅語などでスマートフォンを見る機会が増える時間帯を意識して設定しています。

発信内容としては、学習法や参考書活用法など高校生が今週のうちに実践できるテーマや、大学研究や進路について週末にじっくり向き合うきっかけとなるテーマを扱い、各SNSの特性に応じて発信しています。

企画会議の様子
SNS投稿はチームで企画・制作。高校生に届く発信をめざし、打ち合わせや制作を重ねながらコンテンツづくりを進めている。
SNSタイムライン一覧
Instagram(左)とX(旧Twitter)(中)、TikTok(右)の公式アカウント。 投稿内容や配信する曜日・時間帯にもこだわっている。

高校生に「見たい」と思ってもらうために

現在作成しているInstagramはスライドショー形式がメインなので、「紙芝居」をつくるような感覚で制作しています。画面の流れや言葉の選び方には特に気を配っています。

一番苦労しているのは、スクロールを止めてリールを開いてもらう言葉選びです。高校生の目を引く言葉でなければ、内容がよくてもなかなか見てもらえません。一方で、ただ刺激の強い表現を使えば良いわけでもありません。「後悔しないために」など、少しでも「自分にも関係があるかも」と思ってもらえる言葉を考えています。そのため、日頃からさまざまな動画やSNS投稿を見るようにしています。

どんなサムネイルなら思わずタップしたくなるのか、どんな言葉なら最後まで見てもらえるのか、自分自身も勉強を続けながら試行錯誤しています。高校生に少しでも役立つ情報を届けられることが、発信の大きな励みになっています。

SNSリール紹介
思わず続きが見たくなるタイトルやサムネイルを意識して制作しているInstagramの投稿。短い言葉で興味を引きながら、受験や学習への気づきにつながる工夫が込められている。

「見る」Kei-Netから「活用する」Kei-Netへ

赤塚さん
進路を考えるスケジュールやプロセスは、生徒一人ひとり異なります。そのため、Kei-Netでは、まだ志望校が決まっていない高校生から、すでに目標が明確な方まで、それぞれの状況に応じて活用できるコンテンツを揃えています。

特に「Myミッション」は、「今の自分に足りないものは何か」「次に何に取り組めばよいか」を確認できるため、なかなか次の行動に踏み出せない方におすすめです。
また「受験クエスト」では、受験までの流れを疑似体験できます。大学進学を考えているが何から手をつけていいのかわからない高1生・高2生の方にも、ぜひ気軽に試していただきたい機能です。

今後も、機能・コンテンツの改善やSNSでの情報発信を通じて高校生との接点を広げ、自分らしい進路を考え、行動するきっかけを提供していきたいと考えています。

赤塚さん

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