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河合塾編集書籍ポスト3・11 変わる学問 気鋭大学人からの警鐘

ポスト3・11 変わる学問ポスト3・11 変わる学問

震災後の変わる学問と学びを考えるための書籍
「ポスト3・11 変わる学問 気鋭大学人からの警鐘」を刊行。

大学生、高校生、社会が求めていた「人間のための学問」と学びが生まれつつあります。

どうしていのちを守れなかったのか。
震災で走った衝撃によって問われた学問。関わり・臨床・横断・異端などといったキーワードで、生まれ変わろうとしている「新時代の学問」とその大学での姿を、気鋭の大学人55人が書き下ろしました。
本書は、進学指導とともに、『学問の鉄人』『学問前線』などで大学での学問のあり方を問うてきた河合塾が「東日本大震災 復興と学び 応援プロジェクト」として、被災された方々、学びに関心のあるすべて人のために、震災から1年目の日に向けて制作したものです。
学問の前線を見渡し、大学と学びの変化を考え、そして高校で、進路選びと探求活動を結びつけたキャリア教育のために必見です。

編集:    河合塾
著者:    佐藤文隆(甲南大・京都大)、島薗進(東京大)、野家啓一(東北大)、橋爪大三郎(東京工業大)、山口二郎(北海道大)、本田由紀(東京大)、楠木建(一橋大)、中野剛志(京都大)、鈴木謙介(関西学院大)、古市憲寿(東京大)、他全55人
カバー写真: 宮城県東松島市
撮影:    平林克己
発行元:   朝日新聞出版
定価:    1,500円+消費税

  • ASAHI朝日新聞出版が承ります。

Contents

5つの章の内容については、河合塾News Release「ポスト3.11 変わる学問 気鋭大学人からの警鐘」書籍刊行のご案内をご覧ください。

立ち読み

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  • 20代から70代までの55人の著者を紹介するご案内用ちらし(A4両面・カラー)です。

紹介する学問(例)

  • 「新しい価値作り」

    保育から金融まで、現実を見つめ、転換を模索する『哲学』
    個人の思いより、共同体の記憶を重視する『文学』
    状況分析よりも「こうしよう」を生み出す『経営学』
  • 「新たな社会作り」

    新たな民主主義の形=熟議の『政治学』
    持続可能で人間発展を促す『経済学』
    連携と承認、そして個人の成長を支える『社会学・コミュニティ学』
  • 「地球時代を生きる学問」

    異端と挑戦の『宇宙学』
    石油を藻類から作る『生物学』
    エネルギーと地球温暖化問題を問う『天文学』
    わざと非効率を生み出し人の関わり力を育てる『工学』
  • 「いのちを守る」

    iPS細胞から幹細胞まで及ぶ『再生医学』
    被災者の心に立ち入るよりも自律させ有能感を与える『臨床心理学』
    震災後の喪失感や不安な状況に寄り添う『宗教学』
  • 「学生からの発信」

    生き甲斐と身の丈にあった社会改革のための『ボランティア』
    学びをよりよい社会の実現につなげる『NPO』
    居心地の良さを、作る技術としての『研究的生き方』

メッセージから(抜粋)

  • 3月11日震災直後、大学が混乱し、まだメールの送受信もおぼつかない頃、井上明久・東北大学総長の「各分野の先生は、自分たちの専門性を駆使して、最大限復興に当たれ」というメッセージが届いて、心が震えました。被災地の中心的大学として、私たちの役割を総長自らが示したのです。すべての学問が人のためにあるのですから、自分たちの専門性を使って全力で当たれというのは、すごいことだと。
    今回の支援を通じて、研究者中心にものごとを見ていくことも改めなければならないと思いました。課題を調査対象者みずから解決していくような手法を作る。
    そこから新しい学問のあり方が見えるかもしれないと思っているのです。

    東北大 若島孔文
    気仙沼、南三陸町、石巻、仙台と学生と共に心のケアのために奔走した臨床心理学者

  • ライフスタイル自体を提案して、必要なテクノロジーは何かと考えるのです。
    昔、味噌や醤油を近所に借りに行ったように、エネルギーを「共用電池」で貸し借りする。「今日はたくさんお客さんが来るから電気を貸して」とか。実際に、避難所や仮設住宅で共用電池を使っていく研究が同時並行で進んでいます。

    東北大 石田秀輝
    鉱物学・セラミックス研究者として「無電源エアコン」を開発、自然を模倣するネイチャーテクノロジーを提唱

  • 私が今取り組んでいるのは、これらの藻類の培養やオイル抽出方法の開発です。下水処理場の有機排水を使って、培養しようと考えています。
    これが実用化すれば、これまでは水をきれいにして海に流すだけだった下水処理から、オイルという副産物が生まれるわけです。

    筑波大 渡邉信
    実用化とは無縁と思われていた藻類の分類学研究から生物からの石油作りと津波被災の塩害対策というミラクル

  • 僕が言いたいのは、「真の民主主義を実現せよ」ということではありません。事実上の貴族制をこのまま採用し続けるべきなのか。貴族制ならば貴族制であるとはっきり認めるべきではないか。
    そのあたりのことを根本から考え直して、欺瞞(ぎまん)を取り除く必要があるということです。

    高崎経済大 國分功一郎
    フランス思想を背景に、現代社会の課題を問う 『暇と退屈の倫理学』は、哲学書にして異例のベストセラー

  • こういう激動の時代には、今まで正しいといわれていたことが間違いです。それまで異端といわれていた学問に向かっていかないと、この危機は乗り越えられないのです。

    京都大 中野剛志
    TPP問題の代表的な論客。浪人時代、河合塾横浜校で小論文を指導したフェロー(大学院生)に学問の神髄を教えられた

  • 宇宙を研究したいという若い学生に、何からはじめてもいいんだよ、と。
    生物学ならば宇宙生物学、工学部の機械工学であればロケット、原子力で放射線をやっていたら宇宙線の研究に繋がります。医学ならば宇宙医学。私のように宇宙天文学から入った人間も、放射線や電力問題にまで幅を広げてきました。人文・社会系ならば、宇宙人類学、宇宙産業論や文明論といった学問まで含めた壮大な挑戦を行おうとしているのです。

    京都大 柴田一成
    京都大学付属の天文台長として、太陽研究の先端を走ると同時に宇宙天気予報を提唱、太陽嵐や宇宙線の危険も訴える

  • 激変期には、アンビシャスな人が、やり出せばいいんですよ。リスクをとってこそ若者は鍛えられるんですよ。好き嫌いじゃなく、勇気ですよ。論文作家でまあまあ走っている人に、「あんたら、そんなのもうやらんでええ」と言ってやらんといかんのです。

    甲南大・京都大 佐藤文隆
    1970年代前半、ブラックホールを理論的に予測。物理学者にして人文学も語れる京都学派の伝統を受け継ぐ。

  • 私自身、若い世代を育てる立場として、疲れてしゃがみこむ人たちに「立ち上がれ」と言うことに、ずっと迷いを抱えていました。
    しかし震災が起きてからは、それでも「グローバル・エリートを目指せ」と言うべきだと、私は腹を括りました。

    関西学院大 鈴木謙介
    TBSラジオ「文化系トークラジオLife」、NHK「青春リアル」で若者にメッセージを送ってきた

  • 高校生たちが難しい状況にいることも踏まえて、私は「単純ではない。すぐではない。でも忘れない、あきらめない」という言葉を伝えました。
    それは、この社会を生きていく上でも不可欠なことなのです。

    東京大 本田由紀
    労働では若者を排除し、教育では実務能力を提供しない『軋(きし)む)社会』の問題に切り込む

  • 私と河合塾
  • [連載]「河合塾にフォーカス