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実社会から見た大学教育と評価

実社会から見た大学教育と評価

河合塾では、大学を入試という「入り口」からだけではなく、卒業後に進む産業界を中心とした実社会という「出口」の視点で見た調査や情報収集を行っています。平成14年度からは、経済産業省の委託を受けて、産業界ニーズへの対応の視点からの大学評価手法開発を行ってきました。
ここでは、各事業の概要と関連サイト、および報告書資料を中心に紹介します。

平成19年度事業

平成19年度産業競争力強化人材育成事業「社会人基礎力育成・評価手法の開発等」
リファレンスブック「今日から始める 社会人基礎力の育成と評価」の刊行

平成19年度、河合塾は「社会人基礎力育成・評価手法の開発等」の事務局として、それまでの約2年間でまとめられた「社会人基礎力」を大学教育活動の中で育成・評価するための手法の調査と開発を行った。この事業の総括として、具体的な育成・評価の方法と、学生の「社会人基礎力」を評価するための「レベル評価基準」、学生の能力の成長と発揮事例を記録して就職活動時の企業への応募用としても利用可能な「プログレスシート(成長記録)」のモデルをまとめたリファレンスブック『今日から始める 社会人基礎力の育成と評価』を角川学芸出版から刊行した。学生自らの行動改善を促し、大きな成長につながった育成・評価の方法が大学の実践例や学生の感想とともにまとめられており、今後社会人基礎力の育成に取り組む教育機関や企業の参考となる内容である。

この事業では、「社会人基礎力」の普及を目指して、7つのモデル大学で実践型教育による育成・評価の試行を行い、さらに指導者のためのファカルティ・ディベロップメント研修会や、海外の先進事例の調査として米国のアルバーノ大学の視察を実施した。また、web上のコミュニティー「基礎力.net」を開設し、その運営にもあたった。

「今日から始める社会人基礎力の育成と評価~将来のニッポンを支える若者があふれ出す!」

今日から始める社会人基礎力の育成と評価~将来のニッポンを支える若者があふれ出す

発行元:角川学芸出版

発行日:2008年7月30日

定 価:2,700円(税込)

  • ご注文はwebKADOKAWA(株式会社角川グループパブリッシング)が承ります。

平成19年度「ビジネス性実証支援事業」(実務教育サービス分野)に係る調査研究
「産業界の経営人材教育への期待とビジネススクールカリキュラムに関する調査」

平成18年度に行った「企業の人材ニーズとビジネススクールの教育に関する調査研究」では、企業が求める経営系人材に必要な専門知識・スキルと、日本のビジネススクールが教育カリキュラムとして提供する知識・スキルを可視的に表現した。本年度は、人材を企業がビジネススクールに特に供給を期待する48に、ビジネススクールの分析対象を経営系専攻・技術経営系専攻・高度職業人養成の経営系コースを持つ経済系専攻の82専攻にしぼり、それらの間で産業界のビジネススクール修了者に対する人材ニーズ、該当人材の育成を目標とするビジネススクールの数、カリキュラムの産業界ニーズに対するマッチング度合いの3つを軸に分析を行った。
その結果、量的にも質的にも安定した人材供給が行われていると考えられる人材もある一方、産業界の経営人材ニーズとビジネススクールの教育体制の間に、ギャップが存在すると考えられる人材も見受けられた。
さらに、個々のビジネススクールのカリキュラムと、それらが育成を目指している人材に求められる専門知識やスキルのマッチング度合いには、大きなばらつきがあることも明らかになった。
[対象分野]産業界全分野/経営系大学院

[関連プレスリリース]
産業界の経営人材教育への期待とビジネススクールカリキュラムに関する調査
-産業界ニーズとカリキュラム内容のマッチング分析による経営人材育成の課題と今後の方向性の検討-

平成18年度事業

平成18年度産業技術人材育成支援事業(大学活動評価手法開発事業)

平成17年度に行った調査手法・内容の見直しを踏まえ、以下の3点に関する調査および集計・分析を行った。

  1. 研究室での基礎能力・ヒューマンスキルに関する人材育成の評価手法開発として、IT分野の優秀な技術者・マネージャーに特有の基礎能力・ヒューマンスキルを抽出。このヒューマンスキルの育成に寄与する、研究室を中心とした教育活動の項目抽出と、効果を評価するためのアンケートとパーソナリティ診断テストを実施した。具体的には、ITを中心とする全国の大学の理工系の128研究室、約1200名の学生に、研究室活動の開始時(6月)と終了時(12月)の2回パーソナリティテストを受けてもらい、さらにその間に行った研究室活動に関するアンケートを実施して、パーソナリティテストのスコアに変化のあった項目と、研究室を中心とした教育活動との間の相関を分析した。
    【対象分野】 ITを中心とする理工系全分野
  2. IT分野の産業界が大学教育に求める知識とその質(=レベル・習熟度)の内容を整理した知識要件テーブルを作成し、カリキュラム全体だけでなく個別科目の内容も表すとともに、教員、学生、企業人がそれぞれの立場で利用できるような、新たな「調査シート」を開発した。さらに、企業人や大学のプロジェクトの協力を得て、その適用実験を試みた。
    【対象分野】 IT分野
  3. 平成17年度に行った「人材ニーズ調査」の詳細分析に加えて、既存調査から産業構造としての業種・職種の規模を抽出し、大卒人材に対する分野別・職種別募集数を推定した。これに対応する専門分野の学科毎の定員数、および科目分析を通した分野別・職種別の大学の新卒学生輩出数を推定して、大学新卒の分野別・職種別の需要と供給の量的ミスマッチを推定した。
    【対象分野】 産業界全分野
    【PDFダウンロード】
    平成18年度大学活動評価手法開発事業報告書

平成18年度サービス産業人材育成事業(企業の人材ニーズとビジネススクールの教育に関する調査研究)

ビジネススクールは、企業の競争力向上を担う高度経営系専門人材の育成を期待されるが、現状では産業界のMBA等保持者へのニーズは決して高くない。その原因として、ビジネススクールで現在提供されている具体的な科目、すなわち知識・スキルの内容や扱う領域が、現在の産業界のニーズにマッチしていないのではないかということが考えられる。本調査では、全国約380のビジネススクールおよび高度経営系人材育成をうたう社会科学系大学院に対するアンケートで、経営系専門人材育成機関としてのビジネススクールが、現在どのような知識・専門スキルおよび領域の教育を提供しているかを質・量の両面で明らかにした。一方で産業界(企業)へのヒアリングで、企業がどのような経営系人材を求め、さらにその人材群ではいかなる専門知識やスキルがどの程度必要とされているかを人材群毎に明らかにした。
【対象分野】 産業界全分野/経済・経営系大学院

平成17年度事業

平成17年度産業技術人材育成支援事業(大学活動評価手法開発事業)

平成16年度までの人材育成の産学ミスマッチ調査の内容や手法を見直し、より精度の高いものとするための検討を行った。

  1. 産業界から大学に対して基礎能力・ヒューマンスキル育成のニーズは高いものの、その育成は十分ではないことが示された。そこで産業界で用いられるパーソナリティテストの結果を用いて、どのような教育活動がそれらの基礎能力・ヒューマンスキルの育成に有効かを調べることとして、その手法を開発した。調査対象は、基礎能力・ヒューマンスキルの育成に影響が大きいとされる理科系の研究室(所属の学生)とし、本年度は研究室での教育活動のリストアップや産業界・大学へのヒアリング、パーソナリティテストの結果分析等による予備調査を行った。
    【対象分野】 ITを中心とする理工系全分野
  2. また、同じくそれまでの人材育成の産学ミスマッチ調査では、「知識」の項目を大学の科目を軸に扱ってきたが、産業界への汎用性が低いとの指摘を受けたため、本年度は中途採用市場の採用要件等から産業界で必要とされる知識・技術項目を抽出し、それらを軸としたマッチング状況を調査するための手法開発を行った。
    【対象分野】 IT分野
  3. さらに、「人材ニーズ調査」(平成16年度経済産業省) 等を利用して、新卒人材の分野別・職種別需要数の推定等を行う。また、供給数に関しても、 平成15年度に本事業で行なったIT系の学科・専攻に対するアンケート等を通して分析を行い、産学の人材の需要と供給の量的ニーズのミスマッチの提示を試行した。
    【対象分野】 産業界全分野

平成17年度産業技術調査(大学と産業界との連携による産業技術人材育成の海外実態調査)

日本の大学・大学院における情報技術者育成が真に情報産業に貢献できるレベルとなるために、欧州・北欧等のIT先進国の情報教育の在り方やカリキュラムの構成等の現地調査を行った。訪問国は、大学で新しい技術への対応を保証するシステム(若手教員に対するスキル習得の義務付け、産業界のボードによる教育内容の評価などの在り方)が確立されており、また、政府の後押しを受けた産学連携も活発であるというフィンランド、アイルランド、英国、ドイツ、フランス、イタリアで、計15大学・2社・6機関へのヒアリングを行った。

【対象分野】 IT分野

【PDFダウンロード】

平成16年度事業

平成16年度産業技術人材育成支援事業(大学活動評価手法開発事業)

平成15年度に大学に対して実施したアンケート結果を元に、各学科・専攻の教育内容を示す「教育活動プロファイル」を作成。さらに2つのプロファイルを比較することで、各人材に対する教育内容の「充足率」を算出できるようにした。また、各人材群の産業界のニーズと大学でのカリキュラムとミスマッチをユーザー自身が確認し、個別の学科・専攻に対する評価のシュミレーションができるプラットフォームを公開した。
【対象分野】 IT系47人材群
【関連プレスリリース】
「産業競争力向上の観点からみた大学活動評価手法の開発について」
(経済産業省 2005年6月24日)

産業界による産業技術人材の学力プロファイルの提示と大学教育への反映

現在の産業界をリードする「バイオ」「光学」「自動車」「半導体」の4分野について、産業界へのヒアリング・ワーキングで各分野を構成する人材群とそこで求められる知識・専門スキルを調査して「人材像プロファイル」を作成。一方、全国の理工系75大学・597学科・535専攻に対して教育内容に関するアンケートを実施し、各学系の学科・専攻単位で「教育活動プロファイル」を作成。産学間の人材育成のニーズのギャップを明らかにした。
【関連プレスリリース】
「産業競争力向上の観点からみた大学活動評価手法の開発について」
(経済産業省 2005年6月21日)

平成15年度事業

平成15年度産業技術人材育成支援事業(大学活動評価手法開発事業)

IT分野を対象として、産業界が求める『人材像』毎の人材育成状況について、評価手法の開発を行った。具体的には、産業界へのヒアリング・ワーキングでIT分野の各人材に求められる知識・技術のニーズを「人材像プロファイル」として提示するとともに、IT系の全国298大学・777学科・640専攻に対して、情報通信に関連した知識・技術項目、共通教育、研究内容等に関するアンケートを実施した。
【対象分野】 IT系47人材群
【関連プレスリリース】
「産業競争力向上の観点からみた大学活動評価手法の開発について」
(経済産業省 2004年12月4日)

平成14年度事業

平成14年度産業技術人材育成支援事業(大学活動評価手法開発事業)

産業競争力の強化に繋がるような大学改革、大学機能の強化を促す評価手法開発の初年度にあたり、大学の3つの大きな機能である教育、研究、社会貢献の観点から、各々の活動について産業界ニーズへの対応の視点からの評価手法開発を試行した。
【対象分野】 IT系:「情報セキュリティ」、「コンピュータ・ハードウェア」、バイオ系:「生物有機」「バイオマテリアル」)
【関連プレスリリース】
「産業競争力向上の観点からみた大学活動評価手法の開発について」
(経済産業省 2003年10月27日)

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